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宇宙統一戦線  作者: 音羽
9/10

試験6

 2次試験の最後はレインだ。

 ヴァナラ族の中で、雨神パルジャニャの子の系列にあるレイン。水系の能力の中でも、天候や気温を操るのが得意だ。

 雷系の能力も普通に使えるが、風系の能力が苦手で、一族の中でもダメな子扱いされてきた、らしい。雨神パルジャニャの子の系列では、水、雷、風の3つの能力が使えないと1人前にはなれない。

 彼の演技も素晴らしかった。

 前が見えなくなるほどの大量の雨を降らせ、大きな雷を落とす。それだけでも十分なのに、苦手な風系統の能力で、降らした雨をみぞれに変えた。

 3つの能力を使えることを先生にアピールするには十分だった。

 

 「これで、試験は終了します。午後6時に体育館前に合格した10人の名前を張り出しますので、必ず見に来るように。」

 ガイア先生の言葉で、その場は解散となった。

 「アシュ、レイン、お疲れ様。」

 サラがタオルと水を笑顔で二人に渡す。

 2人とも氷やら雨やらで、びしょびしょだ。そういえば、第二能力演習室の後片付けは誰がするのだろう。

 いつの間にか、特別科の上級生の姿も見えなくなっていた。

 「2人とも、すごかったねえ。チーム戦のやつ、AチームもBチームも死亡判定が出ちゃって、無事だったのはCチームだけだったんだよ。」

 寮への道で、サラが楽しそうに話している。一方の二人は、疲れ切っていてそれどころではなかったりする。

 「このあと、2人はどうするの?」

 「あー。ごめん。疲れたから発表まで寝たいわ。」「俺も。」

 アシュとレインの返事に表情を曇らせるサラ。

 しかし、すぐに元の笑顔に戻って、

 「あは、そうだよね。つかれるよね。体冷やさないように、お風呂に入ってから寝なよ。」

 そういって、先に走って帰ってしまった。

 悪いことをしたな、とアシュは思ったが、せっかく気を使ってくれたので、お風呂に入ってしっかり寝よう。

 「アシュ、お昼、どうする。」

 「あー。疲れてて、なんも食べる気でないわ。」

 「なんか食べろよ。寮の食堂で、なにかもらって帰ろう。いくぞ。」

 アシュはレインに引きずられるようにして、寮に向かっていった。


 3人の試験監督たちは悩んでいた。

 さて、誰を合格者にするべきか。

 「Cチームをベースにするべきよね。」

 とりあえず、あらためてCチームのメンバーを書き出す。


・ヴァナラ族のレイン(3)水

・龍族ガルグイユのルーク(5)炎

・龍族ファフニールのアンドレ(12)雷

・龍族白龍のカグラ(14)風

・フェンリルのユージオ(20)炎

・龍族青竜のアシュ(27)氷

・シルフのルイ(32)風

・ワルキューレのカナデ(39)炎

・ヒドラのスイ(51)土


 「ヒドラのスイはないな。壁役にしては体力が少なすぎる。2人も壁役はいらないだろうし。」

 「それは僕も同意見です。炎系の能力も3人はいらないでしょう。ガルグイユのルークとフェンリルのユージオは残してもいい気がしますが、」

 「その根拠はどこかしら。」

 「ルークは少しですが、風の力と雷の力を使えます。ユージオは、フェンリルは本来土系の能力を得意とする種族です。彼は苦手としているようですが、将来的に油を自分で生み出すことができるようになれば、より強力な力を使えるようになるでしょう。」

 「その点、バルキリーはどうかしら。いろいろな種類があるわ。彼女はたまたま炎の能力を得意としているようだけど、闇や光の能力に長けた子もいる。これらの能力を使えるようになるには、普通科では無理よ。」

 「それより雷系がメインの子がもう一人欲しいな。」

 「Bチームにいた7位のサンダーバードのトームはどうかしら。風の能力も使えるようだし。アンドレよりも雷の能力は強力だったわ。」

 あーだこーだ言いながら、話し合っていくが、なかなか決まらない。

 しまいには、他の特別科の先生も読んで話し合うことになった。



そして、結果発表。

 体育館の前に張り出された紙には、レイン、アシュの名前はあった。

 「おい、受かってるぞ、レイン。」

 「俺は受かっていないとおかしいだろう。お前が受かっていたのは意外だったがな。氷の彫像なんて作りやがって。」

 なんだかんだ言って、レインもうれしそうだ。

 「クラウの名前がないな。」

 「本当。」

 当の本人も、がっくり肩を落としているようだ。倍率3倍の試験。昨年度の成績だけでは測りきれなかったらしい。

 「合格者も不合格者も明日の17時までに職員室に来なさい。クラスの名簿と時間割表を渡します。明後日から授業が始まるから、しっかり準備をしておきなさい。」

ミストレ先生がメガホンを持って生徒に呼びかけている。

 その後ろで、ガイア先生とルシフェル大将は何やらお話しているようだ。

 とりあえず、今日は、ゆっくり休もう。


合格者

・セイレーンのルシア(2)水、土B

・ヴァナラ族のレイン(3)水、雷、風C

・龍族ガルグイユのルーク(5)炎、風、雷C

・サンダーバードのトーム(7)雷、風B

・ユニコーンのレオノール(10)土、雷A

・龍族ファフニールのアンドレ(12)雷C

・龍族白龍のカグラ(14)風、炎C

・フェンリルのユージオ(20)炎、土C

・龍族青竜のアシュ(27)水、風C

推薦合格者

・ウィンディーネのサラ(247)水(回復)

試験編終わりました。

次回は、この世界と能力の法則について書きたいな、と。

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