6話
のんびり不定期連載です
ガーナ王国軍の騎馬を見かけてから2日経っていた、 周囲の景色を楽しみながらルンルンと突き進んでいるとクランキー王国とトリュフ王国の国境となっている山間部に差し掛かった。 道中小さな村を見つけては、少量ながらも食料を買い付け、在庫は万端と言ったところだ
「さて、峠越え…というには険しい山ですね。 ガーナ王国とは早く距離を取りたいので進む以外の選択肢はありませんが… まぁ仕方ありませんね」
見るからに険しそうな山脈を見つめながら、覚悟を決めて歩き出す。 ずいずいと進んで行き山間部に入る…が、 何かおかしい 魔物の姿が無いのだ。 木々が生い茂り、身を隠す場所がたくさんあるというのに全然魔物の気配が無い。 余りにも不自然な状況に全方位に自分の魔力を射出する、所謂探知魔法というやつだ
「え?何かものすごく巨大な魔力を持った生物がいますね あっ 気づかれた?」
巨大な魔力を探知した瞬間、その魔力を持った何かが動き出した。 その何か…って
「ド、ドラゴンですか? 真っ赤な鱗…これが南部を支配しているというレッドドラゴンがどうしてこんな所に?」
「ギャオオオオオオオオ!」
「うひゃぁ!」
レッドドラゴンが吠えた事により発生した圧力に驚いてしまい、つい咄嗟に
「レーザービームっ!」
必殺魔法のレーザービームを放った。 ビームがレッドドラゴンの首元を通過したのを見てから横に向かって薙ぎ払った…ら、首が綺麗に落ちてしまった
ドシャァァ! ズドオオォォォン!
首が重力に従って落下し、直後に首を失った胴体が倒れた。 周囲の木々を薙倒し、激しい土煙をあげてしまったので 魔法障壁で遮断し落ち着くのを待つ事にした
『よくぞレッドドラゴンを討伐してくれた。彼の者は大地や木々を燃やしてしまうので困っていたのだ。 我が愛し子アリシアよ、褒美に我が加護を授け 我が使徒として今後活動してもらいたいのだが…』
「ええ? あの、どなた様でしょうか?」
突然現れたキラキラと光を放ちながら宙に浮いている女性、それはそれは美しい女性がいつの間にかいました
『名乗っていなかったな、我はフローラ この世界の創造神である。 其方が生まれた時から見守っていたが、この度めでたく旅に出るという事で干渉する事にしたのだ。 其方には使徒としてこの大地に住まう邪悪な竜種の討伐を依頼したいのだ。 しかし其方が傷つくのは見たくないのでな、それで加護を与える事と相成った』
「竜種の討伐ですか… 討伐対象はたくさんいるのでしょうか?」
『大地に仇成す竜種は、炎を司るレッドドラゴンが倒れた今、残り3頭だ。 水を司るブルードラゴンと風を司るグリーンドラゴン、氷を司るホワイトドラゴン。 この3頭が大地を傷つけ、弱らせているのだ』
「そうなのですか、私もこの大地に生きる者として 大地の恵みが失われていくのは確かに困りますね」
『そうであろう? 多少時間がかかっても良いので受けてはくれんか、我も直接竜種に干渉する事は出来ずとも 其方を守護することは出来る。 頼めないか?』
「時間がかかっても良いというのでしたら受けましょう。 そのような脅威があるなら安心できませんから」
『受けてくれるか! さすがは我が見込んだ愛し子よ。 引き受けてくれるのはうれしいが、身の安全はしっかり確保するのだぞ? 我も見守っておるからな。 では、其方を我が使徒として世界に宣誓せねばの』
「ほえ? 宣誓…ですか?」
【この大地に生きる全ての生命に告げる、これは神託である!この大地を傷つけていたレッドドラゴンは我が使徒により討伐が確認された事を告げる。今後も大地に害成す竜種の討伐に赴く事となるが、いかなる立場の者であっても我が使徒の行動を妨げる事は許さない。我が使徒の名はアリシア、その名を決して忘れないように】
「ええー 私、偽名で冒険者登録したんですけど…どうしましょうかね」
そんな思いも空しく、使徒アリシアの名は全世界の知る事となった
この神託に伴い、レッドドラゴンによる被害が甚大になっていたトリュフ王国を含む周辺国では、国中が歓喜に沸き 使徒アリシアの存在を歓迎した。 そして現在もなお被害を出しているブルードラゴンが縄張りとしている大陸中央部のカムリ王国、ホワイトドラゴンが住み着く北部のポテチ王国、グリーンドラゴンのいる西部のクリーム王国にとっても希望の光となった
「それにしても私が使徒ですか、 もしかしてこれは使えるかもしれませんね。 ガーナ王国からの追っ手に対してもこの立場はきっと有効ですよね、神託で私の行動を妨げては~って言ってましたし もう気にしなくてもいいかもしれません。 ふふっ これで安心して旅ができますね、このレッドドラゴンを収納してっと これを売れば路銀にも困らなくなりますね!ドラゴンは捨てることろが無いと言いますし!」
立ち昇っていた土煙が晴れた後、倒れているレッドドラゴンを収納した。
「これで私もドラゴンスレイヤーですね!」
咄嗟の行動だったとはいえ、自慢のレーザービームがやはり必殺だった事ににんまりと頷く、レッドドラゴンの討伐がすでに全世界に通達されているので、売る場合も大して困る事は無いだろう。 ただ…自分の冒険者カードには 『シア』と記載されている点、懸念はこのくらいですね
それにしても創造神様からの加護を頂きましたが、どのような効果があるのでしょうね まぁきっとその内分るでしょう。 今日のところはさっさと峠を越えてトリュフ王国に入りましょうか
気持ちを切り替え進み始めたのだった
その頃、ガーナ王国王城では
「今の神託にあったアリシアとは…やはりアリシア嬢で間違いないだろうな。やはりとんでもない力を持っていたか、レッドドラゴンはトリュフ王国の西部に縄張りを持っていたはずだな 大至急そちらに使者を出せ、そしてアリシア嬢を連れ戻すのだ」
「その使者の役、私にお任せください。 この第3王子であるジルバートが必ず連れ戻してまいりましょう」
「そうか、ではその大役お前に託すとしよう」
ガーナ王国は 第3王子を筆頭にした部隊が密かに王都を出発したのだった




