47話
そろそろクライマックス。
旧王都の孤児院は一応国立となってはいるけど、少ない援助だけでほとんど放置され、職員達の頑張りでなんとか存続していた。
何が言いたいかと言うと、この国一番の都会にいながらも、職員の皆さんはとても逞しいのだと。
オークを丸ごと出しても怯むことなくバンバン解体していくのです… 皆さん女性ばかりなのにすごいですよね。
「オークはまだたくさん持っていますから、今日くらいは豪勢にいってもいいんじゃないでしょうか?」
「そうしてあげたいのは私もなんですが、急に重い食事をするとお腹が痛くなってしまいます」
「そういえばそうですね、では栄養重視でいきましょう」
「はいっ!」
各地で買い集めた野菜も出して、具沢山スープを作っていきます。王都の孤児院だけあってとても大きな鍋が常備されているので、院に入っている30人の孤児と5人の職員さんの分が一度に作れます。
子供が30人というのは、建物の都合上の定員です。この時点ですでにぎゅうぎゅう入っているのでこれ以上入れてあげる事が出来ないのです。
仕込みが終わり、後はじっくりコトコト煮込むだけの状態にしてからオークの解体の続きと干し肉への処理を他の職員さんにお任せして、私はエミリアさんと新しく作る孤児院について話し合う事にしました。
「やはり職員も一緒に生活できるように、職員寮があるといいと思います。この院で働く職員は、私も含めて全員通っていますが、家が遠い人もいるので」
「もし寮を作ったとしたら今まで住んでいる家はどうするのですか?」
「もちろん売り飛ばします!借家や部屋だけ借りてる人もいますからだれも反対しないと思いますよ」
「なるほど…お休みの日の事を考えると、別棟にした方が良さそうですね。体調が悪い日とかもあるでしょうし」
「収容人数はどうしますか? 平原に勝手に建てると言っても限度があると思いますが」
「そうですね、最初は100人収容を考えましょう。後はいつでも増築できるような造りにすればいいのです。自給自足は厳しくとも、ある程度の広さの畑もあった方が良いでしょう。子供達の職業訓練になりますからね」
「あの、言い難い事なのですが、資本金はどのくらいで?」
「心配はいりませんよ、今の時点で金貨1万枚以上ありますから。今後も増えていく予定です」
「い、いちまん…枚ですか。この町ですら買えてしまうのでは?」
「町ごと面倒を見るつもりはありません。大人がご飯を食べられないのは働かない大人の責任ですが、子供がご飯を食べられないのは周囲にいる大人の責任だと思っています。なので大人の面倒を見る気は全然ありませんよ?」
ニッコリと笑って言い切ってみせる。大体クーデターが起こってしまった理由として、この国の王侯貴族が悪いと思いますが、個人的には報復するにしても民衆の行動はやりすぎです。元々戦う事の出来ない女性や子供まで手にかけた人がいるのですから、とても助ける気は起きませんよね。
「それでは、子供達の寝る場所はともかく、共同スペースについて考えましょうか」
なんと午前中から夕食の時間までかけて、孤児院について話し合っていました。途中から仕事を終えた他の職員も合流して、あれやこれやと効率を重視しつつも住みやすそうな空間を考えていきました。
「さて、それでは新築するための資材を収集してきます。皆さん分かっていると思いますが、今日のこの話は他言無用ですよ?知られれば絶対良からぬことを考える人が出てきますから。なるべく早くに戻ってきますので、子供達を頼みますね」
「「わかりました!」」
「アリシア様もどうかお気をつけて」
子供達と一緒に夕食を取って、全員にクリーンの魔法をかけて一緒に眠った。
翌朝、夜明けとともに出る事にしました。建物や防壁は魔法で作るとしても、その触媒となる資材は大量に必要となるでしょう。岩やら木材やら、畑用の土もそうですね。
大量に必要になると言っても環境破壊になるような伐採をしたらフローラ様に怒られてしまうでしょう、適度に間引く感じで広範囲で行きましょう。
まずは木材からですね、比較的乾燥地帯である北の方からやりますか。 さぁ、孤児院院長に向けての第一歩ですよ!
旧王都、冒険者ギルド内
「南方からトリュフ王国が領地拡大のために辺境伯が攻め込んできたぞ!この様子だとクランキー王国やポテチ王国の動きも心配だ。しかしまずはトリュフ王国の侵攻に対して防衛隊を編成するぞ!志願者は受付するように。定員は100名とする」
ギルドマスターから発せられた緊急依頼、王都を陥落させて甘い蜜を吸おうとして集まっていた大勢の冒険者がこぞって受付に殺到した
「俺達ブレイバーも受けるぞ!トリュフ王国軍なんてすぐに追い返してやろうぜ!」
「いや、さすがに軍が相手じゃ簡単にはいかないだろ」
「そうそう、適当に足止めして危なくなったら逃げるんだよ」
「生き残ってなんぼだからな」
王城陥落の立役者として、一晩で大きく名前を売る事が出来たブレイバーの4人は、昨日王家の居室から持ち出した金貨を使って出陣の準備を始めたのだった。
「他の国も動くと思うか?」
ギルドマスターが声を出す
「多分動くでしょう。特にポテチ王国にとっては凍らない土地はなにがなんでも取りに来るでしょうね」
「恐らく間者はすでに紛れ込んでいるだろう、動くとすれば、トリュフ王国方面に冒険者が移動を始めたら向こうも仕掛けてくるだろうな」
「普通に考えればそうなるでしょうね」
サブマスターの言葉に考え込む
「だがしかし、これはいい機会でもある。この町はすでに俺達の物だと他国に知らしめるためのな!対ポテチ王国に当たらせる冒険者は多めに用意しよう、クランキー王国の対応は最後でいい」
「わかりました。我らがこの地を国として立ち上げ、ギルマスが王座に座った暁には、私は宰相にしてくださいね」
「もちろんだとも、お前の頭脳は当てにしてるからな」
ギルドマスターの執務室ではこんなことが起きていました。
その執務室の扉の向こうでは、お盆にお茶を乗せて立っている職員が…




