純真
絶対ムササビになる。
久弥の幼稚園児時代からの夢だ。
久弥は今年で8歳になる。
森の図鑑や生き物の図鑑
ありとあらゆるものを
読んでも、どうも久弥は
ムササビにはなれないらしい。
久弥は人間なのだ。
図鑑が読めるということ自体
人間なのだという。
久弥は考えを変えることにした。
ムササビを飼いたい。
しかし久弥はムササビを
買ってはもらえない。
久弥のお小遣いでも
間に合わないのだ。
久弥はまた考えを変えることにした。
飼育員になりたい。
久弥はあれから20年。
念願の飼育員になり
今は象の飼育員をしている。
ムササビには時々会えるよ。
久弥は今も昔も
ただ探求している。
ムササビになりたくて良かった。
いつかムササビになろうっと。
象をなでながら
久弥の目は純真。