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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第5章「歪み」

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第16話「接続」

 通りと広場に点在していた“越境した位置”が、個別の現象としてではなく同じ高さ・同じ幅で再現され続けていることを確認しながら、それらが互いに独立しているのではなく、見えない形で連結され始めていると判断する。


 点は消えない。


 なら、繋がる。


 市場の端。


 人の流れが割れていた位置が、隣の通りでも同じ形で現れる。


 離れている。


 だが、同じだ。


 「……ここ、さっきと同じだな」


 誰かが言う。


 別の誰かが頷く。


 「……ああ、同じ高さだ」


 比較が成立する。


 個別ではない。


 “同じもの”として扱われる。


 広場へ視線が移る。


 中央に現れた“縁”が、通りのそれと同じ角度で揺れる。


 「……繋がってる」


 言葉が自然に出る。


 否定されない。


 その瞬間、二つの地点の“縁”が同時に歪む。


 遅れていた補正が入り、全体の動きが一度だけ揃って崩れる。


 だが、消えない。


 「……残る」


 対象の男が歩き出す。


 迷いがない。


 さっき越えた境界を、そのまま通り抜ける。


 「……通れる」


 その言葉に、周囲の数人が続く。


 同じ動き。


 同じ高さ。


 別の通りでも、同じ行動が再現される。


 距離はある。


 だが、時間差がない。


 「……同時だ」


 誰かが呟く。


 共有が広がる。


 “あの場所”という認識が、“どこでも同じ場所”へ変わる。


 「……位置が固定された」


 通りの角で、別の集団が同じ動きをする。


 何もない空間に手を伸ばし、同じ高さで止め、同じ角度で回り込む。


 「……再現されてる」


 個体の違いが消える。


 “手順”として残る。


 広場と通りが、同じ構造で重なる。


 「……面じゃない」


 違う。


 「……線だ」


 点と点が結ばれる。


 その上を、人が同じ順序で通る。


 通り抜ける。


 「……繋がった」


 空間がそれに従う。


 見えないはずの経路が、“通れる道”として固定される。


 対象の男が立ち止まる。


 視線を上げる。


 「……先がある」


 通りの奥。


 何もないはずの位置に、連続した“縁”が伸びている。


 「……行ける」


 一歩。


 踏み出す。


 戻らない。


 そのまま進む。


 周囲の数人が続く。


 同じ経路。


 同じ順序。


 「……通路だ」


 言葉が確定する。


 面でもない。


 点でもない。


 “道”になる。


 男の視点。


 ばらばらだった現象が一つの経路として繋がったことで、見えないはずの対象が“移動可能な領域”として理解され、現実の地形と同じように扱えるようになる。


 「……ある」


 それで十分だ。


 一方。


 通りの外れ。


 歩く。


 止まらない。


 「……繋がったな」


 観測する。


 個体でも面でもない。


 構造ができた。


 「……十分だ」


 これで境界は連続する。


 なら。


 次は。


 「――開く」

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