しばらくして
1日に更新するつもりだったのに...
誤字訂正等お願いします。
私の木刀と相手の木刀が交じり合う音が体育館内に響き渡る。もちろん私は本気ではないですが体力的にも辛くなってきたのでそろそろ決着を付けたいと思います。
私は相手の木刀を飛ばそうとしてみます。剣道の巻きわざと言うやつですかね。前世でドラマで見て練習していた記憶があります。今考えると素人が出来ることじゃないと思いますけれどね。
案の定相手の木刀は飛ぶことはありませんでした。しかし相手が少し動揺を見せた隙に思い切り叩き込みます。相手は瞬時に防御しますが耐え切れず尻餅をついてしまいます。
「そこまで。勝者リリアナ・ユーフィル!」
周りから歓声が沸きあがります。私はそれに少し頭を下げながら相手に手を差し出します。
「お手をどうぞ、アーロン」
「やっぱりリリアナにはかなわないなー。ま、でも次は勝つからな!」
ニコニコ笑いながらそういう彼はアーロン。剣の授業で仲良くなった内の1人です。この学園の授業スタイルは大学に似ていると思います。自分のやりたい授業を選択し、申請して受けることになります。なので剣の授業には女性は私ともう1人しかいません。その方とは女性が少ないこともありすぐに仲良くなることが出来ました。
「お疲れ様ですわ、リリアナ様」
そう言ってタオルを渡してくれる彼女こそがもう1人の女性アガサ・サンチェス様。見た目はとても大人しそうなのですが試合をしている様子はとても恐ろしいです。
「リリアナ様?何か失礼なことを考えておられませんか?」
いいえそんなことはありません。だからその目を止めてください。私達が会話をしているとレオナール様たちがこちらへ着ます。
「いい試合だった、リリアナ嬢。それにアーロンも」
「もったいなきお言葉ですわ」
「ありがとうございます、殿下」
私たちは恭しく頭を下げます。そして顔を見合わせてくすくす笑います。その様子にレオナール様は苦笑いしながら頭を上げるよう促してきます。
私達が頭を上げるとレオナール様の後ろにいたオルバート様と不意に目が合います。しかしすぐに目をそらされてしまいます。最近おかしいですね。前までは目が合えば嫌味を言ってきましたのに。体調でも悪いのでしょうか。レオナール様のそばにいてもそわそわすることが増えましたしね。
そんなことを考えながら談笑していると授業が終わります。私とアガサ様と共にシャワールームへ向かいます。男性人とは別れ2人きりになります。するとアガサ様が急に話かけてきます。
「リリアナ様は殿下のことがお好きなのでしょうか?」
私は突然のことにむせ返ります。何ですか突然。そんなこと聞かれてもこちらも困ると言いますか。改めて考えて見ますとその、は、恥ずかしいのですよ。
「そう言うアガサ様は誰か好きな殿方でも?」
私が苦し紛れにそう聞くと彼女は頬を染めながら俯かれます。その反応はいるのですね!恋バナですね。聞きますよ。さあさあと促すと彼女はボソッと呟きます。
「...アーロン様です」
「へ?」
「ですからアーロン様ですよ!」
顔を真っ赤にしながら言う彼女は本当に恋をしている顔でした。私が詳しく事情を聞くと、アーロンと1番仲の良い女性は私で、私がレオナール様を好きならチャンスがあるかな?と言う話らしいです。
アーロンとは友達ですし、アガサ様にも幸せになってほしいとは思います。しかしここで恋愛経験のない私がアドバイスしても関係がこじれるだけでしょうしここは恋の先輩に話を聞いてからにしましょう。
「では恋の先輩に話を聞いてきますわ。待っていてください」
「うぅ。お願いしますわ」
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「と言うわけなのですがどうでしょうかリュート様」
「何が『と言うわけなのですが』なんですか。そんなこと僕に言われても困りますよ」
所変わって魔術準備室。理科準備室みたいな物ですかね。そこにはリュートとトッテイおじ様がいらっしゃいます。私はアガサ様の話しを聞いてリュートに相談しに来ました。もちろん、名前はぼかしてですが。
「だってリュート好きな方いらっしゃいますよね?」
私がそう尋ねるとリュートは顔を真っ赤にしながら「はぁ?!」と言ってきます。その後ろでおじ様がくすくすと笑っています。あ、おじ様の前では内緒にしたほうが良かったですかね。ごめんなさいリュート。
「そんな話どっから出てきたんだよ?!」
「え?だってリュートこの話持ち出すと毎回慌てて顔真っ赤にするじゃない。明らかに恋している顔よ」
相手が誰か教えて欲しいんだけどね。と付け足すと観念したように頭をかきながら教えてくれます。
「確かに好きな子はいますよ。リリアナ姉さんだけには教えないけどね。それと他人の恋愛に首突っ込んでいいことなんてないから。リリアナ姉さんは大人しくしていたほうがいいと思うよ」
首突っ込む気でしたのに。そう言われたら大人しく引き下がるしかないじゃない。せっかくの恋バナだったのになぁ。
私が部屋から出て行くときリュートが少し大きめの声で喋りかけてきます。
「僕の好みの女性は銀髪で強くて、とっても可愛い子!」
ふむふむリュートの好きな方は銀髪で強くて、可愛い子ですか。そんな子、この世に存在しますかね。私は首をかしげながら皆の下へ戻るのでした。
ありがとうございました。