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ニポン22歩目 つんでれ妹が出来た! 代わりに!

「あ、あのー、リオナ、さん……?」

「近づくな、近づいたらころす」


殺されるらしい。流石ノリオ様の妹様。

あんな膝を抱えた状態で顔を隠していても殺せるらしい。

身体中が真っ赤だ。

相当お怒りに違いない。


ちなみに、『それ?』等と言って、リオナ様をヴェルゲルガルドで幼子を攫っては悪魔の生贄にしていた秘密教団【魔の者】の一員だと勘違いしていた勘違い野郎どもは、海部さんに連れられていった。

海部さんは思った以上に熱い男らしく。


『全部聞こえていたよ! いやー、お熱い! 苦難は多いかもしれないけど、僕は応援するよ! ファイト!』


と、熱い言葉を送ってくれた。

確かに。

私がノリオ様の代わりを果たす為には越えねばならない苦難、壁は沢山あるだろう。

だが、私は諦めない!

諦めるわけには行かない!


何故ならば!


「リオナ……」


私はリオナ様に近づき声を掛ける。


「来るな、ころすよ」

「ころされてもいい」

「はあああ!?」


リオナ様が顔を上げる。顔が真っ赤だ……。

やはり、怒っている!

であれば、どんな必殺の技でも喰らおう!

だが、死ぬ前に伝えるべきことだけでも伝えておかねば!


「こ、ころされてもいいって……」

「リオナになら、ころされてもいい」

「はぁああ!? はぁああああ!? はぁああああ!?」


どんどん顔が赤くなっていく。

レッドドラゴンも真っ青な赤さだな。ふ……赤なんだか青なんだか……。


「馬鹿じゃないの! 殺されてもいいなんてそんな簡単に……」

「わた、俺は! お前の兄だ! だから、お前が守れるなら死んでもいい」


それだけは伝えたかった。

勿論、私はノリオ様の代わりだ。

それでも、この子の兄になったんだ。

兄は妹を守る者なんだと、いや、そうではないな。

妹が出来たのなら、私は守りたい。私に初めて出来た家族の一人なんだから、命を、私の全てをかけて。

それだけの、私の我儘だ。


私は出来るだけ伝わるよう真っ直ぐリオナ様を見つめて伝える。

すると、リオナ様は……涙を浮かべた。


「ばかあ……ばかあ……何よ、兄貴面して……! おに、お兄ちゃんみたいな事いって、妹扱いして……本当に守る気あるの!?」

「ある」

「命かけてって本気で言ってんの!?」

「言ってる」

「馬鹿じゃないの!」

「馬鹿じゃない!」

「馬鹿よ。あんたがあたし守って死んだらあたし多分泣く……だから、簡単にころされてもいいなんて言うな……ばかあ……」


そう言ってリオナ様は私に抱きつきわんわんと泣き始めた。


「ごめんな、簡単に殺されてもいいなんて、もう言わない。リオナを守るから、死なない」

「ばかあ、ほんとばかあ……今までいなかったくせに、急に帰ってきて急にちゃんと、ちゃんとしたお兄ちゃんになって……ばかあ……」


ちゃんとしたお兄ちゃん?

ああ、エンチャントしたお兄ちゃんと聞き間違えてしまったんだな。

確かに、私は色んな方からの援護を受けてノリオ様の兄として此処にいるものな。


「そうだな、すまない」

「ばかあ……前もお兄ちゃんらしいことなんにもしてくれなかった癖に……困っていても助けてくれなかった癖に……さ、さっき言ったみたいな事にも気づいてなかった癖に……」


ん?

ああ。

いや、それは違う。違うんですよ。きっと。


ノリオ様はそうやってダメな兄を演じながらきっと影ながら助けてくれていたのです。

だが、私にはそれは出来ない。私は不器用だから。


「ごめんな……これからはもっと頑張るから」

「う、あ、そ、う、そうじゃなくて……あの……あ、ありがとう。助けてくれて」


リ、リ、リオナさまぁぁああああああああああああああ!

リオナ様が! 面と向かって礼を言って下さった!

ノリオ様のようにダメ兄の振りをして影ながら救うという事が出来ない私に対して感謝の言葉を!

もったいなき! もったいないお言葉!


「あの、その……おにい、ちゃん」


リ、リ、リオナしゃまぁあああああああああああ!

リオナ様が、リオナ様が、お兄ちゃんと呼んでくださった!

ノリオ様のようにダメ兄の振りをして影ながら救うという事が出来ない私をお兄ちゃんと!

もったいなき! もったいなき! もったいなきお言葉ぁああああ!


「え? ちょっと待って……なんで、泣いてるの?」

「だ、だって……リオナが、おにいちゃん、と……」

「だ、だって……お兄ちゃんっぽいことしてくれたんだからお兄ちゃんだと思ったし、呼ぼうと思ったんだもん……なに、だめなの?」


リ、リ、リオナびゃばぁああああああああああああああ!

リオナ様が、リオナ様が、お兄ちゃんだと認めて下さった!

ノリオ様のようにダメ兄の振りをして影ながら救うという事が出来ない私をお兄ちゃんと認定して下さった!

もったいなき! もったいなき! もったいなき! もったいなき! もったいなきお言葉ぁああああ!


