sideレオナール
別の人視点初めて書きました。
ど、どうでしょうか。
今日は父上につれられて名門貴族の1つ「ユーフィル家」にやってきた。理由は私と婚約者との顔合わせだそうだ。向こうからこればいいものをまだ非公式なものだから隠れていくらしい。私としては誰でもよかったんだが、どうせ貴族のわがままなやつだろうと覚悟はしていた。しかし、会ってみたらどうだろうか。すごく大人びていて、つややかな銀の髪を揺らしこちらを青い瞳がきらきらと見つめてくる。よくある貴族のわがままお嬢様じゃなくてすごく礼儀のあるやつだった。しかし父上がいたからかもしれないし、別室に分かれてからも様子を見ようと思った。他の部屋に行くとお互い何を喋っていいかわからず無言になってしまう。私も緊張してどうしようと考えているうちにとんでもないことをいってしまった。
「別にお前のことは好きでもないがとりあえず他の婚約者から逃れるための契約だからな」
いってからハッとする。泣くだろうか。叫びだすだろうか。そんなことを考えながらはらはらしているとリリアナ嬢は少し涙ぐみながらも少しぎこちない笑顔でこちらを見る。そして言葉を発した。
「そう、ですか」
そのあとは顔を伏せてしまった。私はなんてことをしてしまったのだろう。別に悲しませるつもりなどなかったと言い訳できたらどれだけ良いことか。そんなこと悔やんでも後の祭りである。しかしリリアナ嬢はそのあとは笑顔で接してくれた。泣きもせず、叫びもせず、今まで出会った令嬢とは違った。
「レオナール様は普段何をして過ごされるのですか?」
と気を利かせて聞いてくれる。私は戸惑いながらも何とか落ち着いて返す。
「あ、そうだないろいろ学んだり、剣を教えてもらったりしている」
「そうなのですか。私も今年からは魔法を習うことが出来るそうで楽しみにしておりますの。ところで今話題の『ジーンリアスの冒険記』という本はご存知ですか?」
「い、いや知らないな」
妹が騒いでたのは知っていたが、私自身は知らないから少し申し訳ない気持ちになる。
「でしたらこれから一緒に読みませんか?面白いので是非読んでいただきたいのですが」
顔に出ていただろうか。またもやリリアナ嬢はしゃべることに困る私をリードしてくれる。本当に同い年だろうか。
「わかった」
と一言しか言えない私を許してくれるだろうか。リリアナ嬢は他の令嬢とは違い私を気遣い楽しませてくれる。本当にさっき言ったことを撤回できないかと言う気持ちが大きくなってくる。ここで「やっぱり」なんて言い出したら男らしくない、なんて見栄を張って自分をごまかしてみたがむなしくなった。もう少し男らしくなって彼女を守れる男になってから改めてプロポーズしよう。明日からのプランを立てながら彼女と一緒に本で盛り上がった。帰ったら妹に借りよう。そして明日からはいつもよりがんばるのだ。
給食のあげパンが食いたい。どっかに売ってないかな。