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古の都3


 シェレスとアンジェは暢気に、お茶の時間を過ごしていた。昨夜はアンジェの術で残された、大量のレイラの私物を片づけるのに、かなりの時間を費やしてしまったのだ。


「何も聞かせずに向かわせましたが、彼等は大丈夫でしょうか。それに、すぐに夜になりましたし」


アンジェはとても心配そうだ。


「あいつらに限って、大丈夫だろう。それに行き先は、分かっている」


シェレスは紅茶を啜る。これだけ安心していられるのは、彼等を信じているからだと知っているが、アンジェは納得出来ない。ダンと机を叩いて立ち上がる。


「それでも、この天気ですよ。太陽族の村へ行くのにどれくらい掛かると思っているんですか」

「我々がどれだけ心配しようが、どうにもならない。我々では、アレをどうすることも出来ないのだから」


優雅な手つきで、お茶を入れるシェレス。だからこそだろう。アンジェはまだ何か言いたそうだ。


「だから、心配いらない。それに、この学校は今や、時間の流から隔絶されている」

「っ!まさか、エリザラン先生。封じられたあの魔法をお使いになられたのですか。アレは、先生の寿命を削ると言うことを、知らないわけではないでしょう」

「もちろん知っている。だが、ヒュウガという男は、世の理を犯す行為をしようとしている。時を止めてしまえば、封じられしモノが、この世に出て来ることもない」


あまりの暢気さに、アンジェが顔を赤らめる。そもそも、時を止めることも『世の理』を侵しているのではないだろうか。シェレスはアンジェに何も言われない内に、言った。


「それでは行こう。黄泉の花、純白のロウタスを探しに」




 雨は一向に止む気配がない。それどころか益々強くなっていく。雨水で濡れた髪と服は、容赦なく己の体力を奪っていく。風渡りでいけるところまで行った後、三人と一匹はドロドロになって歩いていた。


「少し休もう」


二人と一匹のことを気遣い、ナジェルは度々言う。ジルフォートは平気な顔をしているが女の子であり、レイラは昨夜のことがある。コタロウはこの大きさだ。


「いや。もう少し歩こう。この先に、知人の経営する小さな宿がある」


ジルフォートは前に見える、小さな建物を指差した。ナジェルはレイラの肩を支え、ジルフォートがコタロウを抱き上げる。そして、バシャバシャと泥水を蹴って、走り出した。




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