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ニポン14歩目 オヒルヤスミを迎えた! 代わりに!

今日も朝からコメディーコメディー!

お昼休み。

午前の授業が終わりお昼休みとなった。


この時間に昼食を済ませ、十分に休息を取り午後からの授業に立ち向かえという事らしい。


さて、お昼はノリオ様の母上から昼食代を頂いているので、ガクショクか、購買部に行って買うかすればいいのだが。


「あ、あの……レオ?」


振り返ると大きな包みをユイさまが顔を赤らめて立っていいらっしゃる。


「ユイ、どうしましたか?」

「あ、あのね……わたしね、その、おべんと……」

「おーい、すっずき~」


ユイさまのお言葉の途中で、少し小柄なニヤニヤした男が近づいてくる。

確か……ゴブリン。


「よお、俺、五分一燐二ごぶいち りんじだ。よろしくな」


ちがった。ごぶいちりんじだった。


「せ、星城さんもよろしくね、へへ」


ユイさまを見る目が厭らしい。やはりゴブリンだ。お前はゴブリンだ。


『ゴブリン。悪の尖兵として主人公の前に立ちふさがり敵対する魔物。やられ役や戦闘員と言った役どころが多い。臆病で狡猾で欲深い、クズオブクズやモブ、雑用役で描かれることが多い……ん?』


超賢者様、ありがとうございます。ですが、その知識は一体どこから?


「ごぶり……じゃなかった。五分一どうした?」

「ちっちっち。俺のことはゴブリンでいいぜ!」


ゴブリンでいいらしい。


「俺は良いゴブリンだからな」


良いゴブリンらしい。

そういえば、ヴェルゲルガルドでも友好的なゴブリンがいたな。

同じゴブリンから仲間外れにされても私と共になろうとしてくれたあのゴブリンは元気だろうか。ノリオ様からは力を与えてもらえなかったが私と共に努力をして強くなったヤツならきっとうまくやっているだろうが。


「おい? おい? 鈴木?」

「ああ、すまない……ちょっと昔を思い出してしまっていた」

「あー、そっか。んでさ、鈴木さ、一緒に昼飯くわね?」


なんと! 昼食の誘いだと! これは、ノリオ様の仲間を作るチャンスなのでは!


「よ、よいのか?」

「ああ! お前なんかめっちゃ面白そうだし! 星城さんと仲いいしぐへへ」


おいゴブリン。本音が隠せていないぞ。

だが、あのゴブリンもそうだったな。仲間になる為に必死に己の内なる欲望と戦っていた。


「ユイじゃなかった、星城さんが良ければ構わないが」

「わたしはいいよー。でも、もう一人一緒でもいいかな?」


ユイさまがそう答えるが、もう一人?

気付けばユイさまの隣にすらりとした女性が立っている。


「おいーす。あちしぃ、賢地谷超子ぉ、よろしくぅ」


多分超賢者様だ。多分幻影の魔法だ。


「まったく超賢者扱いの荒い女だぜぃ……」

「ごめんね、超賢者ちゃん」

「タピオカおごりなー」


ユイさまを助ける為のようだ。く! 私が不甲斐ないばかりに!

すみません! 超賢者様!


「うわお! 星城さんのDよりはないが、美しきB! スレンダーレベルは圧倒的! こ、こんな美人一体どこに?!」


ゴブリンがいつの間にか何かのレベルを見定めている!

コイツ……鑑定スキル持ちなのか!?

だが、目がいやらしい! いやらしいぞ! ゴブリン!

し、しかし、超賢者様は謎の存在。知られない方がよいのでは?


「ふっふっふ、美人には謎が似合う。そう思わない?」

「思います!」

「詮索しない方がミステリアスビューティー。あはん?」

「イエス! ミステリアスビューティー! アハン!」


流石ゴブリン。単純だった。

ということで、四人? 四人で昼食を取る為に一旦場所を確保しようという事で中庭にやってきた。うむむ、陽の光も差し良いところだ。だが、植物系モンスターが居なければよいが。


「ノリオ何やってんの?」

「いや、トレントが現れないか警戒を……」

「現れるかよ! 異世界じゃねーんだから! トレントって木のモンスターかなんかだろ?」


は! そうだった! いかんな、ここはニポンだ。ヴェルゲルガルドではない。


「そうだな……ゴブリン。ここはニポンだ。異世界じゃあない……」

「あたり前の事を感慨深く言うのなんなの? 仕様なの? ……ぷ。お前、マジでおもしれーな!」


ゴブリンが笑っている。やった! ウケたぞ!


