プロローグ:転生、こいつめんどくせぇ
閲覧していただきありがとうございます!
今回は転生回です。
よろしくお願いいたします。
「目覚めよ・・・・。目覚めよ・・・百合園 守ー。」
声が聞こえる。しゃがれたおっさん?じいさん?の声が。
しかし、自分は死んだはずだ。百合カップル?を守るという名誉の死を遂げたはずだ。
(わが人生に。一片の悔いなし)
「待て待て。勝手に終わらせるでない。目覚めよ・・・・。目覚めよ・・・百合園守ー。」
意識もはっきりしてきた。無視したい気持ちが強いが、ずっと語り掛けられても迷惑なので応じることにした。
そっと目を開ける。
何もない真っ暗闇な空間に、デカいジジイがいた。3メートルはありそうだ。ギネスブックに載るんじゃね?
「おお。やっと目覚めたか。百合園 守ー。」
なぜか、語尾を上がり口調で伸ばす。心なしか顎もしゃくれている。
「じいさん。誰だ?てか語尾伸ばすな。癖強いな。」
「じいさんとは、失礼な。まあ良い。わしは神じゃー。癖は諦めよ。癖だからなー」
「神だと?そんな馬鹿な。まあ死んだんだし、神が居ても不思議じゃないか。」
神は無言で尊大に頷く。
「此度の死にざま、見事であった。少女達を守るため、命を投げ打つとは。神、感激した
ぞー。」
わしから神に一人称が変わってるし、設定ブレブレだな。語尾直す気なさそうだし。
「ありがとうございます。(百合好きとして)当然のことをしただけです。」
「うむ。そう謙遜するな。ということで、お前には、第二の人生を歩んでもらうことにしたー。」
「第二の人生?」
輪廻転生とかいうやつか?それとも地獄にでも送られるのだろうか?
「うむ。丁度、お前のような人間が必要な世界があるのでなー。」
「もう一回。生まれ変われるということですか?」
「左様。生まれ変わるといっても、以前とは異なる世界で生まれ変わってもらうがなー。」
なるほど、異世界転生ってやつか。
「褒美として、転生の際に、3つまで希望を聞いてやろう。神は寛大だからなー。」
どっかのドラゴンみたいだな。
「ええと。じゃあとりあえず女性にして下さい。」
「構わんぞ。」
「あと、同性が好きである女性にして、顔は俺のイメージの理想形にしてもらえますか?」
よし、これで、来世の俺は、女として実際に百合恋愛を楽しめる。
「結構予想外。構わんが、記憶は引き継がれるぞ。つまり、精神は今のままといえる。転生だからなー。」
記憶が残る・・・・・。意識はこのまま・・・・・。
なら、これはなしだ。俺は、自分の性認識は普通に男だ。中身が男ならばそれは百合恋愛とは呼べない。
つまり、この条件で転生した場合の見た目が女でも、意識が男である俺は、百合世界の中では異分子、寧ろ地雷。聖域を汚す存在でしかない。
「なーんだ。やっぱり変えるわ・・・。その条件。」
「そうか・・。ならば、性別は男だが、見た目は女にも引けを取らない美少年にするというのはどうじゃ?」
「それも、却下。それじゃさっきと、それほど変わらないよ。寧ろ悪化してる。」
さっきの理由と同様に、男の娘も個人的に無し。中身はこんな感じのままだしな。できることなら、百合を近くで見守るに留めたい。あんまり美形とかイケメンだと百合恋愛関係を自分が破壊するという最悪の結末になってしまうかもしれない。
そんなことなら、道端の石にでもなった方がマシだ。
「飛ばされる予定の異世界ってどんなところなんですか?」
「お前の世界で言うところの、ファンタジー世界ってやつじゃ。科学文明と魔法文明が併存している世界じゃー。」
「なるほど・・・。」
結構、無理な条件も付けられそうだ。
数分間。考える。
神は、思った
(こいつ、めんどくせぇ。さっさとしてくんないかな。)
今度からは、転生させる相手、もうちょい慎重に選ぼう。
「まだー?何なら、神、勝手に決めるよー?」
鼻をほじりながら、いかにもめんどくさそうな顔で神は佇んでいる。
「こいつ、本当に神かよ・・・。決めました。」
「やっとかー。危うく、神、お前を神の鼻くそに着いてる微生物にするとこだったぞー」
「条件1。女性に絶対に恋愛対象に見られないこと。」
「条件2。共感覚能力と、なんらかの百合カップルを守れる能力を備えること。」
「条件3。感情が表に出なくて、女性と関わっても不自然じゃない容姿であること。」
結構、無理を言っている気がするけど、この条件付けなら、感情移入して、百合恋愛を堪能する俺の楽しみ方を存分に実現できる気がする。
「全然3つじゃない気がするんじゃがー。アバウトだしー。」
「そんなことない!性質。能力。容姿で3つです。神ならできるでしょ?」
「んー神って言っても、下っ端だしな。下っ端じゃないとこんな面倒なことしないよ?まあ、いいか。褒美だしな。」
神にも序列があるのは前世の社会と変わらないらしい。
どうりで、しみじみしない神だと思った。
一方、神は安堵していた。
(やっと、終わるよー。さっさと終わらして帰ろ。母ちゃんに叱られるし。)
「それでは、転生を始めるぞ。
種族:ヒューマン。
能力:共感覚、全能強化(感情)
容姿:平均
特殊条件:恋愛対象回避(女性・絶対)ポーカーフェイス(極)
性別:中性
これで、条件は全部満たしているな。では!さらば!」
突如、地面が割れ光に包まれていく。
「ちょっと待て。最後の中性って!?」
「そういえば、前世には無かったな。これなら女子と関わり易いと思うよー。神は。安心せよ。恋愛対象には見られない特殊能力はつけてあるから。では!本当にさらば!」
完全に、光に包まれ、意識が遠のいていく。
守がいなくなった空間で神は呟く。
「今回こそ、彼女は救われるかな。」
読んでいただきありがとうございました。
能力がどんなふうに活躍していくか、考え中です(笑)
次回もよろしくお願いいたします!