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エクストリームワールド  作者: 百円


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セックスしないと出られない部屋

目が覚めた。

俺は今、知らない場所にいる。

壁と床は白色だ。広さ教室くらいだろうか。監視カメラらしきものが5メートルくらいの高さで、4つの角に1つずつ設置されている。

壁には看板のようなものが備え付けられており、『セックスしないと出られない部屋』と記されている。

天井はガラス張りで、10メートルくらいの高さだろうか。あそこから中に俺達を入れたのだろう。外の明るさ的に今は朝だな。


そうだ。部屋には俺以外に、裸の美少女がいた。


まだ起きていないようなので、壁や床を叩いたり、押したりして確認した。俺が触れる高さにある全ての面を全力で押したが、何の変化もなかった。


少女はまだ起きない。呼吸の音は聞こえるので、生きている。

今なら強姦することもできるが、確実に抵抗されるし、怪我を負うリスクがある。

そもそもセックスをして出られる保証なんてない。

誘拐犯はテレビ越しに、外に出られない俺達を笑って馬鹿にするかもしれない。

それに、俺がいないと気付いて両親が警察に通報しているはずだ。


決めた。

俺の選択は待ちだ。

誰も助けに来なかったら、その時は少女とどちらが先に餓死するかの勝負だ。

死体とセックスすれば出られるかもしれない。

子供の出来ない行為はセックスではないとされて外に出られないなら、しばらくは少女を食べれば良いだろう。

いや、生で食べるのは危険だし、病気のリスクだってある。そもそも人間を食べるとどうなるかなんて知らない。

そのまま餓死した方が苦しくないのだろうか。

まあ、分からないことを考えても仕方ない。

体力を温存するために寝よう。

少女から離れた位置に行き、少女に背を向けて、固い床に寝転がった。


しばらくして、悲鳴が聞こえた。

少女が起きたのだろう。

無駄に体力を消耗するとは。まあ仕方ない。

無視でいいだろう。


「すみません。起きてますか?」


一人だけで考えるより、二人で考えれば脱出の糸口が見えるかもしれない。

多様性が重要な理由だ。一方で、破滅に近付くこともあるが。


「起きてる」

「ここがどこだか分かりますか?」

「分からない」

「あなたは誰ですか?」

島根(しまね)松屋(まつや)

「私は平坂(平坂)夜見(よみ)です。これからどうすれば良いと思いますか」

「警察が来るまで待てばいいんじゃないかな」

「そうですね」


会話は終わった。

黙っていれば良かった。いや、騒がれても面倒か。


少女は泣いているようだった。あまり関わりたくない。


8時か9時か10時になった頃だろう。トイレに行きたくなった。

部屋にそんな設備はないし、ちょうど良い穴もない。

俺は角に行って立ちションした。


「何してるんですか!?」

「おしっこ。トイレがないから仕方ないだろ」

「・・・そうですね」


納得してくれた。


お腹を空かせながら、ふと思い出した。

人は水を飲まないと3日で死ぬらしい。

しまった。

自分の尿を飲むべきだった。

出したものを飲もうかとも思ったが、それは止めた。

中途半端に潔癖な性格は、どこかで足をすくうかもしれないな。


日が落ちてきた。


「耳を塞いでいてください」


黙って両手を耳に当てる。

北海さんは尿を飲まないらしい。

次から俺が尿を飲めば、先に死ぬのは北海さんだ。

北海さんの尿を飲ませてほしいと提案するのもいいが、二人とも救出されれば俺は訴えられるだろう。

警察が助けてくれることを祈った。


夜になった。

トイレに行きたくなったので、尿を飲んだ。

北海さんは見ていなかったのだろう。

なにも言われなかった。


特に何も起こらず、その日は寝た。


次の朝。

ひたすらお腹が空いた。

だが、できることはない。

いや、セックスさせてほしいと提案することはできる。ずっと思考の外にあったが、最初からそう言えば、こんなところから出ることができたかもしれない。

しかし、承諾してくれるとは思えない。俺が誘拐犯の仲間だと決めつけられる可能性があまりにも高い。何事もなく外に出ても、警察に俺が強姦したと訴えられれば終わりだ。

そもそもの大前提として、少女の方も嫌だろうが、俺も嫌なのだ。勃つものは勃つが、初めては愛しあっている人がいいに決まっている。できれば、空から落ちてくるといった運命的出会いがしたい。いくら顔が良くても、名前しか知らない女は抱きたくない。それに、絶対泣かれる。俺が悪いことをしているみたいで憂鬱な気持ちになるだろう。


早く警察が来てくれることを祈り続けた。

新発見なんて何もなく、空腹の辛さにもがいたまま1日が終わった。


3日目の朝。

朝起きたら尿を飲むという習慣が定着しつつある。

いつもの日常に戻っても続けてしまいそうで不安になった。

そもそも生きて外に出られるのか不安になった。


3日で死ぬと何かで見た記憶があるが、もう死んでもおかくしくはない。そのくらい、辛かった。


「生きてる?」


掠れた声が出る。

北海さんの返事はない。

まだ寝ているのか?


脈を確認する為に立ち上がった。

空腹のせいだろう。歩くのもしんどい。少し離れすぎたか。

しかし、近くにいた方が悪感情を向けてくるだろう。物理的な距離が、精神にほんの僅かな安心感を与えてくれるはずだ。


首に手を触れ、脈を測る。

まだ生きているようだ。しぶといな。

そして、目線は胸の方へ移る。

どうしようもなく、男は女体が好きなんだ。

同い年くらいの女子の裸なんて初めて見た。

こんな感じなのか、と興味深かった。


さっさと元の場所に戻れば良かったのだ。

北海さんは目を覚まし、俺に殴った。

運動なんてろくにしてない上に、空腹でまともに回避もできず、拳は顔面に直撃した。

おそらく、俺に襲われると思ったのだろう。

鼻からは血が出ている。手で押さえたが、この状況で出血するのは致命的かもしれない。


「何で、何をするつもりだったの!?」


答えられない。

段々と意識が遠のいていく。

誤解を解かないと、警察に救出されても少年院行きだ。

何か、言葉を出さない、と。


「ち」


駄目だ。

俺の意識は、途切れた。




目が覚めた。


「ここは?」


周りには石があった。


「そうか。セックスしなくても出られたのか」




〈終〉

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