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ニポン25歩目 ヤキュウした! 代わりに!

「ヒャッハー! 名前だけは立派な獅子王学園なんかに負けるかよ!」


対戦相手の後呂月西高校の一番バッターが現れる。

袖がない。何故だ。

そういえば、ヴェルゲルガルドのゴロツキも袖がなかったし『ヒャッハー』という鳴き声だった。そういうものなのだろう。


私はキャッチャーだ。ヴェルゲルガルドの【矢宮】では黒くて見えづらい矢が飛んできていた。それに比べれば、白い球はとても見やすい!


「ごぶりん、思い切り投げてこい」

「おう! モテたあああああああああああああい!」


ごぶりんが純粋に不純な目でボールを投げる。

ごぶりんはショウヘイ王タニになりたいらしくピッチャーを譲らなかった。

なんでもショウヘイ王タニは二刀流らしい。

いつか私も戦ってみたいものだ!

そんなショウヘイ王タニを目指すごぶりんの一投!


へろへろ~。


うん! スライム位遅いが魂はこもっている!

だが。


「ヒャッハー!」


ゴロツキは飛んでくるスライムをいじめるのが楽しいと言わんばかりに思い切りこん棒、じゃなかった。バットで叩いてくる。だが、打球はボテボテでファーストとセカンドの間に。

ごぶりんは、カバーの為にファーストへ走っていく。そして、


「ヒャッハー!」

「ひでぶぅううう!」


一番ゴロツキが体当たりでごぶりんを吹き飛ばす。


「ヒャッハー! セーフ!」


今日は練習試合で審判は余った選手。つまり、後呂月西高校の控えがやっている。

どうやら平等な判定はしてくれなさそうだ。


「ご、ごぶりん君! ど、どうしよう……人数が居ないから」

「が、外野で休んだらすぐに復活しますから……先輩たちの野球部がかかってるんですから……それに、モテたい!」


純粋で不純な目でごぶりんが燃えている。

野球部の先輩方は戸惑いながらもごぶりんに従う。


だが、その後も


「ヒャッハー!」

「ヒャヒャッハー!」

「ヒャッハーヒャッハー!」

「オンナトカネトサケヲヨコセェエエエエ!」


悪逆非道のラフプレーで先輩たちもまたボコボコにされてしまう。


「貴様ら!」

「そんなに怒るなよ、たかが練習試合だヒャハ」


ゴロツキ共が笑っている。お前らはいつもそうだな。

ヴェルゲルガルドでも数と暴力に物を言わせて好き勝手を……!


「ぐ、ぐふ……言ってくれるじゃねえか。だが、野球漫画ならよくあるだろう。こっから本気出して大逆転って展開が……!」


ごぶりんが何か言っている。ボロボロだ。あと、袖がない。とられたのか?


「くそ……俺がヒャハられなければ本気が出せたかもしれないのに……袖が……」


ヒャハるとは?

いや、それはいい。それよりも……。


「……せんぱい」


辺見さんが悲しそうな目でこっちを見ている。

ゴロツキと、私のせいだ。


「ごぶりん、私は……本気を出すぞ」

「ヒャハ? ノリオどういうことヒャハ?」

「何が本気ヒャハァアアア! もう10対0! 俺達ゴロツキ西高校の勝ちヒャハ!」


私はキャッチャーの装備を外す。

ズシンという音を立て、キャッチャーの装備が地面にめり込む。


「「「ヒャハアアアアアアアア!」」」


超賢者様、すみません。力をセーブする為に特別に作って頂いた重力魔法20倍のこのキャッチャー鎧を外させていただきます。それと、


「本気で勝ちに行く。これで、お前らはもう……負けている」

「いや、まだ10対0ヒャハ!」

「ごぶりん! お前モテたいんだろう! こんな所で寝ててモテるかよ!」

「ヒャハ……そ、そうだ……●ムチャはいやだ! 後方腕組み戦闘解説者はいやだ! 俺は! 戦う! モテたい!」


ごぶりんが立ち上がり、試合再開。

先輩たちには外野で固まっておいてもらう。これならゴロツキも来ないだろう。


「うおりゃあああああああ!」

「ヒャハアアアアアアアア!」


ごぶりんのスライムボールをゴロツキが打つ!

