1話
のんびり不定期連載です
まず 初めまして。 私はガーナ王国フェブリー公爵家公女、アリシア・フォン・フェブリーと言います。 現在15歳 7歳の時から王太子殿下の婚約者として教育を受けております
これは誰にも言っていない秘密なのですが、実は私…転生者なんです
5歳の時に記憶が戻りまして、親にも言っていないのですが 前世の私は…男だったのです
記憶を思い出してからも、何かと生活が大変でありました。 当然ですよね、前世では男性だったのですから 貴族の女性らしく振舞うという事自体がそれなりに苦痛だったりしたのです
当然 相手は王太子とはいえ、男性と結婚するなんて事… 本当に悩みました。 しかし生まれて15年続けられた淑女としての教育の賜物か、なんとか顔に出さないくらいには成長しました
公爵家の血筋というべきか、私の見目は麗しいらしく 自分で鏡を見ても美少女である!と、自信を持って言えるほどの容姿と、生まれた時から大きな魔力を持っていて、それが災いしたのか 王太子との婚約なんて事になってしまい、非常に悔やまれます
しかし、そんな生活に光明が見えてまいりました
貴族の子女、子息が必ず受けなければいけない王国学園の授業があるのですが、13歳で入学し、3年間通わなければいけないのですが 先日転入生が入ってきまして、 平民として今まで過ごしてきたらしいのですが 男爵家に引き取られ 教育の一環として 遅れはしたけど入学してきたというのです
その転入生、マリー様が来てから 学園は荒れ始めたのです。 見目麗しい令息を複数人を虜にしたらしく、常に何人かを侍らせている状況になってしまいました。 そしてその中に、いるのです 王太子殿下が
これはアレですね? 高確率で婚約破棄が起こりますよね? 正直私は 見た目は良いと思います、自画自賛ですが。 しかし! 性格…というか、男性相手に媚びるような事は精神的苦痛でして ほとんどそのような姿を見せる事はしていなかったのです
なので、殿下からは『つまらない奴』『可愛げのない奴』などと いつも言われていたのです。 確かに私は女性ですが、中身は男性だと言っても差し支えないほど可愛い女性が好きなのです、決して男性に対し 恋心を抱くことは無いのですから、当然婚約者にもそっけない態度になってしまうのは仕方のない事なんです!
コホン
まぁそういった事情がありまして、是非ともマリー様には頑張っていただきたいですね
しかし、前世 日本でよく見る話の様に 冤罪→処刑エンドと言われる結末だと困りますので、学園内や王城では 完璧淑女として振舞っております
何より 未来の国母であり、王妃になる予定の私の行動は 現王妃殿下の部下が監視しております。 この世界には記録結晶という魔道具がありまして、 地球でいう所のビデオカメラのような機能を持っているのですが 私の所作を、王妃殿下が確認するために 自室、お風呂、お手洗い以外の全ての行動は 記録結晶にて常時保存されているので、多少の冤罪ならこれで回避できるはずです
まぁそれはともかく、 3日後から陛下が王妃殿下を連れて 近隣の領地を視察に出かける予定があるので、何かあるとすればその時ではないかと… とても期待しています。 婚約破棄+国外追放というのが 私の求める最上の結果ですね
自分で言うのもなんですが、私には魔法の才能がかなりあるという事で、幼少の頃より密かに訓練しておりました。 魔力に関しては、5歳の時に教会で鑑定を受けた時点で 現宮廷魔法師団の師団長と同等だと言われるほどでした。
魔法はイメージがとても大切で 日本人の記憶を取り戻した私にとっては イメージに事欠かなかったというのもあったのでしょう、 当たれば必殺! と、言えるほどの魔法を独自に開発しております。 国外追放となったとしても、魔物が蔓延る中を1人で歩いたとしても 全てを返り討ちに出来る自信もあります
それでは 私が独自開発した必殺の魔法を教えて差し上げましょう。私自身の妄想と想像力の集大成、その魔法は…
【レーザービーム】
シンプルでいいですよね? 実際に試しましたが、私のレーザービームは山をも断ちます。 射程は魔力の届かなくなるまで、 実際には2~300㎞くらいあると思います。 ちょっと遠くに見える山を削ることが出来たので…
あ、私なんだか ワクワクしてまいりました。 早く婚約破棄、実現してほしいです
さて…部屋の外に出ると監視役に記録されてしまうため 部屋の中で私の魔力と妄想力で新しい魔法を研究しましょう。 現在研究中の魔法は、魔法文化であるなら誰もが夢見る転移魔法です。 すでに大筋で完成してるのですが、いかんせん魔力の消費が多すぎるのです。 今はいかに消費を抑えるか…というのを研究しています。
あ、もちろん秘匿してますよ。 この魔法は現在私しか使える者はいません、転生チート 効果を発揮していますね
それでは今日も 追放されても平気なように魔法と剣術の修行を始めますか。 まずは転移魔法で王都から出る事からですね
剣術の修行をする理由は、やはり婚約破棄とくれば、貴族籍剥奪となり、王都から追放もしくは国外追放というのがセットになってると思っています。 先述した通り、私は公爵家の長女ですが 愛想がないとか、人形のようなとか 家族にも言われて避けられていたので 王太子殿下に婚約破棄された…となると、外聞が家族よりも大事なお父様は もれなく追放してくれると思ってますが、私という道具の他の使い道を考えるかもしれないので要注意ですね
追放されたとして、魔法のみで生存競争に勝てるか…となれば 少々厳しいのではないかと感じ 剣術を覚えようとした次第ですね
何より、私の魔力で放った魔法はどれもこれも威力が高めでして…手加減するのがとても難しいのです。なので剣術を! 決して必殺魔法【レーザービーム】の派生形として【ライト○ーバー】なる魔法を開発したからではありませんよ!