「で、ノリオ、どうする? お前も見た所昼飯ねーんだろ? 一緒に購買行くか?」

「ああ」

「あ、あの!」


私がゴブリンと一緒に購買部へ向かおうとしたらユイさまが声を掛けて来られた。


「あ、あの……ね。わたし、お弁当作ってきたの。これ、よかったら……」


そう言って差し出されたのは……。かなり丸くて大きな……。

私はそれを受け取ると精一杯の感謝の気持ちを顔で伝える。


「ありがとうございます。随分と大きくて硬いパンですね……」


ニポンにはこんなパンがあるのだな……。


「いや、弁当箱ぉおおおおおおおお!」


ゴブリンが叫んでいる。顔がおもしろいな、ゴブリン。


「弁当、ばこ……?」

「知らねえのかよ! 弁当箱! これは箱なんだよ! この中に飯が入ってんの!」


なん、だと……?

蓋を開けると確かに彩り豊かな美味しそうなものが入っている!


「ごはんの宝石箱か!?」

「お前、彦●呂?」

「いや、ノリオだ」

「分かってんだよ! っていうか、マジ宝石箱かよ! めっちゃ美味そう! せ、星城さん、俺も食べていい?」

「うん、いいよ。じゃあ、二人で仲良く分けて食べてね。あ、フォークとスプーン入ってるからそれで食べてね」


小さな何か不思議な素材で作られたフォークとスプーン。とてつもなく軽い、まさか……!


「これがミスリル!?」

「んなわけねーだろ! プラスチックだわ! プラスチック! お前な! 何、芸人でも目指してんの? ボケが多すぎて処理が追い付かないんだよ!」

「申し訳ない。まだ私は死ねない。だから、命だけは……」

「うるせぇえええええ! もう食えぇえええ!」


急にゴブリンが怒り始めた。ゴブリンの考えはよく分からない。

だが、フォークとスプーン。

ユイさまのお心遣いが沁みるな……。

食べるととてもおいしい。


「うまい! おい! ゴブリン! うまいぞ!」

「やっぱそうか! いただきます! うめぇえええええ! 美少女飯は全部ダークマターってのはフィクションの話だったんだ!」

「おい! ダークマターが存在するのか!? 錬金術師なら喉から手が……」

「お前は錬金術師じゃねーんなら喉から出した手でこれくっとけ! ぼけえ!」


ゴブリンはずっと怒っている。おちつけ、ゴブリン。

ふとユイさまをみると少し不安そうにこっちを見ている。


「あの、おいしい?」

「ええ、とても。おいしいです」

「……! よかったぁ」


ユイさまがふわりと笑う。美しい。正に、聖女だ。


「!!! 察し」


ゴブリンが何か呟いた。どうした、急に。


「あー、この弁当小さいし、俺みたいな育ちざかりにはちょっと足りないからよ。やっぱ俺購買で買ってくるわ。ノリオ、お前だけで食べろよ」


そう言ってゴブリンが購買部に向かおうと立ち上がる。


「ったくよお、あんなに愛されているなんて罪な男だぜ……」


ゴブリンが何か言ってるが今はそんなことはどうでもいい!

大切なことはそうじゃない!

私は立ち上がりゴブリンの肩を掴む!


「ユイさまの作ったものが食べられないというのかー!!!」

「分かれや、ぼけぇええええええ! お前の為に作ったんじゃろうがぁああああああ!」


なん、だと……?


「しかも、シェフを呼べレベルの激うま料理! 手を傷だらけにしてめっちゃ努力しとるじゃろがい! マジで鈍感主人公は滅べよ! っていうか、鈍感でモテるなんて敏感でモテない俺がかわいそうじゃろがいぃいいいいいいい! 基本察しがいいのに都合のいい時だけ鈍感になるのはもうなんか脳の機能がおかしくなっているから病院へ行くことをおすすめするんじゃぁあああああああ!」


そう叫んでゴブリンは泣きながら駆けて行った。


ビョウインとやらに行った方がいいんだろうか……!

お読みくださりありがとうございます。

ようやくツッコミ登場。リンジは大好きなので皆様よろしくおねがいします!


折角のコメディーなので、新しい試みを。

使います! とは保証できませんが、学校や上京あるあるやネタ、シチュエーション募集します。もし、何かあれば。

使うとは保証できませんが。


また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。

少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。

今まで好きだった話によければ『いいね』頂けると今後の参考になりますのでよろしくお願いします!


また、作者お気に入り登録も是非!


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― 新着の感想 ―
[一言] 鈍感主人公は滅べは同意。 鈍感かハーレムかの極端過ぎますよね、なろう界隈。
[一言] 確かに、鈍感モテモテの反対語は敏感非モテだわな・・・吹いた。
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