ヴェルゲルガルド4歩目 世紀末になった! 代わって!
『ノリオ様へ もうすぐレオン王国へ帰ります。王国は大臣としっかり立て直して下さっていますか? 私達が帰るまでなんとか頑張ってくださいね! ユウナ』
「はいはい~」
俺はユウナ姫からの手紙を放り投げてベッドに寝転ぶ。
俺は今! 自由を満喫している!
口うるさくなったユウナ姫やシノ達は、他国へなんかの交渉をしになんか出かけて行った。
俺が連れて行ってあげようかと聞くと、国でじっとしていてくれと言われた。
その分、城での仕事を頑張れと。
でもなあ、軍はもうぼっこぼこにして鍛えてやったし、他の事はよく分からないから全部お任せだからな。あんまやる事ない。
お金がないって言われたら錬金術で金を作るし、食べ物がないって言われたら魔法で作ってやる。
だから、やる事ない。
ので、ゴロゴロしている。
のも、飽きたので城の中をウロウロし始める。
セクシー大臣プリンちゃんといちゃいちゃしよう。
そう思ってプリンちゃんを探していると、慌てた部下がやってくる。
あー、面倒ごとの予感……。
「ノリオ様! やっとお部屋から出てきてくださったのですね!」
「……なに? なんかよう? 今度は魔法で何出せばいいの?」
「もう何も出さなくていいので助けてください! 城下でゴロツキ共がヒャッハーと叫びながら暴れています!」
「なにそれ!」
どこの世紀末だと! とっととひでぶしちゃえばいいじゃん!
「兵になんとかさせなよ!」
「それが……兵の数が足りず……」
あーもう! めんどいなあ! 少なくともなんとかしなよ!
俺だったら何十人でも何百人でも一瞬なのにさ!
「わかった! いくよ! どのへん!?」
俺は部下を連れて、城下に向かう。
すると、
「な、な、なんじゃこりゃあああ!?」
俺は絶句した。
俺の国の城下町が……。
「ヒャッハー!」
「イヤッホーッ!」
「ホホホーッ!」
「ヒャッハッハッハッ水だーっ!!」
「食料もタップリもってやがったぜ!!」
「札束、こ~~~んなもんまでもってやがった」
「今じゃケツをふく紙にもなりゃしねえってのによぉ!」
世紀末と化していた!
袖とセンターのトサカ以外の髪の毛がないゴロツキ共が暴れてるぅううう!
な、なんで……?
「ヒャッハッハッ! 全く、この国の雑魚どもは弱すぎるぜぇ!」
「ヒャッハッハッ! なんでも王様がなんの努力もせずに強くなったのを見てやる気をなくした剣士やら魔法使いが続出したんだってよぉ!」
「ヒャッハッハッ! そりゃそうだ! 血反吐はく努力をして手に入れたもんがあっさりはなくそほじられながら手に入れられたらやる気なんてなくなるってもんよぉ!」
「ヒャッハッハッ! 今じゃ訓練の時間なんて神様にチート能力を下さいっていうお祈りの時間になってるってのによぉ!」
そ、そんなことになってるのぉおおお!?
で、でも、なんで、水や食料が奪われてるんだ!?
俺の植物魔法でめっちゃ食べ物作ったのに! なんなら魔法でお肉も魚も作ったのに!
「ヒャッハッハッ! 全く、この国の飯はまずすぎるぜぇ!」
「ヒャッハッハッ! なんでも王様が魔法で野菜とかを作ったせいで農家さんが立ち行かなくなって他国に逃げ出したんだってよぉ!」
「ヒャッハッハッ! そりゃそうだ! 無料のお野菜が増えれば考えなし共はそれに飛びつく! 一生懸命農家さんの作った野菜はちゃんと食べる人や土のことを考えてつくられているんだぜぇ~! しかも、王の作った野菜は味も栄養価も最悪でそのうち捨てられ始めたんだってよ! そりゃ、食料もなくなるってもんよぉ!」
「ヒャッハッハッ! 今じゃ有り余ってただただ腐って魔物をおびき寄せてしまうだけの生ごみだってのによぉ!」
うそだろぉおおおお!?
