表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/25

仕事には1人で行かせてくれ!

今日も学校から家に帰ろうとする俺の隣を神夜が普通に歩いている。

入学してからは毎日一緒に帰り(校門前で待ち伏せされていては逃げられない)ついでに、俺の家へ寄っていく。


「婚約者なんですから、お母様にご挨拶を・・」

らしい。

姫様の豪邸と違って庶民の民家に入っていく神夜の姿は非常に違和感がある。


「まあ。神夜ちゃんいらっしゃい」

それに、俺の母親とは確かに仲良くはなったようだ。

「お母様。ただ今帰りました。今日は悠真様に非常に仲良くして頂きましたの」

仲良くはしていない。弁当を食っただけだ。

「悠真様と、少し距離が近づいた・・と申しますか」

頬を赤らめて俺の母親に話す神夜。


!!止めてくれ!!なんかしたと思われるだろ!ミルクティー飲んだだけだろ??


「まあ・・。悠真!あなた、結婚前に姫様に破廉恥な事をしたら許しませんよ!」

してないって!!する気は・・・・ないって・・。


神夜はさらに赤くなってモジモジしだした。


「しねーよ。後、結婚もしないし」

「悠真!!一族の総意で決まったことでしょうが!こんなに可愛らしいお嬢様のどこが不満なの?いっつも、いっつも、そんな事ばっかり言って!!」

俺の意思がまったく反映されてない事が不満だって何回言えばいいんだよ・・。


「お母様。悠真様は恥ずかしがってるだけですから、私は気にしませんわ。だって、私と悠真様は結ばれると『決まった未来』があるんですもの」

「神夜ちゃんは本当に優しい子ね。ありがとう。でも、あんなバカが本当に『決まった未来』なのかい?」

「それは、『間違いない』ですわ。私、これでも、視えた予知は外した事がありませんもの」


神夜の未来予知は外れない。

俺が知っている限りは1度も外していない。

ただし、周囲に報告する場合に限る・・だ。


俺はこいつの嘘予知に何回か騙された記憶がある。

「明日は大雪が降りますから、暖かい格好をして学校に行って下さいね」

と言われ、真夏にセーターを着ていった事もあるし(暑すぎて倒れた)

「遠足のおやつには必ずバナナを持って来いと悠真様の担任の先生がおっしゃりますわ」

と言われ、リュックに大量のバナナを詰めて遠足に行った事もある(バナナが腐って大変だった)

しかも、全部が嘘ではなく、真実も織り交ぜるという高等テクニックを披露した。

そのせいで、予知に振り回される事になり、特に嘘予知に振り回せれたのは、俺とこいつの兄貴だ。

まあ・・言ってもいい相手にしか言わないんだろうが。


それを思うと、神夜の為に命を懸けるとか、嫁ぐとかは、本当の予知なんだろうけど・・。

「はあああ・・」

最近タメ息増えたなあ。


「なんだい?悠真。タメ息なんてついて。あんた、今日の夜仕事が入ってるんだよ。しっかりしな」

「仕事?あーあったな。なんだったけ?狐?鬼?」

「今日は悪鬼退治。依頼は5匹程度らしいよ」

悪鬼5匹かあ・・めんどくさいなあ。小鬼ぐらいならすぐ済むのにな。

「まあいいか。夜まで仮眠するわ。どうせ徹夜になるだろ?」

悪鬼を1匹ずつ探し出して、戦って、また探して、だと時間がかかる。

いっぺんに出てきてくれたら楽なのになあ。

まあ、悪鬼5匹はちょっとキツイか・・。


部屋に向かう俺の後をなぜか神夜も付いてくる。

「姫様。お聞きの通り俺は、今日の夜は出かけなくてはならないんだ。そろそろご帰宅されないと、火家で大騒ぎになるぞ」

「・・・・・」

なぜか、黙って下を向いている神夜。なんなんだ・・

「あのさあ、もう帰って・・」

「悠真様!!私も悪鬼退治にご一緒してもよろしいですか?」

「はあ??連れて行けるわけないだろ?姫様を」

「姫じゃありません!神夜ですって何度申し上げたらよろしいのですか!それに、私、足手まといにはなりませんわ」

そりゃあそうだろう。俺より強い式神使役できるヤツだし。

そんな意味じゃないんだけどなあ・・。

「あのさあ。たぶん場所はこの近くで、人目につかずに『カグツチ』を出せる場所はないんだ?意味わかるかい姫様?」

「・・・・つまらないですわ」


神夜の式神 『火之迦具土神ひのかぐつち


日本神話に登場する神産みの話は知ってるだろう。

イザナギ、イザナミの神様が国を産んで作ってた時に、火の神だったが為に母親のイザナミを殺してしまった、あのカグツチだ。

その後はキレた父親にすぐに殺されてしまうんだけどな。カグツチ。

まあ・・ようは火の神様なわけだ。神夜の式神は・・。

声を大にして言っとくが


そんな式神ありえねーーーー!!!から。


ハイスペック女と一般のコツコツと地道に修行をしてる普通の陰陽師と一緒にしてもらっては困る。

こいつ・・本当にどんな構造をしてるのか・・。

神夜がキレるとすべてが灰になるって話も聞いたな。

俺も小さい頃はちょっと意地悪しただけで、服と髪を燃やされたな。

ちょっと結婚とかしないって言っただけで、通学かばんを燃やされて、教科書新しく買いなおしたな。

それを、思えば、最近何も燃やされてないな・・。

大人になったって事か??神夜が。


「せっかく、お仕事に一緒に連れていってくれるのでしたら、悠真様の横で添い寝しようと思いましたのに・・・残念ですわ」

それだけ、言って帰って行った。


危険なのはむしろ・・俺なのでは??



まだまだ、始まったばかりなのにお気に入りにして下さった方、感謝です。

御覧頂いた皆様に少しでも楽しんでいただけますように・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