それをキャッチャーの私が回り込んでとる!


「ヒャハ?」

「なんでファーストゴロをキャッチャー取ってんのぉおお!?」


ごぶりんうるさい!


「本気で走ったからだ!」

「マジィイイ!?」

「ヒャッハーな速さ出してんじゃねえぞ! これでも喰らえ! ヒャッハータックル!」


私が一塁を踏んだにも関わらず突っ込んでくるゴロツキ。ならば、

私がとんとんとボールを持ったキャッチャーミットで叩くとゴロツキが止まる。


「ひゃは? い、今のは……?」

「お前はもう死んで(アウトになって)いる」

「びゃばあああああ!」


一瞬遅れてゴロツキが吹っ飛ぶ。

さあ、反撃開始だ。


人数がいない?

いないなら増やせばいいじゃない!


「いや、ノリオの残像がピッチャー以外全ポジション守ってるんですけどぉおおお!」

「「「ヒャハアアアアア!?」」」


これはノリオ様が『ふ……残像だ……』をやりたくて付き添った時に覚えた秘技だ!

貴様らに破れるものか!


「ヒャハアアア!」

「ひゃはあああ~」


あっという間のスリーアウト。

一番バッターは私だ。

こんぼう、じゃなくてバットを持ちバッターボックスに。


「喰らえ! ヒャッハーボール一号!」


そう叫んだゴロツキのボールはまっすぐに私の元に。

矢宮を、思い出すな……。


「うらあああああ!」


裂帛と共に私はこんぼう、ではなく、バットを振る。


「ヒャッ……ハアアアァァァァァ……!」


ボールを受け止めたピッチャーヒャッハーがホームランゾーンまで飛んでいく。

またつまらぬものを打ってしまったな。


「「「ヒャハアアア!?」」」


その後も。


「ふん!」

「ああああ! ノリオの素振りの風圧で相手ヒャッハーピッチャーの投げたボールがあらぬ方向に飛んで行ってフォアボールにぃいい!」


「ふん!」

「ああああ! ノリオの素振りの風圧で相手ヒャッハーピッチャーのボールが止まってみえるって言うより止まったので打ち放題ぃいいいい!」


「ふん!」

「ああああ! ノリオの素振りの風圧で相手ヒャッハーピッチャーから打ったボールが風圧に乗ってすごい飛んでいくー!」


「ふん!」

「ああああ! ノリオの素振りの風圧で相手ヒャッハー選手が吹っ飛んでいくぅうううう!」


ごぶりんがずっと解説をしてくれている。

私も負けていられないな!


本気を出すつもりはなかった。本気を出すことで、滅茶苦茶にしてしまうと分かっていたから。ヴェルゲルガルドでもそういうことはあった。ノリオ様の世界の理を無視したような強すぎる力を目の当たりにして騎士を辞める者も、魔法使いを引退するものもいた。

だが、ここではそうなってほしくない。

調和で守られるべきだと。

だが、理不尽な悪によって悲しむ人間がいるのであれば。


「私は本気を出させてもらう! ああああああああ!」

「あああああ! ノリオが、野手全員と審判とメルマネージャーの手伝いと、観客と応援団の十二刀流だぁあああああああ!」

「「「ヒャ、ヒャハアアアアアア!」」」


そして、私は守ることに成功した。野球部と、


「せんぱい! すごいです!」


後輩の笑顔を。




「いや、良い感じに纏めようとしてるけど、グラウンドがボコボコ、相手ボロボロ、世紀末状態だからなぁああああああ!」


お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


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[一言] 日◎タックル!
[一言] ニンジャの野球やラグボールよりひでぇ!!
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