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第6話

「___めて!やめてよ!!お母さまッ!!!!」


子供の泣き声にハッと顔を上げる。


幾らかぼやけた視界の中でも、髪の毛を引っ張られて泣き叫ぶ姿に絶句した。掴んでいるであろう母親に手を伸ばすが霧のようにぼやけてしまう。


「は?」


何が起こっているのかわからず、頬を叩かれては体を小さく丸めて泣いているその子を守ろうとしてもすり抜けてしまう腕に舌打ちが出てしまう。


どうやって守ろうかと必死に考えるが、成す術無し。泣き続ける子供に近寄り、やっと気付いた。


「…、、ジェンティーレ?」


綺麗な白銀の髪はぐちゃぐちゃで、宝石のような青眼は涙が溢れている。ぼろぼろ、飴玉のような大粒の涙を流して謝罪を叫ぶ姿は、あまりにも私と似過ぎていて。


「アンタが産まれてきたから…!!!アンタが産まれてきたのが悪いのよッ!!!こんの役立たずがッ!!!」

「いた、いたいッ!!やめて!!お母さ、」

「アンタの母親になんてッ!!!なりたくてなった訳じゃないわッ!!!!」


大きな大きな乾いた音と、ただ子供が泣き叫ぶ声。重なる記憶に耳を塞いで私も叫びたくなる。無愛想だからと頬を叩かれた記憶。


こんなにも無慈悲に怒られたことなどはないが、それでも、まだ幼い子にこんな仕打ちをするジェンティーレの母親と、私の母親の顔が、向けてくる視線が同じで。



「私はお母様を恨んで無いわ。」



凛とした声が響く。


反射的に振り向いた先には、今の姿をしたジェンティーレが静かに立っていた。ただ、目線だけは合わないままで。


「私が男に産まれていないことが問題なのよ。跡継ぎじゃない私が悪かったの。」

「何、言って、」


「アンタの記憶を見たわ。」


何事も無かったかのように告げられた言葉に驚きが隠せない。どうやって、など今の状況からして同じように見てしまったのだろう。


「恋人、友人ねぇ…別に私は欲しいとは思わないけど。」


(けど?)


「この体はアンタに譲ってあげる。私はここからアンタの生活を見れるから教えてちょうだい。」

「何を、」

「そんな夢物語が現実になるわけないだろうけど、私の体を譲るんだから面白いことをやりなさい。」


目を細め、まるで眩しい物を見るかのような視線に何も言えなくなる。


酷い人だと思っていたジェンティーレの笑顔は、とても、とても穏やかで。目頭が熱くなっては歪んでいく目の前に成す術なく落ちる瞼に身を任せた。

お久しぶりです、星河ハルです。


前回の投稿から約一年経過していることに驚きが隠せません…周りの環境が変わり、中々ストーリーを思いつくことが出来なかったです。

長期間お待たせして申し訳ありません。


今年もあと2ヶ月を切り、寒暖差が激しくなってきてるので皆さんどうかお身体に気をつけてくださいね。


読んでいただきありがとうございました。

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