了解しました
夏休みが終わる...終わってしまう
「つまり【会話】魔法を何とかして簡単にしたかったと。それで自分で魔法石を作成したと」
「ごめんなさい。伯母様」
伯母様の目力に負けて白状してしまいました。伯母様は何か渋い顔をしておられます。
「言ったろ?怒ってるわけじゃなさ。しかしばれたら大変なことになるだろうな。魔法石を作るなんて」
え、そっちですか。てっきりこの【通話】の魔法道具を作ったことか透魔法を使ったことだと思っていたのですが。魔法石を作れるのは珍しいことなのでしょうか?意外と簡単に出来た記憶があるのですがね。
「伯母様。魔法石を作るのは駄目なんですか?」
「駄目じゃない。と言うか作ったやつがいないから駄目、駄目じゃない以前の問題だな」
「いない?誰一人とですか?」
「少なくても私の知っている人ではいないな」
そういって伯母様はため息をつくとベランダの方へ行きます。そして扉を開けタバコらしきものを取り出し一服し始めました。そしてちょいちょいと私を手招きします。それに従いベランダへ行くと真剣な顔で話を切り出されました。
「いいか、リリアナ。それが作れることは誰にも言っては駄目だ。これだけは守ってくれ。その事実がばれたら大変なことになる」
それはもちろんです。誘拐なんぞされたくないですから。前世でも誘拐なんてされたことないですからね。そんな恐ろしいことに自ら足を踏み入れたりしませんよ。...この体では大の大人につかまったら抵抗も出来ませんしね。そんな考えが私の心に浮かびます。
「透魔法が使えることは言っても良いがたぶん、いや確実に面倒なことになるぞ」
茶化してきますがそう言う伯母様の顔は少しうれしそうです。やはり実力がある人のことは好きなんでしょうか。その笑みが何を意味するのか私には分かりません。伯母様はタバコを捨てるとこちらを振り向きます。
「よし、リリアナ。私がその魔法道具の第一体験者になってやろう」
「いいんですか?」
「ああ私ならある程度魔力が暴走しても何とかなるからな」
やりました。実験できます。私は伯母様に一通りの使い方を教えるとイヤリングの片割れを手渡します。伯母様は自分の耳にそれをつけるとにっこりと笑いました。おお、笑うと少し幼く見えますね。伯母様は私にもつけるように言い私の部屋から出て行きました。早速実験するそうです。私もつけて部屋をうろうろしているとイヤリングから声がします。
『リリアナ、聞こえるか?』
『はい、聞こえますわ。』
『おお、成功か。リリアナの部屋から一番遠い部屋にいるんだが何とかなったな。』
『やりましたわ!...それはそうと伯母様。なぜこの魔法道具に目をつけたのですが?「ウォータシールド」で魔力の流出は抑えられているはずなのですが。』
『勘。』
伯母様の声はいたって真剣でごまかすような気配は感じられません。しかし、勘って鋭すぎやしませんか。
『リリアナもアクセサリー好きなのかと思ってみていたら、ただのイヤリングじゃねぇなと直感で思ったのさ。』
伯母様の勘やばいです。侮れませんね。いったん通話を切り部屋に戻ってきてもらいました。二人で改善点を考えたりお母様たちの話を聞いたり楽しく過ごしました。しかしこのときの私は何も分かっていませんでした。
フラグなんて立てるものじゃないということを。
読んでくださりありがとうございます。