他人の権利
剣に光が巻きつき、本来持つ刃では届きようがない場所まで切断する。
建物は瓦礫とかした。しかし、殺すべき対象は光の盾を展開して生き残った。
「なぜだ!」
怒りを滲ませながら、髪の赤い少年は吠えた。
「何の権利があって殺した!答えろ!」
復讐に心を囚われたまま、自らの正義を主張する。
「ふん。下らん」
全身を黒で包んだ、いかにも悪そうな男は飽きていた。
「権利とは誰もが持っている当たり前のものだ。当然、人を殺す権利も抵抗する権利も含まれる」
会話を続けながら戦闘は行われる。
黒い男は無駄なことをする余裕があったが、赤い少年にはなかった。
「人が持っていないのは、死人を蘇らせる権利だ。そして、人が持つのはそれを探究する権利だ。わかったか?」
赤い少年は明らかに押されていた。
致命傷こそ避けてはいるが、全身に傷ができている。
対して、黒い男には全く損傷がない。
これではジリ貧だ。
「それなら、俺もお前を殺す権利があるってことだよな!」
勢いが強くなる。
光が迸る。
感情の高ぶりによって威力を増し、黒い光が削れていく。
「先に殺されるのはお前だ。死人に権利があると思うなよ」
赤い光と黒い光が激突する。
そして、不意を突くように矢が放たれた。
矢は黒い男の首を正確に射貫いた。
「なっ」
赤い少年には仲間がいたのだ。
負傷により黒い光は弱まり、赤い光に飲まれて骨も残さず消滅した。
「他人を尊重できないやつが、こんな世界で生きていけるわけがないだろ」
赤い少年とその仲間は満足して帰路に着いた。
〈終〉




