第14話「選別」
通りの流れを横切りながら、視界に入る人間一人ひとりをただ“数”としてではなく、それぞれが持つ情報量や用途を含めた“価値”として捉え始めていることに気づき、これまでの捕食が単なる取得だったことを改めて理解する。
誰でもいいわけではない。
むしろ、誰でもいい段階は終わっている。
「……違うな」
足を止める。
視線を動かす。
選ぶ。
労働者。
動きが単純。
情報も少ない。
「……低い」
商人。
会話が多い。
だが、内容は浅い。
「……中程度」
武装した者。
動きが洗練されている。
判断が速い。
「……高い」
だが、同時に――
「……面倒だな」
警戒が強い。
処理に手間がかかる。
「……なら」
視線をさらに動かす。
条件を追加する。
情報量。
警戒度。
孤立性。
「……この辺か」
路地の奥。
一人。
装備は軽い。
だが、動きに無駄が少ない。
周囲を見ている。
完全ではない。
だが、他より良い。
「……適度だな」
距離を詰める。
流れに紛れる。
視線を合わせない。
「……気づいてない」
背中が見える。
呼吸が一定。
警戒はしている。
だが、足りない。
手を伸ばす。
止まらない。
今度は――
「……行くか」
瞬間。
距離を潰す。
口を塞ぐ。
引く。
音は出ない。
動きもない。
そのまま影の中へ。
崩れる。
抵抗は短い。
すぐに終わる。
「……静かだな」
問題ない。
周囲に影響はない。
喰う。
躊躇はない。
肉。
血。
骨。
すべてを取り込む。
だが――
「……違うな」
前とは違う。
流れが違う。
量ではない。
質。
情報が流れ込む。
動き。
判断。
視線。
戦闘の基礎。
「……使える」
明確に分かる。
価値がある。
「……これか」
理解する。
無差別では効率が悪い。
選別すれば、質が上がる。
「……当然だな」
死体を見る。
処理はしない。
そのまま。
「……人間の流れに任せる」
発見される。
騒ぎになる。
だが――
「……関係ない」
直接繋がらなければ問題はない。
路地を出る。
人の流れに戻る。
何も変わらない。
さっきと同じ。
「……混ざるな」
歩く。
違いが分かる。
さっきまでとは違う。
視界の解像度が上がっている。
「……増えたな」
情報。
選択肢。
「……悪くない」
ギルドへ向かう。
足取りは自然。
動きも問題ない。
「……これなら」
もっと選べる。
もっと増やせる。
視線を感じる。
例の男。
やはりいる。
「……まだ見るか」
しつこい。
だが――
「……いい」
むしろ使える。
振り返る。
一瞬だけ。
視線を合わせる。
外さない。
「……」
言葉はない。
だが、意図はある。
男がわずかに眉を動かす。
違和感が強くなる。
確信に近づく。
歩き出す。
そのまま。
止まらない。
「……次だ」




