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バグ個体に転生した俺、魔物として進化しながら人間社会を喰らう  作者: HATENA 
第8章「目的」

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第1話「空白」

 世界全体が単一の前提で完全に同期した状態を維持している中で、外部からの干渉や内部での変動が一切発生しないことを確認し、これ以上の変化が起きない“静止状態”に到達していると判断する。


 揃っている。


 だから。


 何も起きない。


 道。


 人が歩いている。


 同じ方向。


 同じ速度。


 同じ順序。


 止まらない。


 迷わない。


 すべてが同じだ。


 広場。


 人の流れが続く。


 途切れない。


 変わらない。


 「……問題ない」


 誰かが言う。


 確認ではない。


 繰り返しだ。


 必要がない。


 すでに確定している。


 対象の男が歩く。


 どこにいても同じだ。


 視線を動かす必要もない。


 見えるものは変わらない。


 「……いい」


 短く言う。


 それで終わる。


 観測する。


 ズレはない。


 揺れもない。


 新しい変化もない。


 「……終わってるな」


 静かに言う。


 侵食は完了した。


 崩壊も終わった。


 再構築も終わっている。


 残っているのは。


 “維持”。


 それだけだ。


 だが。


 何も起きない。


 変わらない。


 増えない。


 減らない。


 「……空だな」


 初めて出る言葉。


 必要がない。


 だから。


 意味がない。


 男の視点。


 すべてが完全に揃っているため、判断する必要も選択する必要もなく、結果として思考そのものがほとんど発生しない状態にある。


 「……何をする」


 問いが生まれる。


 だが。


 答えがない。


 世界は完成している。


 それ以上がない。


 一方。


 高い位置。


 世界を見下ろす。


 完全に揃っている。


 乱れがない。


 問題もない。


 だが。


 「……動かないな」


 短く言う。


 当然だ。


 変化がない。


 なら。


 次は。


 「……作るか」


 静かに決める。


 外からではない。


 内から。


 この世界に。


 新しい“ズレ”を。


 「――入れる」

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