その37
誤字報告いつもありがとうございます。
50階層守護者の部屋の片隅で、魔法障壁を展開しつつ、浴槽に注がれたお湯に身を沈めてゆったりしてみる。
「はぁ~ 昼間からのお風呂も良いですね。まぁ屋内なので昼間感は少ないですが」
昼食のサンドイッチが思いの外美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまい、少しだけ重くなった体を動かすのが嫌になってしまったのだ。
こんな迷宮の中で、誰もいないからといってお風呂に入ってしまうなんてはしたないと思いつつも、自身の魔法障壁が破られる事なんて多分無い! と、ついつい昼風呂を楽しむ事にしたのだった。
「コア… どうしましょうかね。とりあえずお風呂が終わったら触れてみましょう、何も情報が無いのではやりようがないですからね」
私個人としては、この迷宮は現状でも十分利益が出ていると思いますので、際立った改変は必要ないと思っています。49階層に隠し部屋を作って、そこを金色コカトリスの狩場にすれば… くらいしか考えていません。
浴槽内で足を伸ばして、膝の辺りで交差させてみる。
「うーん… やはり目線のせいなんでしょうかね、自分の足だと思うと全然セクシーに見えません。客観的に見ても結構イケていると思うんですけどね」
過去に、前世の記憶が戻った時にも思いましたが… 初日だけでしたからね、ちょっとドキドキしたのって。まぁその頃は5歳の幼女でしたし、色気も何もあったものではありませんでしたけど。
それでもやっぱり可愛い女性を見ると、この子いいなって思いますし、根本的な所で女性になり切っていないんですよね。 男性を見ても何とも思いませんし、なによりも王宮でイケメンを見すぎたせいか、すっかり耐性が出来てしまっているんですよね。
「まぁどうでもいい事ですが」
浴槽から出ると、盛大に浴槽の中のお湯をぶちまける。すると、何故なのか理由はわからないけどお湯は石造りの床にあっという間にしみ込んで消えていった。
「迷宮は便利ですね~、さりげなく生ごみを置いても消えてしまいますからね」
体についていた水滴を拭い取り、探索用の服を着てから魔法障壁を解いた。
「さて、いよいよ迷宮の謎に迫りますよ! 一体コアとは何なのか、どのような情報をもたらすのか」
さすがに未知の体験を前に緊張しているのか、少しばかりおちゃらけて、無意識にほぐそうとしていたことに気づいた。
守護者のいた大部屋から制御室に入る扉に向かい、扉の横にある魔導具らしき物に魔力を通す。最初は知らずに使っていましたが、どうやら一番最初に魔力を通した者の魔力が登録されているようで、部外者が無断で立ち入る事は出来ない仕組みになってるっぽいです。
まぁそうですよね、誰でも好きに出入りできるのだったらただの危険地帯になりますから。 所有者が入ってくるのを待ち伏せして… とか、あらあら怖いですわ。
何気にセキュリティも優れているようですし、本当に迷宮とは誰がどんな意図で作り出した物なのでしょうね、とても不思議です。
制御室に入り扉を閉める、そして迷宮のコア… 巨大な水晶の前に立つ。
「ふぅ、なんだか緊張してしまいますね。でも、迷宮の仕組みについて何か分かるのであれば、今後この世界の安全と安定につながる事になるでしょう。アマンダ様の世界ですからね、もう少し貢献しても良いと思います」
意を決し、右手を伸ばしてコアに触れてみた。
「ほあ?」
頭の中に、何かが直接入り込んだかのように情報が入ってくる。魔物が溢れないようにする制御法、現れる魔物の選別、迷宮内部の構造変更、制御室の利用法などの情報が一気に流れ込んできました。
「くぅ、これは結構辛いですね。5歳の時に記憶を取り戻した時と同じような感じです」
頭の中であらゆる情報が錯綜していく、目の奥の部分がとても痛い。
「譲渡する方法もやはりありましたね、所有者は私になってるようですし、うまくいったのでしょうね」
所有者になると随分優遇されるようですね、わざわざ転移魔法で飛んでこなくても、1階層に専用の転移陣を作れるようです。この制御室に直行するやつが…
それに植物系の魔物が設定できるみたいです、カボチャの魔物やトウキビの魔物、その他もろもろ。
「これってうまく運用すれば、迷宮内部の魔物を討伐するだけで暮らせるんじゃないですかね。お肉に野菜、水場を育生すれば水棲系の魔物まで…」
ふっふっふ、これはちょっと49階層に特別室を試験的に作ってしまいましょう。お野菜のエリアを! 果物は無いですか? そんな魔物は聞いたことありませんけど、迷宮君であればやってくれるはず!
溢れんばかりの情報の中から、自分に都合の良い情報を探していく。アレじゃないしコレじゃない…と。
「いました! ドリアードという魔物がりんごを落とすようですね。 ただちょっと強そうですね、一般開放は厳しいかもしれません、ブラックコカトリスよりも強そうです」
そうは言いつつも、自分が狩る分には何も問題は無いので特別室の構想を考える。49階層は一本道しか無かったですから、使っていないキャパが結構あるみたいです。
広めの部屋にして真ん中に通路、右側の手前からカボチャ、お芋、ネギの魔物を配置。左側の手前からドリアード、トウキビ、タマネギの魔物を。
狩りたいものとそうでないものが混ざらないように仕切りも付ける、もう完璧じゃないですか!
既存の一本道の真ん中くらいに扉を設置して、農業エリアに行けるようにしましょう。
「これ… 楽しいかもしれません! 早速ドロップがどんな物か確かめてこないといけませんね」
頭痛が残る中、意気揚々と制御室を出ていく。扉が閉まったのを確認してから49階層へと降りていき、扉を開けて中に入る。
「ほっほー、仕切りの壁を付けたせいで開放感は全く無いですね。しかし重要なのは収穫量です!」
早速左手前にあるドリアードのエリアに入る。
その場所には、りんごをたくさん生やした樹木が立ち並んでいました。入り口にいるのでまだ私には気づいていないようです。
「これは試験ですから、まずはビームライフルですべて殲滅してみましょう」
気づかれていない事を良い事に、一気に魔力を高めてビームライフルの魔法を発動する。飛び出していく光の矢がドリアードにドスドスと刺さっていき、その部屋にいた10数体が消えていった。
「りんごです! 1体のドリアードにつき2~3個ってところでしょうか。でも十分ですね」
魔物がいなくなったのを確認してからドロップしたリンゴの収穫を始めた。 ニコニコの笑顔で…




