表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/31

終焉2


 アンジェはイライラ歩き続けていた。下界がここまで不便なところだと思わなかったのだ。衣服が違う。言葉が違う。さらには、大半の魔法が使えない。一応、精霊魔法が一、不可視の術を使っているが、ザアザア降り続く大雨の中、分厚いローブは動きづらいし、風渡り・水渡りの詩が使えないため、歩くしか移動手段がない。もちろん、土の民が乗る変な汚れた煙を出す乗り物に乗ることも出来るが、乗った直後に気分が悪くなってしまい諦めて歩くことにしたのだ。そのような苦労も、洞窟に入った今は、少々解放されている。


「エリザラン先生。本当にここに純白のロウタスがあるんですか」

「ある。ムスカの村行事で、毎年ここに来ているからな」


シェレスは自慢げに言う。


「では、先生は来たことがあるんですね」

「ない」


アンジェは転けた。元々、頼りない光で、足下が覚束ないのだ。それ以前に、シェレスのあの自慢気な態度が気になる。


「ムスカの村では、その年に生まれた子どもを眠り病に掛ける慣わしがある。その時、黄泉の花を取りに行くのは、その子ども達の父親だ」

「それなら尚更では?先生には、二人のお子さんがいらっしゃるでしょう」


アンジェは横目で睨み付けた。


「ああ。だが私は、運がいいのか悪いのか、籤で当たった試しがない。まさかと思うが、全員でゾロゾロ行くと思っていたのか」


アンジェは言葉に詰まったことを誤魔化すため、溜息をついた。そんなことで大丈夫なのだろうか。いや、それより、ふと思いついた。自分たちが村へ帰れるのは、長期休暇で家である。なんだか、子どもたちが可哀想だ。


「何を考えている」

「先生のお子さんが可哀想だと」


アンジェは態とらしく目頭を押さえた。


「父親がほとんどいないことか?それなら、心配に及ばない。村には私の分身がいる」


反応に困ってしまった。用意周到と言うか、徹底しているというか……。何と言って良いのやら、答えが出せない。




 ふいに、シェレスの足が止まった。


「見ろ。あれが黄泉の花。純白のロウタスだ」


そこには泉があった。そして、その中央。大人でも一人では抱えられそうにないほど、大きく真っ白な蓮に似た花があった。全く光の差さない洞窟中、その花は白く光り輝いている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