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写メだけは送るな!

犬鳳凰いぬほうおう

式神が大きな鳥に変わる。

「真っ直ぐ、すぐに右側・・炎」


犬鳳凰が、隠れていた悪鬼を見つけて炎を吐き出す。

悪鬼は蒼白い炎に包まれて消えた。


「まずは・・1匹目と」

仕事場所は近所の山の中だった。それでも電車に乗らないと来れない距離だ。

最近、俺の仕事場所の範囲が拡大していってるのは気のせいだろうか・・?

「犬鳳凰、悪いが偵察してきてくれ。あちこち歩き回るのは効率が悪い」

犬鳳凰が飛んでいく。これで、残りの悪鬼の場所もわかるだろう。

山の中を下手にうろうろ歩き回らないほうがいいに決まっている。

場所さえわかれば、仕事はもう半分終わったようなものだ。


しばらくして、犬鳳凰が悪鬼4匹の場所を知らせに戻ってきた。

けっこう皆バラバラでいるんだな・・。まあ、鬼だし集団生活には馴染みがないんだろう。

さてと・・近いやつから退治しにいきますか。


「行け!犬鳳凰」

出合ったらすぐに燃やす。先手必勝だ。

悪鬼1匹程度なら、犬鳳凰だけで十分だ。

そのまま、山の中へ中へと入り、出合う度に先手必勝で炎を浴びせかける。

深夜の山歩きは足にくるな・・。


「ラストだ!行け!」

犬鳳凰が飛んでいく。これで、5匹目。蒼白い炎に包まれた悪鬼を見届けて今日の任務は完了だ。

「あー疲れた・・。今何時だよ?」

携帯を開くと時刻は午後3時。

「・・・帰って寝れるか?っていうか足がねえじゃん」

家から離れた山の中。行きは終電で来た。

帰りは始発を待つしかない。


「今日は学校を休もう。うん、そうしよう。いや・・そうするべきだ」

たまには精神と肉体を休ませなければ、俺は廃人になる。主に精神を休ませてあげなければ・・。

今日は幸せな1日になりそうだ・・と思い携帯を閉じようとしたら、メールが来ていた。

「は・・・?神夜?10件・・」

めちゃくちゃ嫌な予感がする。絶対に見ない方がいい・・。

それなのに俺の手は勝手に未読メールを開く。

見て、急いで携帯を閉じた。

「なんだ・・・今の??」

もう一度確認した方が・・いや、止めよう。見なかった事にした方がいい。

それなのに俺の手が勝手に動く。


メールの本文はたった一言。『お疲れ様です』

普通だ、そこは・・

写メになっていた。

開けると、10枚すべて自分で撮ったらしき写メが・・

微笑んでいたり、すねていたり、表情を変えて撮っている。

そして、最後の一枚は目を閉じて、まるでキスを・・


消せ!!消去だ!!削除だ!!

頭が命令しているのに、体が動かない。

なぜだ?恐怖か??恐怖なのか??悪鬼よりよほど怖いのか??


・・・


しばしの放心の後、とりあえず携帯だけ閉じた。

「ふー・・。何考えてるんだ?あいつは・・」

こんな事をされるなら、連れて来た方がましだっただろうか・・。

いや、生の方が色々と怖いから、まだ動かない写真の方がましだろう。

しかし、この写メはどうすればいいんだろうか・・?

「新手の嫌がらせを考えつきやがって」

たぶん、今日のうちのおふくろとの会話から思いついたのだろう。


アイツに手なんかだしたら俺の人生はお終いだ。

いくらアイツが色仕掛けでこようと俺は鋼鉄の自制心で耐え切ってみせる!!


また、新たな目標が出来てしまった。



それなのに、始発が動き出すまでの微妙な時間を俺はなんとなく、神夜の微笑んでいる写真を見て過ごしてしまった。

本当に見た目だけなら、こんなにも可愛いヤツはいないだろうなあ・・。

中身は悪魔だけどな・・。

小悪魔とかじゃなくサタンだな、大魔王だ。

先読視さくよみだけじゃなく、式神のカグツチも普通じゃねえし、すべてにおいて、人間離れし過ぎてる女だな。

小市民的、陰陽師の俺には無理だ。やっぱ無理だ・・。

「はあああ・・」

こんなに神夜の事を考えさせられるなら、学校に行ってた方がまだマシだったかも知れないと感じた。


しかも、それを狙って悪魔がメールを送って来た事もわかっていた。


俺の精神を休ませてくれ!!

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