第2話「外部」
完全に固定された内部構造から離れ、町の外縁へ移動しながら、まだ再定義されていない領域における人間の行動と認識が従来の整合性を維持していることを確認し、内部との差異が明確に存在している状態を把握する。
違う。
まだ、崩れていない。
町の外れ。
人の流れが変わる。
止まる。
迷う。
選ぶ。
「……どっちだ?」
誰かが立ち止まる。
視線が揺れる。
複数の経路を見比べる。
決まっていない。
「……こっちかな」
選ぶ。
別の誰かが首を振る。
「……いや、こっちだろ」
意見が分かれる。
当然だ。
前提が一つではない。
「……遅いな」
短く呟く。
内部では起きない。
迷い。
衝突。
停滞。
すべてが残っている。
観測する。
ここでは。
選択は個体ごとに独立している。
共有されない。
だから。
ズレる。
「……無駄だな」
明確だ。
最適化されていない。
別の通り。
人がぶつかる。
進路が重なる。
足が止まる。
「……すみません」
謝罪が発生する。
調整が必要になる。
「……非効率だ」
内部では不要だったもの。
すべて残っている。
対象の男が歩く。
外側の人間。
変質していない個体。
動きが遅い。
判断が多い。
「……まだだな」
理解していない。
構造を持っていない。
だから。
揃わない。
男の視点。
周囲の人間がそれぞれ違う判断をしていることに違和感を覚えず、それが当然の状態として成立している。
「……普通だろ」
正しい。
ここでは。
それが基準だ。
一方。
境界。
内と外が接する位置。
わずかにズレる。
内部の構造が、外へ滲む。
人の流れが一瞬だけ揃う。
だが。
すぐに戻る。
「……弱いな」
まだ届かない。
完全ではない。
だが。
可能だ。
「……いける」
内部は完成している。
外部は未完成。
なら。
やることは一つ。
「――広げる」