で、でも、じゃあ、他国から買えば……。
っていうか、なんで金が紙切れなんだ!? 金だって錬金術でいっぱい作ったし!
「ヒャッハッハッ! 全く、この国は貧しすぎるぜぇ!」
「ヒャッハッハッ! なんでも王様が錬金術とか言って全然何の根拠もない怪しげな謎魔法で金を作り過ぎたせいで経済が崩壊したんだってよぉ!」
「ヒャッハッハッ! そりゃそうだ! お金はしかるべきところがちゃんと管理をしないとただただ増えれば金やお金の価値が暴落するし、他国は警戒する! その上、魔法で何もない所から生み出された金なんて怪しすぎて取引できないよなあ! 今じゃ、この王国の商人が持ってきた品は全部警戒されて商人共も他国で一からやり直しているらしい! お金の流れをちゃんと学んだ人間がちゃんとコントロール出来ないとみんなの普段しているお買い物が出来なくなってしまうってもんよぉ!」
「ヒャッハッハッ! 今じゃノリオの作った金なんて筋トレの重りにもなりやしないってのによぉ!」
マジでぇえええええ!?
そ、そんなになってたのウチの国!
っていうか、コイツ等ずっと丁寧な解説してくるんだけどぉおお!?
マ、マズいマズいマズい!
滅茶苦茶になってる!
ユウナ達が他国と色んな交渉をしてくる間にちょちょいっと直しておくつもりだったのに!
「おいぃい……あんなところに、ノリオ王様がいらっしゃるじゃねえかあ……ヒャハア」
げぇええええ!? 見つかった!?
「おい! ノリオ王様よお! 矢宮って知ってるか?」
「や、野球?」
気付けば、周りを袖がないモヒカンゴロツキ共に囲まれている。
そして、全員が弓矢を構えている。
「矢宮ってのは、こういうのだよ!」
うああああああああああああああああああ!
めっちゃ矢が飛んでくるんですけどぉお!?
俺の知ってる野球と違うんだけど!
俺の知ってる野球は、大体幼馴染のマネージャーとイチャイチャして、なんかボール投げてバットで打つ暑苦しい話なんですけど!?
って、そんなこと考えてる場合じゃない! 勇者ノリオを舐めるなよ!
俺は残像を生み出し矢を躱す。
「ふ、残像だって、うわああああああ!」
残像とか関係なしにめっちゃ矢をうってくるんですけどおおおお!
ま、魔法を撃つ暇もねえぇええええ!
そして、俺は袖を引きちぎられながら必死で逃げ出したあと、ぼっこぼこにしてやろうと思ったけど、また、ちょっともれちゃったので、一旦城に帰った。
あー! どうしよう! ユウナ達になんて言い訳しよう!
っていうか、プリンちゃんは何してるのさ!
と、城に戻ったらまた手紙が。
『ノリオ様へ☆ 稼ぐだけ稼げたので 実家に帰ります プリン』
「はぁあああああああああ!?」
逃げられた……?
嘘でしょ、じゃあ、この状況を、俺一人で……。
「お、俺も逃げ出さなきゃ……」
「「「ノリオさまぁあああああ! 逃がしませんよぉおおおお!」」」
飛行魔法を使おうと窓に立った城の男共が俺に抱きついてくる! 熱い! ウザい! 離せ!
「もうやだあああああ! ゆるしてぇえええ!」
俺は世紀末城下町を眺めながら絶叫した!
この国はもう詰んでいる、だって絶対!
「ヒャハア……! メルヒェンの女王よ、これでよいのか?」
「ええ、これで己の問題に気付けなければもうこの国は終わりです。彼女達もすでにきづいて他国で必死に頭を下げて回っていますし……それより、レオンハルト様は……あのたくましい筋肉に包まれたいのに……! たすけて、筋が、肉が、足りません……!」
なんか城下町から聞こえた気がする!
俺も、たすけてぇええええええええええ!
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