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5話

のんびり不定期連載です

「ふぁ~ 良い朝ですね、さすがに4日目ともなれば野宿も慣れてしまいますわね」


 魔法障壁で外部からの干渉を完全に遮断し、王都邸から持ち出したベッドから起き出した。 周囲は平原なのに天蓋付きベッドで夜を明かすなんて普通では考えられない事だけど、自身が開発した防御魔法で安全に休める空間を作り出してしまっていた

 魔法はイメージである。この世界では魔法というのは誰でも使うことができ、薪への着火から手洗いやスープに使う水なども魔法で賄われるほど生活に浸透している力である。

 魔力の大小はあれど、ほぼ全ての者が使う事のできる力であるが、新たな魔法を開発するにはどのような経過を経て、どのような結果を及ぼすか、イメージがとても大切なのだ


 その点アリシアは前世の記憶をフル回転させ、極大な魔力を使いどんどん自分に都合が良くて 便利で効果的な魔法を開発していたのだ。


 野宿する時に使っている魔法障壁は、現在使われているどんな防御魔法よりも強固で安全な魔法… ぶっちゃけると、ただの野営でそんな魔法使うなんてアホなの? と、言われてもしょうがない事を平気で行使しているのだ。


「さて、今日も元気に進みましょう。 私の安住の地を探して!」


 パンとサラダで朝食を取り、南に向かって歩き出すのだった。 公爵家や王家から追手が迫っているのに気づかないまま…


 南に向かっていく街道をひたすら進んで行く、幼少の頃より鍛えていたしなやかでムチのような体。適度に施した身体強化魔法の効果もあり一般的な徒歩による行進の数倍の速さで進み、時折馬車をも追い越してしまう程だった。


「ん?早馬でしょうか、蹄の音が聞こえてきますね… こういった手合いは黙って追い越させるのがいいでしょうね。 休憩がてら脇によってやり過ごしましょう」


 遠くから聞こえてくる蹄の音、しかも複数。 ちょうど大きな岩が鎮座していたのでその陰に入り腰を下ろす。 収納魔法でしまっていたお椀を出し その中に魔法で生成した水を注いで休憩を始めた。


 2分ほど経つと、先ほどから聞こえていた馬が2頭走り去っていった。


「あれ?騎乗していた者が着ていた鎧…ガーナ王国軍の物に見えましたね。 こんなに早く追手をかけるとは…陛下の判断ですかね。 これは困りましたね、街道から外れて進むしかありませんか…不必要に遭遇して問題を起こすのも嫌ですよね」


 この街道を進んで行くと、トリュフ王国の王都を経由していずれは海に到達する。 普通に海が見たいという事もあったが、自ら進んで問題に向かって特攻する気にはなれないので街道を外れ、西へ進路を取る事にした。


「このあたりの地理や町村の分布も詳しくないけれど、食料は十分にあるので大丈夫でしょう。しかしいいのでしょうかね、他国の国軍の鎧を着たまま馬で疾走してるなんて苦情が殺到しそうですけど」


 不要な心配をしつつ西へ向かって歩き始めた。



 ─ガーナ王国緊急対策本部─


 上座には両陛下と第2王子が座り、向かい合う形で王太子とマリー男爵令嬢、宰相令息と騎士団長令息 そして学園の制服を着た10名の生徒、その生徒らの親と思われる貴族が並んでいた

向かい合っていた国王陛下が口を開いた。


「なぜここに呼ばれたかわかっている者はいるか?」

「いえ、このメンバーの召集の理由は見当つきません。 父上、どのようなご用件があるのでしょうか?」

「わからぬか?我らの不在時を狙いアリシア嬢に対して冤罪で勝手に婚約破棄をしておいて、そのような寝言を言うつもりか?」

「冤罪ではありません、多数の証言を基に調べ上げた結果です。 断罪が父上不在時になってしまった事に関してはお詫び申し上げます」


パチン!

扇を広げていた王妃が、それを勢いよく閉じた


「多数の証言…ですか、後ろにいる者達が証人ですよね? しかし分かっておりますか?王家に対して虚偽の報告をするなど不敬の極みですよ?」

「虚偽ではありません、被害者であるマリー嬢の証言もあります」

「貴方が断罪した時に、アリシア嬢は私から常に監視されていると告げられていますよね?こちらでも記録結晶を全て精査しましたが、そのような記録はありませんでした。 アリシア嬢の身の潔白は王家が保証できるのですよ?」

「男爵令嬢マリーよ、お前の行った事は若者の恋愛程度では済まされない事。 王家が決定した婚約者に対し冤罪を着せるなど国家反逆罪と判断してもおかしくない行動だ、覚悟はできておるのだろうな」

「父上…」


 両陛下の言葉にマリー嬢も他の生徒達も竦んでしまっていた。その背後に控える生徒たちの親、特にマリーの父親である男爵の顔色はひどいものであった


「審議はすでに終わっている、お前達の行った罪に対し罰を与えるものとする。 まずは虚偽の証言をした10名の生徒全員を退学処分とする。 そしてそれらの家に対しては王都への出入り禁止処分と、監視者を各領地へ配置する。我が国の貴族として相応しいと判断されなかった場合取り潰しとする」


「ははー」


 10名の生徒達とその親は、がっくりと項垂れながらも頭を下げた


「宰相と騎士団長の子息も同様に退学処分だ、それに加え2家共男爵位まで降爵とする。 宰相職と騎士団長職については保留とする、 そして男爵家は即刻取り潰しだ。 全ての財産を没収し王都への出入りも禁止だ、 今後は平民として生きるがよい」

「なっ! なぜですか陛下? 我が家だけ取り潰しとは」

「当然であろう、むしろ国家反逆罪として全員処刑の所、この程度で済ませてやったのは温情であるが、不満だというのならば当初の予定通り2親等まで処刑にするか?」

「い、いえ…このままで」


 男爵の顔色はすでに蒼白、マリーも愕然としたまま言葉も出ない様子だ


「最後にお前だ、わざわざ王家の権力を使ってまでアリシア嬢を婚約者にあてがったというのに勝手に追放なんぞしおって… 貴様は王の命令を無視し、我が国の貴重な財産であるアリシアを国外に出した罪で廃嫡とする。王太子でありながら国の未来を考えられぬ者に王座を渡す事は永遠にあり得ぬわ。 貴様はこの先死ぬまで離塔で幽閉だ」

「な…ぜ… 父上」

「本日、第2王子を立太子させる事となる。 全員引っ立てろ!」


 本日、13家の貴族が重い処分を言い渡された

第2王子は現在13歳、王家としてはなんとかアリシア嬢を見つけ出し 第2王子と婚約させ未来の安定を図りたいと考えていた

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― 新着の感想 ―
[一言] 属国になるにしろクーデターにしろどんな滅び方するかわからないが1番可哀想なのは残された慕っていてマトモな使用人だよね
2021/05/07 16:41 退会済み
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