表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/31

禁断の扉2


 レイラはいつものように寮裏にある森のテラスに向かった。いつも使う日当たりの良いベンチには、真っ黒な猫が丸くなって寝ている。黒猫はレイラの足音を聞きつけ、めんどくさそうに目を開けた。


「ふわぁ。なんや、レイかいな。今日は遅かったんやな」

「あぁ。今日は、小テスト試験があったんだ。いつもサボる、俺への当てつけらしい」


黒猫を地に降ろし、その椅子にレイラが座る。そして、長いローブの内から一冊の本を取り出した。黒猫はその膝の上にピョンと飛び乗ると、また丸くなって目を閉じ、すぐに寝息を立て始める。


 ペラリ。ペラリ。辺りには鳥の囀りの他は、レイラが本のページを捲る音しか聞こえない。……。……。そのハズだった……。




 ガッシャーン




 ものすごい音と共にガラスの破片と人が降ってくる。が、本に夢中になっているレイラは気付かない。黒猫がパッと目を開くと、レイラは不思議な光に包まれた。上から降ってきた人は、長い金色の髪をなびかせ、軽く机の上に着地すると、またすぐに跳躍した。


「待て。今日こそ、私と勝負しろ」


怒号と共に緋色の閃光が走り、机が砕かれる。だが、やはりレイラはまったく気が付かない。


「二人とも、どないしたんや」


黒猫は光を消すと言った。だが、この二人も膝の上の黒猫には、まったく気が付かない。結局二人は、一人の教師に見つかるまで、レイラの周りをクルクル回っていた。




 理由も良く分からないまま、レイラは当別な部屋に連れて行かれ、シェレス・エリザラン・ムスカにくどくど怒られることになった。シェレスは良い教師なのだが、怒り出すと止まらないという欠点がある。少なくとも、アンジェよりずっと……何万倍もマシな先生だとレイラは思っている。だが今は別だ。意味も分からないのに、大切な本を取られ、怒られるのは我慢が出来ない。レイラの頭中に『授業をサボるのは悪』とは載ってないのだ。


「話す口を持たじ」


レイラはシェレスの目を睨み付け呟くと、急にシェレスの口から言葉の羅列が止まった。


「動く身を持たじ」


今度はシェレスの動きが止まる。レイラは大切な本を取り返すと、長い鈍色のローブを翻し、颯爽と去って行く。その後ろ姿はあまりにも堂々としており、まるで王か、それとも神かという錯覚さえ起こした。二人は一瞬惚けていたが、長居は無用とばかりに、あわてて後を追った。誰も喜んで怒られはしないのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