古の都12
一同は廃墟と化した村の跡地へとたどり着いた。高度な文明の跡が見られる。元々研究や勉強の好きなセルフォードは、興味丸出しで、あちこちを見ていた。
「おい、セル。私たちは観光に来たんじゃないぞ」
ジルフォートは怖い顔をしている。
「そうだが、土の民の文化には興味がある。魔法文明が発達していないこの世界に興味が沸かないか。僕たちは、風渡りや水渡り以外の移動手段は歩きしかない。では、風渡りの使えない人々は、どうやって移動するのだろう。気にならないか」
セルフォードが熱弁を振るう。お気楽なヤツ……。ジルフォートはため息をついた。
「わいがおった頃高貴なお方は、馬ちゅう生き物に乗っとったで。天馬に似とんやけど、角と翼を持っとらへんのや。あと、河は船や。漁なんかで使うやろ。アレと同じようなもんと使うとった。それに、精霊魔法と似とんやけど、法力ちゅうて万物の中に流れる、気ちゅう物を使うて自然を操るってヤツもおったで」
コタロウが説明してやる。二つの世界のどちらにもいる生き物と、片方の世界にしかいない生き物がいたことや、魔法に似た力があることに驚いた。
「お前等、少しは危機を感じろ。アイツがナジェルに何をしようとしているか、分からないんだぞ」
ジルフォートが怒っている。
「それぐらい、予想出来ている。ヒュウガはナジェルの魔力を使って、イヨの魂を呼ぼうとしている。封印の扉が開かれた。次に、印のある者が連れて行かれる。この二たつからそれ以外に考えられないな」
レイラは落ち着いた声で答える。それでもジルフォートは焦っていた。殺されることはないと分かっても、心配だ。自分の無力さに押し潰されそうになる。
「ジルフォート。少し落ち着け。ナジェルの体に酷い傷を付けることは出来ない。少々の傷なら可能でもな。アイツには守護者が付いている」
それはナジェルの話でよく分かっていた。
「ではなぜ、守護者は連れ去られる、ナジェルを助けなかった」
怒りで無茶苦茶なことを言っているのは分かっている。それでも、何か言っていなけば自分が壊れてしまいそうだ。
「眠れ」
ジルフォートがその場で倒れて寝てしまう。レイラお得意の言霊だ。
「コタロウ。ジルフォートに悪しき者が寄りつかないよう、結界を張ってくれ」
コタロウは言われた通りに、結界を張る。
「それでは、僕たちは神殿跡地に行こう」
「それなんやけど、もう目の前やで」
張り切っていた、セルフオードは転けた。何百年も経っているはずなのに、その建物は崩れるどころか、真新しい。そこだけ時が流れた跡がなかった。
「やっぱりまだ、イヨの魔法が効いとんやな」
コタロウが呟く。セルフォードは剣を構えた。
「セルフォード。お前、剣が使えたんだな」
レイラは驚く。
「ジルフォートほどの腕はないがな。王族ならぬ、神族の嗜み程度だ」
セルフォードは心外だとばかりに、苦笑いを噛み殺す。
「……。では、行くぞ」
レイラは誤魔化した。コタロウが笑っている。神殿の扉を大きく開けた。
そこには、玉座に縛り付けられた、ナジェルの姿があった。金縛りは解いてある。
「魔術師!太子!助かったぁ。これを解いてくれ」
ナジェルは元気一杯叫んだ。二人と一匹は思わず、回れ右をしてしまう。今見たことを、無かったことにしてしまいたい。
「おいっ」
ナジェルの怒号が響いた。




