第8話【墨俣一夜城】墨俣プロジェクトと#直ロス
羽柴秀成:
「……。……ダメだ、まだ直殿のあの笑顔が目に焼き付いていて、言葉が出てきません。あまりにも残酷で…前半の墨俣一夜城があんなにワクワクする『お祭り』だっただけに、落差が……」
磯野員昌:
「(鼻をすすりながら)……おい、高虎。わしに構うな。これはあれだ、目に墨俣の砂が入っただけだ。直殿、あんなに健気に、小一郎の帰りを待っておったというのに……」
藤堂高虎:
「磯野殿、お気持ちは分かります。SNSでも『#豊臣兄弟』に加えて『#直ロス』がトレンドに入ってるようです。視聴者の誰もが、小一郎と直殿の幸せを願っていたはずです。ですが、歴史の歯車は時に残酷な回り方をいたしますな……」
員昌:
「直殿がようやく実家に戻り、父君と和解できた矢先に、あんなことに...」
高虎:
「父君が身を挺して幼き頃の直殿を守った、その同じ姿で子供守り、切られた...切なすぎますな」
秀成:
「直殿を演じていた白石姫は人気急上昇のようです。私もファンになってしまいました。あの可愛い笑顔…」
員昌:
(お初(秀成の母)に報告せねばならんな。心を奪われた女子ができたようだと)
高虎:
(麒麟児と囁かれる若殿に、心を寄せる女子ができるとは、これは応援せねば)
高虎:
「若殿、落ち着きましたか? では、今回の見どころの「建築」について、お話しましょう。単に木材を流すのではなく、『松倉城』に一度運び、組み立てやすい形状に加工してから搬送する。これは現代の住宅建設における『プレカット工法』そのもの。小一郎の実務能力が、信長の無茶振りを最高の形で具現化しましたな」
員昌:
「川並衆を指揮する蜂須賀も良い面構えであったな。夜陰に乗じて筏を運び、一気に組み上げるスピード感……斎藤龍興が『なぜもっと早く手を打たなかった』と家臣を責めるのも無理はない。しかし、自分で出した命令のくせに、結果が悪ければ部下をなじるとは、ろくな上司ではないな」
高虎:
「建築に携わる者として、あの合理的な作戦には痺れました。柴田殿が力押しで失敗した墨俣を、知略とチームワークで攻略する。制作陣が言う『フェスのような高揚感』が最高潮に達した瞬間でした」
員昌:
「斎藤の軍勢が押し寄せた時、完成した砦を見て腰を抜かす様は痛快であった! しかも、夜に誘い込んだ上での爆破! 砦ごと吹っ飛ばすとは豪快であったわ。……だが、信長の真の狙いは別にあった」
秀成:
「そうです。墨俣はあくまで囮だったんですよね。信長の真の狙いは、美濃三人衆・安藤守就殿の守る北方城。父上たちが捨て石になる覚悟で敵を引きつけている間に、本命を叩く。戦国ど真ん中の冷徹な戦略です」
員昌:
「北方城に攻め込んだ小一郎殿だったが、安藤殿に策を見抜かれ、包囲された場面は冷や汗が出たわ。あそこで斬り合うのではなく、『この知略を貸してほしい』と説得を試みるのが、いかにも小一郎らしい」
高虎:
「その窮地を救ったのが前野長康殿の暗闇での誘導。そして……ついに現れましたな。竹中半兵衛(菅田将暉)! 策の出どころを問いかけてくるあの不気味な知性、次回の戦が楽しみです」
秀成:
「……そして、ここからです。墨俣一夜上の攻防の裏で、直殿は父・喜左衛門殿から白無垢を贈られ、ようやく父上と夫婦になる許しを得て幸せの絶頂にいたはずなのに。なぜ、あんな……」
員昌:
「戦場ではなく、日照り続きの中村での『水取りの言い争い』に巻き込まれるとは。村人たちの諍いを止めようとし、泣いている子を助けようとして……武士としての出世の陰で、守りたかったはずの故郷の民の争いで命を落とす。これほど残酷な皮肉があるか」
秀成:
「父上が自宅に戻り、家族の様子からすべてを察して咆哮するシーン……脚本家は鬼かとつい叫んでしまいました。ドラマオリジナルキャラゆえの自由度が、これほどまでに悲しい形で発揮されるとは思いませんでした」
高虎:
「というか、護衛の弥助は何をしておったのだ!直殿が走り出した時に引き止めるのが役割であろうが!!」
員昌:
「そうじゃ、弥助が斬られればよかったのだ!役に立たん男だ」
秀成:
「気持ちはわかりますが、彼は藤吉郎、小一郎の姉ともの旦那さんです。お前が死んどけとは流石に...これから彼は自責の念を抱えて生きていくのです。それも辛い話だと思いますが」
員昌:
「まぁ、元首相の一族では、厳しく罰しようもないのか」
高虎
「いや、それはまた別の話かと思いますぞ」
秀成:
「...弥助さんのことは横において。父上はこの悲しみを胸に、さらに深く伯父上を支えていく決意をするんですよね」
高虎:
「悲しみを知るからこそ、他人の痛みが分かる名補佐役になる。今作の脚本は、小一郎の『誠実さ』の根源に、この愛する人を失った痛みを持ってきた。深い人間描写ですな」
秀成:
「……父上、直様の分まで、しっかり豊臣家を支えますからね。ドラマでの父上の涙を無駄にはしません」
高虎:
「若殿、泣いてばかりはいられませぬぞ。我が本編(小説)でも、この直様の悲劇を繰り返さず、父上が二度と大切な人を失わなくて済むように、情報網をさらに強化し、家族の守りを鉄壁にするのです。ドラマの悲劇が、秀成様の原動力になる…ぜひ両方の世界を繋げて読んでいただきたい!」
秀成:
「なんとなく広告ぽいところが気になりますが、そうです、羽柴の家に不幸が訪れないようにがんばります。お祖父様も高虎も力を貸してください」
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