始業式
始業式。とても心躍る行事?それどもこれから学校が始まってしまう憂鬱な行事?体育館での校長先生の長い話。生徒指導の先生のまとまっていないぐだぐだした話。
学校に通うものにとっては避けられない行事。
天空星唯一の学校、天空星総合学校。
この学校に通うのは、いわゆる空想上の生物、人外たち。
彼らは、人間に迫害されて、この星でつつましく暮らしている。人間は、この星の気候には合わない。だから人外たちはこの星で暮らせるのだ。
アシュもその中の一人。
龍族、青竜特有の青い目にくせっ毛。高い身体能力を持つ。この春、高等部2年生になる。
高校2年生からこの学校では特別科というものが設置される。将来、天空星の軍部上官に進むための特別な学科。成績上位者10人しかはいれない、という噂だ。
アシュはその学科に進みたい生徒の一人だった。
「続いては、特別科募集要項についての説明です。ガイア先生、お願いします。」
司会進行の生徒会副会長に促され、ガイア先生が、体育館の舞台に上る。
とても美しい先生だ。
この宇宙に2人しか残っていないエルフ族。エルフ族らしいすらっとした長身、白くて長い髪。そして軍部中将第3位。
強さと美しさを併せ持つ、おそらくこの学校で、最高の先生だろう。
「今年の2年生特別科を担当いたします、エルフ族のガイアです。今年は、成績、身体能力優秀者9名を募集します。例年では、こちらからの推薦者10名のみでしたが、今年度は、よりやる気のある生徒を求めて、試験制にします。なお、1名はこちらで決めます。特別科を希望する生徒は、明日までに、特別科準備室のガイアのもとへ来ること。なお、試験は明々後日とします。試験の内容は当日まで知らさないので、そこのところの把握をよろしくお願いします。以上。」
アシュはひそかに歓喜していた。
アシュの去年度の成績は、確かに上位だったが、推薦枠ではとてもとおれそうにない。しかし今年は、試験の内容によっては、チャンスがまわってくるかもしれない。
「アシュ、よかったじゃん。」
たまたま隣に座っていた幼馴染のウィンディーネのサラが声をかけてくる。
アシュは黙ってうなずいて前で話している先生たちの話に耳を傾けた。
もう試験は始まっている、気がする。