ニポン19歩目 勉強をする! 代わりに!
「ノリオ、母さんがお風呂いいよって」
「分かった! ありがとう」
「……」
いつもは二つ結び、もとい、ツインテール(覚えた)にしている金髪を下ろしているリオナ様がわざわざ部屋まで来て教えて下さる。
流石ノリオ様の妹だ。お優しい!
だが、疑われてもいる。
今もじーっと私を見つめてくる。
ノリオ様の鋭い目つきとは違い、大きな可愛らしい瞳の中に私が映る。
「あんた、ほんとにポスターとったのね」
「モンスター!? どこに?」
まさか、部屋の中にモンスターが!? くそう! 油断した!
愚かなレオンハルトォオオオ!
「モンスターじゃない! ポスター! 女の子の書かれたやつ!」
なんだ、アレか……。アレらは綺麗に纏めて物置に入れ、週末だけ広げて空気を通している。
「なんだ、焦りましたよ」
「いや、焦ったのはこっちよ。っていうか、あんた、勉強してんの?」
リオナ様の視線が私の手元に。
そう、私は勉強をしていた。ヴェルゲルガルドでいとも簡単に極大魔法を覚えていたノリオ様ならば、ニポンでも学問の成績は圧倒的に違いない。だから、追いつかねばと努力していたのだが……。
……は!
し、しまったぁああああ!
ノリオ様はこんなに勉強なんてしない!
一瞬で覚えてしまうのだ! それを疑われているに違いない!
「してない」
「いや、してるでしょ。テスト前に、俺勉強してないわって言う奴いるけど目の前でしてる痕跡あってしてないっていうヤツは初めて見たわ」
ああああああああ! そりゃそうだ! 愚かなレオンハルトォオオオ!
私は焦るといつもこうだ!
「……なんの勉強してるの?」
「と、トウダイの……」
「はぁあああああ! とうだい!?」
リオナ様が驚愕の表情を浮かべている。
やはり!
ノリオ様はトウダイレベルではなかったか!?
この世界のトウダイはニポン最高の学問の場と聞いていたが、やはりノリオ様はそれ以上なのか! 流石ノリオ様!
「あのさあ、嘘も大概にしときなよ。ばーか」
そう言ってリオナ様が去っていく。
ああ、やってしまったな……! 愚かな、レオンハルトォオオ……。
せめて、早くこの問題を解けるようになり、リオナ様に認めてもらわなければ……。
改めて決意し、東京大●の問題集を机にしまい、風呂へと向かう。
リオナ様には、未だに兄と呼ばれたことはない。
まだノリオ様には遠く及ばないからだろう!
もっと努力せねば!
パシャリ。
風呂で服を脱いでいると、さぶ賢者様が何やら魔法を使っていた。
『レオンハルトのヌード、ゲットだぜ。送信だぜ』
どういうことですか?
「ふぉおお……!」
おや、どこかで発情したアラクネの鳴き声のような音が……。
ユイさまに似ていた気がするが……気のせい気のせい。
その後もことあるごとにさぶ賢者様がぱしゃぱしゃしてきて、どこか遠くで悲鳴が聞こえた。
『ごめんなさい、ちょっと血が足りなくて。午後からに予定を変更させてください』
そう、ユイさまから連絡が来たのは土曜の朝だった。
今日はニポン勉強という事でユイさまと出かける予定だったのだが……。
よほどの強敵と戦っていたのだろうか……ユイさまが動けなくなるほど血を流し過ぎるとは。は! まさか! 昨日の悲鳴はやはりユイさま!?
一体、何と戦っていたんだろうか……!
『りせい、もしくは、おのれとのたたかいー』
……なるほど! 教えてくれてありがとうございます! さぶ賢者様!
しかし、どうしようか。もう出かける準備はすませてしまったし……。
「なに? あんたも出かけるの?」
見ればリオナ様がいらっしゃる。
「おはよう、リオナ。今日も可愛らしいね」
「……! は、はあ! 最近見る度にそれ言うけど、キモいんですけど!」
キモかったらしい! 今日もダメだったか愚かなレオンハルトォオオオ!
色んな方法で褒めてはみたのだが、やはりノリオ様のようにはうまくいかない……。
だが。
「本当に、かわいいと思っているのだが」
「はぁあああ!? はぁああああ!? 意味わかんないんですけど! だ、大体! あたしの質問に答えなさいよ! 出かけるのって聞いたでしょ!」
リオナ様が顔を真っ赤にして怒っていらっしゃる。
怒った顔も可愛らしいがこれ以上は不味いだろう。
そういえば、リオナ様は、ヴェルゲルガルドにいた【殲滅の魔導士】リエナに似ているな。
彼女も褒めると顔を真っ赤にして怒っていた。
ノリオ様にはいつも蕩けたような笑顔を見せていたが……。
「で、どっか行くの? いかないの?」
「あ、ああ……出かけるつもりだったんだけど、ユイが……その、体調崩したみたいでね……」
「ふーん、ユイ、さんとね」
「それより、リオナ、は? どこかに行くの?」
リオナは装いは可愛らしいが、結構重そうな鞄を持っている。
「ウチの先輩が開く勉強会に友達から誘われたから行ってくるの。……あんたの好きなトウダイ行った先輩のね」
なんと! 灯台守になった先輩がリオナにはいるのか!? そういえば、リオナはノリオ様と違う学校で頭の良い学校らしい。流石ノリオ様の妹様だ!
だが、これは……チャンスでは?
「お願いします! 俺もその勉強会に連れて行ってくれないか?」
「はぁああああ!? なんであんたが! 超部外者じゃん!」
「お願いします!」
「ち、近い近い! ……一応、聞いてみるけど、絶対無理だと思うわよ」
リオナ様がそう言ってすまーとほんを取り出す。
『あーあー、ちょうけんじゃー? ちょっとごにょごにょ』
さぶ賢者様がなにかごにょごにょしている。
「あ、もしもし……おはようございます。はい、鈴木です。あの……今日の勉強会なんですけど……ウチの兄が見学だけでもって……あー、そうですよね? 当然ですよね。わかりまし……あば? あばってなんですか……え? えええ!? いいんですか? わ、分かりました。じゃあ、連れて行きます」
『いえす、ちょうけんじゃ、ぐっじょぶ』
すまーとほんを下ろしたリオナ様がこちらを見て近づいてくる。
「来ていいって奇跡的に言われたけど、絶対に余計な事しないでよね?」
「勿論! ありがとう! リオナ!」
「~~~! 手を取るな! ちょーし狂うわ、コイツ……」
いよおっし! 勉強会で沢山勉強をして早くリオナ様に認めて頂けるよう頑張るぞ!
余計なことはしないよう気を付けながら!
『ふっふっふ、一級ふらぐ建築士~』
よく分からないがさぶ賢者様に褒められた気がする!
がんばるぞ!
お読みくださりありがとうございます。
折角のコメディーなので、新しい試みを。
使います! とは保証できませんが、学校や上京あるあるやネタ、シチュエーション募集します。もし、何かあれば。
使うとは保証できませんが。
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『英雄たちのアシナガおじさんが冴えない私なので言い出せない』
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