第7回【決死の築城作戦】味噌汁が生んだ「プレハブ工法」と高虎の技術監査
秀成:
「ついに始まりました、墨俣築城!でも、あの『鬼柴田』こと勝家殿がボロボロになって帰ってくるとは……墨俣攻略、どれだけ難しいのですか!?」
高虎:
「無理もありません。墨俣は長良川に遮られた平地。敵からは丸見え、地盤はグズグズ。あそこに真っ当な手順で城を建てるのは、ザルで水を掬うようなものですな」
員昌:
「ふん、勝家は真っ正直な武人だからな。正面から攻めて、完成間近を狙われる。戦の定石ではあるが、湿地帯での消耗戦はベテランほどドツボにはまるものよ。しかし、『鬼柴田』が手も足も出ぬ難所に、新参者の藤吉郎が立候補したのだからな。無謀を通り越して狂気の沙汰よ」
藤堂高虎:
「ですが、そこで動いたのが小一郎の調査能力。逃げ帰った足軽たちから『敵の動きが筒抜けになる平地の罠』を聞き出し、勝機の糸口を探る…そして、この難局を打破するために避けては通れぬのが、野武士集団『川並衆』」
秀成:
「出ましたね、蜂須賀正勝(小六)殿! 頑固で誇り高い彼らを味方にするのは至難の業。そして、前野長康殿が敵に囲まれるという大ピンチ。あそこで秀吉が『一緒に助けに行こう』と小六殿を誘ったのが運命の分かれ道でした」
高虎:
「前野殿と小六殿は固い絆で結ばれた義兄弟。その長康殿を救い出した秀吉の熱意に、小六殿の心も動かされた。まさに『理屈より情熱』で川並衆という最強のカードを手に入れたわけですな」
秀成:
「ところで、本当のところ小六殿や前田殿は、野武士だったのですか?」
員昌:
「おそらくは違うな。徳川の時代に流行った戯曲で、そのように描かれ流行ったのがきっかけのようじゃ。元はわしと同じように一地方を治める国人だ。前野殿に至っては岩倉織田氏の家老の子。教養もあり、のちに千利休ら文化人と交流しておる。百姓出の秀吉の最古参の家臣なら、野武士の方が面白いからの」
高虎:
「そうでしょうな。兵を率い、領内を統治するにも教養が必要ですから。そういう意味で百姓から成り上がった秀吉様、秀長様は別格だということでしょう」
秀成:
「今回、一番驚いたのは叔父上と父上の兄弟喧嘩です! 叔父上が『足手まといだ、帰れ!』と父上を突き放したシーン……一瞬、本当の仲違いかと思ってヒヤヒヤしました」
高虎:
「あれは藤吉郎の粋な計らいでしたな。直殿のことが頭から離れない小一郎を彼女のもとへ帰すための『嘘』の喧嘩。自分の大仕事の最中に弟の恋を心配するとは……やはり藤吉郎は、根っからの家族思いです」
秀成:
「ここで来ました!母上の味噌汁の準備を見て、父上がひらめくシーン!『先に具材を切っておけば早い』……これって、現代で言うところのプレハブ工法ですよね」
高虎:
「(食い気味に)そう!そこです!部材を上流で加工し、筏で流して現地で組む。この『下ごしらえ』という発想こそが、建築の工期短縮における革命なのです。しかし、小一郎殿……理屈はいいですが、現場はそんなに甘くないですよ?」
秀成:
「お、築城家・高虎殿のテクニカル・ツッコミですね」
高虎:
「いいですか。筏で流すといっても、巨大な柱や梁を激流の中でどうコントロールするのか? 着岸させた瞬間に敵が来たら、ただの薪の山ですよ。さらに、一番の問題は『川並衆』という、金で動く超気難しい下請け業者をどう管理するかです!」
員昌:
「蜂須賀正勝か……。あの時代の川筋を仕切る連中は、武士というよりは半分ヤクザ者だ。前野長康との斬り合い、あの殺気こそが本物の戦場よな」
秀成:
「父上と伯父上が、正勝の屋敷の前で座り込み……。伯父上は調略のために、父上は直殿の平癒祈願のために。形は違えど、二人とも『動かないこと』で運命を切り拓こうとしているのが熱い!」
高虎:
「正直、設計図だけでは城は建ちません。あの荒くれ者たちを『この奇策に乗れば面白いことが起きる』とワクワクさせた父上の交渉術。あれこそが、後の豊臣政権を支える『天下一の補佐役』の片鱗ですな」
秀成:
「直殿が熱病で倒れるシーンは見ていて辛かったです。『私と藤吉郎様、どっちが大事なの?』という問いへの答えが、雨の中での祈りなんて……父上、不器用すぎます。そして、回復した直殿が『小一郎様に嫌われるのが怖くて逃げようとした』と本音を漏らしたシーン……武士として遠くへ行ってしまう父上への不安、ねね様の『女子はいつも待つしかない』という言葉が重くて、胸が締め付けられました」
員昌:
「いや、あれでよいのだ。言葉ではなく背中で語る。それが戦国男の誠実さというもの。 武士の家族になるということは、常に死の影に怯え、帰りを待つということ。小一郎はその涙を正面から受け止めた。この覚悟があってこそ、戦場でも迷いなく刀を振るえるようになったのだな」
秀成:
「……というわけで、川並衆を味方につけ、私生活でも直殿との絆を深めた父上。いよいよ次回は、あの『一夜で砦を築く』という信じられない……いえ、最高の奇策が実行に移されます」
高虎:
「さて、次回はいよいよ墨俣の現場。私の目は誤魔化せませんよ。釘の一本、梁の継ぎ目一つまで、しっかりVPの限界に挑む描写を期待しています!」
員昌:
「おう! 次回はいよいよ墨俣一夜城の完成と、信長公の度肝を抜く兄弟の活躍だな。わしも今から興奮が止まらん!」
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