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何だったのか

すごく長くなってしまった。

午後からは何とお出かけすることになりました。嬉しいですね。今までお出かけすることはありましたが基本的引きこもりですからね。それをお話ししたところそれでは自分といこうとおっしゃってくださいまして。いそいそと支度をしてる訳です。しかし前世と今世合わせても初めてのデートです。デート。それはもううきうきしてます。まさか乙女イベントを体験できるとわ。相手はそんなこと思ってないでしょうけど。


「サリー、私おかしくないかしら?」


「完璧に可愛く仕上がりました!自信持ってくださいお嬢様」


サリーが満面の笑みで親指たてています。少しの不安は残りますがまぁいいでしょう。お待たせするのもあれなのでレオナール様のもとへ行きます。


「お待たせいたしました」


一応少しの化粧と髪を整えてもらいました。服も選びたかったですが時間もなかったので。レオナール様は本から目線をあげこちらを見ます。大きく目を見開いたかと思うとあたふたし始めました。


「あ、いや、大丈夫だ。それでは行こうか」


「はい、行きましょうか」


共に階段を下りて玄関へ行きます。道中は馬車です。これが結構腰とかおしりにくるんですよね。ちなみにお出かけメンバーは私、レオナール様、サリー、馬車のおじさん、護衛の騎士様2名です。護衛が少なく感じますが、レオナール様は毎度のことながらお忍びなのであまり護衛がつけられないってのと、目的地が馬車で20分ぐらいの街なのでそんな危険もありません。


「あ、レオナール様見えてきましたよ」


私達の行く先に街が見えてきます。可愛らしい家が並び多くの人々でにぎわうクスラの街です。街に着くと身分証などの確認が行われ中に通されます。馬車は止めるところがあるので馬車のおじさん、ガンさんに行ってもらいました。私、レオナール様、サリー、護衛の騎士様のルルーとジーンとでお出かけです。クスラの街はこれと言って名物はありませんでしたが私が作り出したパン試作品を手渡し作り方を教えるとみるみるうちに様々なパンを街の人総出で作り出し今ではすっかり名物です。もともと砂糖の生産量も多かったので甘いパンが多いみたいですがね。ただやめてほしいのは


「リリーパン新作でたよー!」


「リリーパン焼きたてだよ!」


とまあこのように私の名前が使用されています。最初は「リリアナパン」だったのをここまでごまかしました。苦労しましたよ本当に。


「リリアナ嬢はこの街では相当有名そうだな」


レオナール様が苦笑い、ではなく笑いこらえてますね。肩震えてますが?私がじと目でレオナール様を見ているとごまかすようにいいました。


「どれ1つ買ってみるか。私のところに届くころには冷めているのでな、焼きたてを1つ買おう」


近くの売り子に近寄りパンを購入してきます。恥ずかしいんですからね。パンの作り方は名物にするためにこの街のパン屋だけでとどめてもいいかと街の偉い人に言われたので了承してます。レオナール様はパンを1つ...ちょっと待ってください。それって。


「ドーナツ?」


「ん?リリーパンの新作と言われて買ってみたんだが。パン生地を揚げたみたいだな」


「それ何処にありました!?」


私の勢いに押されちょっとびっくっとしながら近くのパン屋を指差します。よしそこへ直行です。売り子のところまで行くと声をかけられます。


「リリアナ様!どうですうちの新作?パン生地をちょっと工夫して揚げてみたんですよ」


そういって1つ差し出されます。見た目はオール〇ファッションです。割ってひとかけら口に入れてみます。うん。オール〇ファッションの味。


「これは美味しいわ。代金はおいくら?あと砂糖をかけたりチョコレートかけるのも良いかもね」


「そんな代金はいいですよ!砂糖は分かりますが『ちょこれーと』って何ですか?」


おっとチョコレートはなかったですか。これは作らねばなりませんね。売りこの方に御礼を言ってお土産分を買いレオナール様の下へ行きます。


「いい買い物でしたわ!レオナール様ももう1ついかが?」


「・・・・・」


何かふくれっつらですね。何故でしょう。私が代金支払わなかったからでしょうかね。開けた袋から甘い香りが漂います。ああもう1つ食べたいですね。でも他にも買い食いはしたいですし。そうだわ。私は袋から1つ取り出し割ります。かけらを口へ放り込むと口いっぱいに幸せが広がります。と言うことで幸せをおすそ分け。


「レオナール様、はいあーん」


かけらを口元へ持っていきそう言ってみます。こんなに美味しいのだからもっと食べなきゃね。と言うか固まっていらっしゃいますが大丈夫ですかね。食べないのかしら。そう思い手を引っ込めようとしたとき手首をつかまれドーナツを食べます。何だ食べたいのなら早く食べればいいものを。


「...うまい」


静かに呟いたレオナール様の顔はよく見えませんでしたが赤かったです。どうしたんでしょうね。それからは服やアクセサリーなど様々なものを見て周り帰ることにしました。

-----

馬車に揺られること10分くらい。あと半分かなと思っていると馬車が止まります。あれまだつきませんよね?サリーのほうを見ると険しい顔をしています。


「サリー?」


「お嬢様」


一言だけでしたがただ事でないのがわかりました。私はレオナール様のほうを見るとぎゅっと手を握って「大丈夫。」と一言。何が起こっているのでしょうね。3分くらいたったでしょうか。馬車の扉が開きいかつい顔の男性がこちらを見ています。そしてレオナール様に視線を合わせ。


「リーダー本当にいましたぜ!お譲ちゃんも乗っているがどうしますか?」


「捕まえろ生け捕りだぞ!そいつも捕まえろ。高値で売れる」


男性の魔の手が私達に届きそうになったときばっとサリーが立ちふさがります。男性は邪魔だと言わんばかりにサリーをどかそうとしますがサリーに逆に投げられてしまいます。そしてサリーは外へ出ていき、馬車の扉を閉めます。私は足がすくんで動けません。レオナール様は私を落ち着かせるように冷静ですがやはり小刻みに震えています。私もぎゅっと目を瞑り震えをこらえます。


するとほんの数分また扉が開き薄めで目を開くとそこには―


「へへへ、王子様とお嬢様捕獲~」


絶望がこちらをのぞきこんでいました。

デートとかかけません。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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