「駄目じゃない! これからもそう呼んでもらえるよう、俺、頑張るから……俺をしっかり、見ていてくれ!」

「え……あ、うー、あ、うー、う、うん。その、しっかり、見ちゃうからね。おにいちゃんのこと。だから、これからもちゃんとおにいちゃんしてよね。……へへ」


び、び、びぼばびゃばぁあああああああああああ!

リオナ様が笑って下さった!

このレオンハルト、今日という日を絶対に忘れません!


「あ、ああ! お、お兄ちゃんに出来る事があったら何でも言ってくれ! 俺はリオナのお兄ちゃんだからな!」

「うん! あー、じゃあ、その、一個お願いして良い?」

「勿論だ!」






「へへへー♪」


リオナ様が私の背中で笑う。

そう、今、私はリオナ様を背負っている。

先程の男達のやりとりはやはりか弱いリオナ様にとってとても怖かったようで足が震えて立ち上がれなかったらしい。なので、背負って帰って欲しいとそう言われたのだ。

兄とは妹を背負うものらしい。なるほど……。


「あ、家が見えた、よ……俺達の家」

「うん、へへ……あ、ありがとね。今日はさ、おにいちゃん、アイツらの言ってた、その、ナイトみたいだったよ」


本当にリオナ様は素晴らしい方だ。少し素直ではないが、それでも、しっかりと感謝を言える素敵な妹だ。何がどうなればこんな素晴らしい方が生まれてくるのか。


バン!


「レ、レオ!? なんでそんなことに!?」


突如、ご近所のユイさまの家のドアが開かれ、血を何かの管で身体に流し込みながら、レバーを両手の皿いっぱいに盛ったユイさまが現れる。いや、ユイさまこそ何がそうなったらそんなことに!?


「ちょっと~ユイ~そんな興奮したら」

「あばばばば……」

「鼻血出るって~。ごめんね~、レオ~、また連絡する~」


そう言ってユイさまの家から現れた賢地谷超子様が鼻血を噴き出したユイさまを抱えて去っていく。


「あ、あはは……ユイちゃんってなんか人が変わったよね……」


いえ、リオナ様、人が変わったのは私です。


「それで、さ……レオってもしかして、おにいちゃんのこと?」

「そ、そうだけど……」

「……わたしも、レオお兄ちゃんって呼んでいい?」

「え? で、でも……昔はレオと呼んで欲しいって言って嫌がったって……」

「いやがったって?」

「いや! 呼んで欲しいって言って……やがってー、えー、やがて! やがて言ってくれるのかなって」

「そうだよ。前はレオって感じじゃなかったけど、今はすっごくレオって感じだもん」


あびゃあああああああああああ!

バ、バ、バレてる!?

流石リオナ様賢い! 毎晩こっそり勉強頑張っているだけある!

いや、だが、まだ確信には至ってないはず! 動揺するな!

極端な言動は怪しまれるぞレオンハルトォオオオ!


「そ、そっか。うん、じゃあ……良いよ。呼んでくれ、レオって」

「うん、レオお兄ちゃん!」


ぐふ!


わ、わ、私はぁあああ! 必ず! 妹であるリオナ様を守ります!

ノリオ様! お任せ下さい! こんな可愛い妹絶対に守って見せますとも!


「ただいまー」

「た、ただいま」


ノリオ様の家に戻ると、お母様が迎えに来てくださる。


「あらあらまあまあ、いつの間にか昔みたいに仲良くなっちゃって……」

「「昔みたいに?」」


私とリオナ様の声が重なる。


「ちょっと待って。わたしそんな記憶ないんだけど……」

「ふふふ……そうよね、幼稚園くらいの頃だもんね。あの頃は『おにいちゃんとけっこんするー』って言ってたのよ」


なるほど、ふふ……やはりノリオ様は……。

私も頑張らねばな……。


「は、はぁああああ!? そんなの記憶にないし、な、なに、あんたもニヤついてんのよ!」

「俺も結婚するって言ってもらえるよう頑張るよ!」


……あ。違う。いいまちがえた。


「はぁあああああああああ!? 絶対そんなこと言わないから! ちょっとかっこよくなってちょっとやさしくなってちょっといい感じだからって調子にのんなよ! ばーか!」


そう叫んで顔を真っ赤にしたリオナ様が部屋へ帰っていく。

あれ? 歩いてる? ……とか言ってる場合か!

あ、あ、あ、あぁあああああああああ!

またやってしまったなぁあああ! 愚かなレオンハルトォオオオ!


反省する私の肩を母上が叩く。


「な、なに? お、おふくろ」

「……いいこと教えてあげる。リオナはね、ツンデレの時はさっきみたいに髪を撫でるの。だからさっきのは照れ隠しよ」


なるほど! 勉強になります! また一つ賢くなれました!


だが、それ以降、


「ほら、リオナ、忘れ物」

「あ、ありがと……あ! でも、調子に乗らないでよね!」

「あ、髪を……お前さては、今のツンデレだな!」

「はぁあああああ! ち、ち、違いますけどぉおおお!? っていうか、そういう事を口に出して言うな! レオお兄ちゃんのばーか!」


怒られたのだが……ツンデレが分からない!

ああ、愚かな愚かなレオンハルトォオオオ! 確かに私は馬鹿だ! もっともっと勉強せねば!

お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。

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