命の値段
それは目に見えない。
空気のように無色透明だが、空気ではない。
それは確かに実在する力の塊だ。
強く飛来した力の塊は一撃でモンスターを粉砕した。
「これで賞金首討伐か。チョロい仕事だったな」
死体を宙に浮かせると、近くにいたモンスターに背負わせた。
モンスターに飛び乗ると、モンスターは街へ駆け出した。
組合に持っていくと、確認が取れた後、200万が支払われた。
モンスターのレンタル代が引かれているが、質素で貧乏な生活をするなら一生を過ごせるくらいの大金だ。
だが、そんな生活を甘んじて受け入れるような人間ならば命を対価にこんな危険な真似はしない。
更なる贅沢に取り憑かれて、金を武器に注ぎ込んだ。
数日間の休息を終え、再び組合に向かう。
しかし、めぼしいものはない。
賞金首はかなりレアで、これが日常だ。
雑魚の間引き依頼が何件かあるが、武器の値段に釣り合わない。
さりとて、弱い武器をわざわざ担いでいく気にもなれず。
仕方なく組合を出て、自分で飼っている小型モンスターに乗る。
大型モンスターは強く、大量の荷物を運ぶことができ、耐久力もある。
しかし、金がかかる。
小型なら俊敏性があり、何より金がかからない。
小金持ちの組合員なら誰もが持つ必需品だ。
大型を持つほど金があるならこんな仕事はしない。そのため保有しているのは企業や国といったデカイ組織がほとんどだ。
向かう先はモンスターの巣だ。
モンスターは繁殖方法が確立されているものを飼っている場合が多いので、卵は高く売れない。
そもそも、狙いは卵じゃない。
特定のモンスターは巣に固いものを使うため、死んだ人間の武器を持ち去ることがある。また、それに付随して金も付いている場合がある。
遺品なんかは親族が入れば高値で取引できる。
どこぞの輸送しているモンスターが襲われていれば、たんまり金が巣に放置される。
モンスターの巣はギャンブルみたいなものだ。
もちろん、卵や死体を売ることで金を稼ぐこともできるが、せいぜい日銭にしかならない。
強さを見込まれて企業や国に属せば固定給が貰えるが、そいつらはよっぽどの上澄みだ。
武器やモンスターの費用、命の安さを考えればこんな仕事は就くべきじゃない。
巣に着いたが、今回は外れだった。仕方ないので卵を一つちょうだいして帰路に着く。
行きはよいよい帰りは怖い。なんてよく言ったものだ。
モンスター討伐係なんて呼ばれることもあるが、戦うのはモンスターだけではない。
確かな不意打ちに反応し、死角からの攻撃を見えていたかのように躱した。
それと同時に身体を捻った姿勢で、反撃し仕留めた。
武器を使用した回数は5発。一切の外しなく一瞬で終わらせたのだ。
死体に近寄ると素早く装備品を強奪した。持ち物の中に、既に殺された賞金首の紙があった。
「ま、しばらくの生活費くらいにはなるか」
〈終〉




