禁断の扉6
そして結局消灯に間に合わなかった『鈍色の魔術師』『独眼の豪剣士』『紅蓮の魔女』は、学校始まって以来の問題児集団というレッテルを貼られる事になる。元々問題児だと自覚していた三人は、そのことに何の感慨もわかなかったのだが。しかし、教師陣は、彼らが変わってくれると淡い期待を抱いていた。それが、たんまりと出された課題に現れていたりする。だが、それを誰もやらず、ゴミ箱の中で見つかっという事実に教師陣は泣き寝入りをする羽目になるのだが、それはもう少し後のお話である。
眠り病
・材料 ・クライオレス … 八ランク
・ベリベルト … 十ランク
・ドライオアシス… 二ランク
・シクラメン …十二ランク
・ベルリリーの根…三十ランク
・キキョウの蜜 … 十ランク
・水 … 百ランク
・作り方 ①クライオレス、ベリベルト、ドライオアシス、シ
クラメン、ベルリリーの根をそれぞれ別に粉末に
なるまで磨り潰すべし。
②キキョウの蜜を火に掛けるべし。その中に水・五
十ランクを少しずつ加えるべし。さらにクライオ
レスを入れ、鮮やかな紅色になるまで煮るべし。
③水・五十ランクを火に掛けるべし。その中にベリ
ベルトを入れ数分煮るべし。
④③の中にドライオアシス、シクラメンを入れ色が
変わるまで煮るべし。
⑤②の中に④を入れ余熱を取るべし。
⑥⑤がよく冷めたら、ベルリリーの根を加え、詠唱
するべし。
「クライオレスは永久を、ベリベルトは深きを、
ドライオアシスは眠りを、シクラメンは強きを、
ベルリリーは破壊を司るべし。汝、我の力となる
べくキキョウの元に集まれ。応じよ」
成功なら⑥は個体となる。
・術 これで、約五百マイトル空間に有効。
場所を定めたのなら、汝が血を以て詠唱せよ。
「風よ、これを誘いて、力となるべし。応じよ」
この時に、決してシルフの名を唱えることなかれ。
・効果 術者以外の者がこの風を体内に取り込むことにより、
深き永久の眠りにとらわれる。術はだんだん体を蝕
み、死へと誘う。
*一度罹ると抗体が出来にけり。二度目は効かぬ。
・解縛法 土の民の持つ黄泉の花の灰を呑ますべし。
それから毎日三人は授業をサボり、森へ行った。
「ちっ。また、ダメか」
ナジェルは顔をしかめる。レイラは組んでいた手を解くと、幹から背を離した。
「できの悪い生徒を教える、教師の気持ちがよぉく分かった。ありがとう」
肩をポンと叩かれたナジェルは、苦虫を何十匹も噛み潰したような顔になる。
「……それ、嫌味だろ……」
「決まっとるやろ。他に何があるっちゅうねん」
コタロウがナジェルの肩に乗り、ジルフォートがケラケラ笑う。
「紅蓮の魔女、笑うな」
ナジェルが呼称を呼ぶ時は怒っている時なのだが、ジルフォートは笑いを止めない。
「当然だ。独眼の豪剣士と謳われるお前に、魔法の才とは可笑しすぎだ」
「違う」
ジルフォートが目に溜まった涙を拭こうとした時だ。レイラはキッパリと言い切った。
「何が違うんだ」
ナジェルは縋るような目を向ける。
「そや。その可能性もあるんやな」
レイラは頷くとどこからか小さな小刀を取り出した。
「それは?」
初めて見る物に、ナジェルは目を丸くする。
「俺の呪具だ。刃は、俺の血から作ってある」
表情も変えずに、レイラは両手の人差し指を傷つける。つーと赤い血が流れ落ちた。




