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ニポン21歩目 妹の為に怒った! 代わりに!

「ノリオ君、君は一体何者だい?」


今回の勉強会の指導役、海部理人かいふ りひとさんが眼鏡を直しながら問うてくる。

ちょま騒動以外は、あのあと勉強会は特に問題がなく終わった。ちょまは見つからなかったが……!

私は、見学だけではあったが非常に面白かった。

それで油断していたせいか、海部さんの接近に気付けなかった。


「は? と、と言いますと?」


危ない! 動揺してしまった! 私の正体がバレたのか……?


「いや、君、せっかくだからと解いてもらった問題、ほとんど正解してたんだけど」


部屋の学生たちがざわつく。


「え? マジで? すごくない?」

「結構むずかったよね? 今回……」


なるほど。

よかったぁあああああ! どうやらノリオ様のすごさを伝えることが出来たようだ!

やりましたよ! ノリオ様!


「ふん、あんま調子に乗らない方がいいわよ」


リオナ様がそう仰ると、部屋が一気に静まり返る。

リオナ様はこの中でもやはり目を引く存在のようで一挙手一投足が注目されているようだった。

皆が私からリオナ様へと視線を移す。


「鈴木さんってさ、ちょっとキツめだよね」

「そうそう、化粧もばっちりしちゃってさ。このあとも男にでも会いに行くのかな」

「ちょっと、あんたら」


リオナ様の隣に居た薄桃色の混じった髪の、勉強会で終始リオナ様と仲良くされていたご友人が立ち上がろうとするがリオナ様が制す。


「麗良……ほっときな。あたしがモテるからひがんでんのよ」

「な……!」

「こっちに悪口言う暇あるなら、自分磨けばー?」

「確かに!」


は! 思わず声に出してしまっていた! 

みながこっちを見ている。


「すみません! 声に出てしまいました!」


リオナ様はそんな私を見ると、ぷいと外へと出てしまう。

やはり、まだ兄と認めて頂けてはいないようだ。

努力せねば!


『レオ~、リオナを追った方がよいかと~』


さぶ賢者様がそう仰られる。

何かあったのか?!

私は、何か話しかけてこようとする女性達を置いて、慌てて部屋を飛び出した。


「それマ?」


リオナ様が、海部さんについてきていた先輩たちに囲まれていた。


「いやいや、鈴木さん、だからさ、このあと、一緒にごはんに行こうよ」

「……お断りします」

「えー、それマ? めっちゃ美味しい高級なとこ知ってるんだけど?」

「結構です」

「それマ?」

「めっちゃ映える雰囲気の良い感じの、芸能人とかも使う個室のとこなのになあ。それに……ウチの親父、結構なコネ持ってるから仲良くしとくと大学入学に有利かもよ」

「……!」


先輩たちは、リオナ様をお食事に誘いたいようだが、食事に誘うために大学入学の話とはこれいかに?

リオナ様は少し考えたような素振りを見せるが顔を上げ、


「それでも、お断りします」

「……それ、マ?」


あの男……しつこいな。


「あなたの女になるかどうかで合格不合格が決まるわけなんてないし、それで決まるならそんな大学に未来があるとは思えません。そうなれば……別の道を目指します」

「それマ? 頭悪すぎん? 大体さ、鈴木ちゃんさ、もっと、用心した方がいいよ。君狙ってるヤツなんてごまんといるぜ。エロい身体してさ……結構遊んでるんでしょ? 君を守るナイトが必要だと思うけどなあ」

「そんなの必要ありません」

「それ、マァア?」


男が小馬鹿にするようにリオナ様を見て笑う。


「いい加減にしろ!」


思わず叫んでしまった。

だが、もう許せない! あの男の言動は聞くに堪えない!


「ノ、ノリオ?」

「な、なんだよ……なにマジな顔してんだよ? 止まれよ! なんだよ! 何か言いたいんなら言えよ!」


男がそう言ったので私は遠慮なく思いのたけを言わせてもらう!


「誰が……誰の妹がじゃぁあああああ!」

「……え? え? えぇえええええええ?」


さっきから聞いていればコイツ、それ魔? それ魔? などと……誰が、幼子を攫っては悪魔の生贄にしていた秘密教団【魔の者】だ! リオナ様はそんな方ではない!


「え? ちょっと待て、お前何言ってんの?」

「何言ってるのだは貴様の方だぁあああ!」

「えぇええええええええええええ!?」

「いいか! この子はな、母上が一人で頑張っているからこそ迷惑を掛けぬよう勉強を遅くまで頑張っているし、遅くまで頑張った疲れた顔を見せぬようお化粧をばっちりしている! そのくらい健気なのだ!」


化粧は女の戦闘状態なのだと昔、女戦士傭兵団の団長レイにも教えてもらったな。

戦化粧なるものをいつも顔に描き、心を奮い立たせているのだと。

大体、化粧は大変なんだ!

潜入捜査で女装する時に、レイに手伝ってもらったがそれはそれは大変だった!

美しく描くのにも努力がいるのだ! そのくらい、リオナ様は色んな努力をしている!

さぶ賢者様曰く、金色の髪も本意ではなかったが『かっともでる』とかいうので金がかからないからと! 本当に……。


「本当に健気で良い子なのだ! 大体、苦手なお野菜も目を閉じながら一生懸命口に入れて物凄くよく噛んで食べる姿は立派だし可愛い! 母上のことを何かと気に掛けるのにちょっと褒められるとつんとするのもかわいらしい! 『てれび』を見てる時に表情がころころ変わる様などもう聖剣以上の価値があるんだ! それに……私にもなんだかんだ悪態をつきながらも、何かしてくれた時には、ちゃんと小さい声で感謝の言葉を呟いてくれる良い子なんだ! それを何が魔じゃぁああ!?」

「やめて……」


リオナ様がぼそりと呟く。俯ている。リオナ様……。


「やめてやめてやめてやめてぇええええええええ! はずいはずいマジではずい! ばかぁあああああああああああああああああああああああ!」


怒っていらっしゃる! ああああああああ!

また、やってしまったな! 愚かなレオンハルトォオオオ!

お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


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