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第一話 二柱の狐

夏のホラー2021に投稿した『狐の神隠し』のお口直しとなります。

未読の方はこちらから。

https://ncode.syosetu.com/n6358hb/


ざっくり書くと、いじめられてた中学生の女の子が、両親にも教師にも助けてもらえず、神隠しに遭うという稲荷の山での一人かくれんぼを実行。

現れたイケメンの山の主にお姫様抱っこで人の世から消える、そんなお話です。


……ホラーですってば……(震え声)。


ここからはお口直し。

人の世を離れた少女・美紀が溺愛される甘々物語。

どうぞお楽しみください。

「着いたぞ」

「ここは……?」

「我がやしろだ」


 森に入ったはずなのに周りに木はなく、薄く光る中には立派なお屋敷。

 榊様は私をお姫様抱っこの体勢から下ろすと、扉を開けた。


あるじ。お帰りなさいませ』

「うむ」


 可愛い!

 小さなキツネが走り出てきて、玄関でちょこんと頭を下げた!

 ふさふさのしっぽがきゃあああぁぁぁ!

 もふもふしたい!


『おや、この方は』

「儂の供物になりたいと言う、頓狂とんきょうな娘だ。名を美紀みきと言う」

「は、初めまして! 豊川とよかわ美紀です! よろしくお願いします!」

『はい、こちらこそよろしくお願いいたします。私の事はアザミとお呼びください』


 するとキツネがぽん、と音を立てて、子どもの姿に変わった!

 金色のくるくるの髪。

 細い目は笑ってるみたいでかわいい!

 ほっぺもぷくぷくで、年下、かな?


「えっと、アザミ、ちゃん?」

「ん?」

「はい?」


 あれ? 榊様もアザミちゃんも固まった?


「ははははは! ちゃん付けとはな! この身の丈では間違うのも仕方がなかろうが、此奴こやつは男で、歳は二百を少し越えたところだぞ?」

「えっ!? いや、その、ごめんなさいアザミさん!」


 どうしよう! すっごい失礼な事を言っちゃった!?


「いえいえ、ふと幼き頃の事を思い出しただけです。怒ってはおりませんよ」


 アザミさんの細い目がにこーっと笑う。

 あぁ良かった。ここ追い出されたら行くところないもんね。


安座実あざみ、美紀を湯に入れてやれ。夕餉ゆうげの支度は儂がする」

「ほう! 主の料理が味わえるとは! 僥倖ぎょうこう僥倖! 美紀様、ありがとうございます」

「え、あ、はい、どう、いたしまして?」


 榊様って料理、上手いのかな。

 料理。

 ゾワっとする。

 榊様は、私が熟れたら食べるかも、と言ってた。

 お風呂に入って、榊様がお料理を作って、昔話みたいに、私、太ったら食べられちゃうのかな……。


「美紀。言っておくが儂が食うと言ったのは冗談だからな? そんな顔をするでない」

「あ、ありがとうございます!」

「主は顔が怖いのですから、もう少しお言葉遣いに気を回されますように」


 二人の言葉にほっとする。

 でも榊様の顔って怖いかな?

 切長の目に細く鋭い眉。

 鼻筋はピンと通っていて、顔の線は細くて彫刻みたい。

 銀色の髪がキラキラしてきれい……。

 改めて見ると、めちゃくちゃイケメンだなぁ。


「何だ? 儂の顔がそんなに気になるのか?」

「あの、いえ、カッコいいなぁって思って……」

「ほう、儂もまだまだ捨てたものではないな」


 うわわわわ!?

 笑った顔を正面から見るとやばい!

 カッコいいのにかわいい!

 何これすごい!

 携帯壊されてなかったら写真撮ってた!


「はいはい。これ以上やると、美紀様がお風呂に入る前にのぼせてしまいます。さ、美紀様、参りましょう」

「は、はい」


 私は呆れたように言うアザミさんに促されて、榊様のお屋敷へと上がって行った。

読了ありがとうございます。


こんな感じの流れで五話の予定です。

お口直しの方がボリューム多いってどういう事だよ!とお思いの方も多いと思います。

私もです。

でもいじめに耐えて戦った美紀は幸せにしないといけないからね。仕方ないね。


次話もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] いい娘には幸せになってもらわないと!!
[良い点] いいですね! 1話にして既に幸せな予感…! 単純な甘々かと思いきや、『携帯壊されてなかったら』という一文でいじめられていた現実をフッと思い出させてくれるのもいいです。 美紀ちゃんの幸せを楽…
[一言] ひゃっほい、劇甘溺愛最高だぜ! 彼女が消えたあと現実世界のキッチンのその後の様子も、ちょっただけでいいので知りたいです!
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