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猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第三章 フォレスティン学園
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第59話:勇者じゃない

「うぅん………、ん?」


 俺はそんな声をあげながら瞼を開けた。窓から差し込む太陽の光が眩しくて、俺は右手で目に振りかかる光を遮ろうとした。

 が、出来なかった。


「んん………」


 レイだった。


 ……………。


 ………。


 …。


 いやいやいやいやいや!!!


「何してんだお前!!??」


 俺は全力でレイをベッドから蹴り落とした。


 ガツッ


 床で頭を打つレイ。ざまぁ。


「あいたたた………。なにするのさ………」

「いや、お前が何してんだよ」


 いや、リアルに寒気が。


「いや、昨日はなんだかんだで僕の部屋が取れなかったからさ、ユーリの部屋に泊めてもらおうかと」

「………理屈は分かった。ならなんで俺のベッドに入ってた」

「ちょっと寒かったし」

「………それだけ?」

「それだけ」


 ……………。


「おーけー、第二次ガチ戦争を始めよう」

「いや、ちょ、待って!?」

「問答無用!!」

「ちょ、うわあああああああああああ!!!」



 ◆◇◆◇◆◇◆



「………それで、なにやってんのよ」


「「ごめんなさい」」


 俺とレイは同時に頭を下げる。

 目の前には、怒りに髪を逆立てるリナリアがいた。その姿は仁王立ちで腕組みと、なかなかの殺気だ。


「何があったのよ」


 言いながら、リナリアは部屋に目を向ける。

 そこはあまり汚れてはいなかったが、ベッドの横の床に、割と深い穴が空いているのだった。下に突き抜けてはいないが、半分以上はいってる。


「いや、レイが俺のベッドに入ってきてたからさ、」


 ここまで言ったところで、リナリアがレイを鋭い視線で射抜く。レイはその鋭さにビクッとしていた。

 しかし、俺の告解は半強制的に続く。


「怒って、レイをエンドレスフォール状態にしてみた」

「えんどれ………? なによそれ?」

「あー、永久落下状態、かな。レイの足元の空間を開いて、天井近くにその出口を作るんよ。で、上から落ちたレイが床に当たったところで、下に空間の裂け目を作ってまた上から落とす。ってのを永遠やってた」


 リナリアがなるほどね、と呟いた。これで納得するんかい。


「あ、それで、最終的にレイが下に空間が開く前に床をぶっ潰して俺の集中乱したことで終了。前回とあまり変わらない結果となりました」

「つまりこれはレイがやったことなのよね」


 過程すっ飛ばして結論急いじゃった!


「断罪しましょうか」

「え、全部僕のせいになんの!?」

「ええ。というかご主人様に手を向けるなんてできないじゃない」

「そこでしょ! むしろ理由の大部分はそこでしょ!!」

「あとストレスもたまってるし」

「ぶっちゃけた!?」


 なんかこのテンポ好きだわぁ。


「さ、行きましょうか」

「どこへ!?」

「んー、中庭かな?」

「何すんの!?」

「まぁまぁ、とりあえず逝きましょう」

「なんか字が違う気がする!!」


 楽しそうだわあの2人。

 リナリアはこちらへ優雅に手を振り、レイの首根っこを引っ張りながら退室していった。最後のレイの表情が、なんだか哀愁漂うものだったのは気のせいだろう。


「さて、今は何時だ?」


 大きな独り言を言いながら俺は授業の準備をする。太陽の加減からしてまだ昼前だろう。

 どうせならみんなで昼食でも取りたいな、なんて考えるのだった。



◆◇◆◇◆◇◆



 俺が教室に入ろうとすると、ちょうどチャイムが鳴った。ふむ、ギリギリ間に合わなかったか。

 まぁそんなの関係ねーと言わんばかりに俺は扉を開く。


「ういーッス。今更だけどおはー」


 言いながら入った途端、教室内の動きがひとつ残らず停止した。

 なにこれ。イジメですか? イジメですね分かります。


「帰ってもいいだろうか?」

「いやいや、だめじゃろが」

「だめですよ、もちろん」


 サラウンドで否定された。ノアとアンネだった。


「ところで何この空気」

「………あの、ユーリさん?」


 と、ここで、見知らぬ女子生徒が俺に話しかけて来た。実はこう言ったシチュエーションは夢だったので、ちょっと嬉しかったりする。

 向こうの世界では女っ気なかったからなぁ………。いや、幼馴染はいたけどさ。


「あの………?」

「ああ、すまん。で、なに?」


 俺は笑顔で応える。いや、女の子は好きだしね?


「あの、北の森のヌシを倒したって、本当ですか?」


 あるえ? なんでバレとんの?


「まぁ、そうだけど」


『えええええええええええええええええええええええ!!??』


 うるさ!?

 教室内にいるノアとアンネ以外の人が全員で驚いた。それに俺が驚いた。


「な、なんだよ………。何か悪いことしたか?」

「いいえ! ありがとうございます!!」


 なんか見知らぬ人に感謝されてしまった。


「アンネさん、解説お願いします」

「はーい」


 なんだかアンネも慣れたもんだった。


「北の森にある聖なる泉には特殊な薬草や、その聖なる泉の水自体も簡単な解毒や解呪があるんです。セラが聖なる泉に行ったのは、特殊な薬草を取るためですね。ですが最近はその薬草も水も取ることが出来なかった」

「ヌシか」

「そうです。なので、ヌシを倒したユーリさんは英雄みたいな感じになってるんですよ。おめでとうございます」

「若干棘があるような気がしますが、ありがとうございます」


 なるほど。それでかい。


「ですんで、ありがとうございます」

「あー、いいよ別に。俺には俺の事情があったんだし。それはそうと、昼飯行こうぜ」


 軽く流し、アンネとノアを呼ぶ。

 と、そこに割り込む2人の陰。


「ちょっと!」

「ユーリ!!」


 ティアとローレルだ。


「詳しく説明してもらいますわよ!」

「俺と勝負しろ!!」


 ティアは、まぁ仕方ないが、ローレルお前は少し自重しような。最終的に亜空間という牢獄へ終身刑も考えている。まぁローレルくらいの魔力なら抜け出せるかも知れんが。


「んじゃとりあえず昼飯だ。どうせならセラとルチアも誘うか。………そしたらリナリアとレイもだな」


 なんだか今回の昼飯は大人数になりそうだ。


「じゃ、行こうぜ」


 そう言って俺は踵を返し、扉を出て行った。その後に、扉に近かったティアとローレルがついて出て、さらにその後ろにアンネとノア(俺がいない間のアンネの護衛をしていたらしい)が続く。


 その姿を見ていた生徒たちは、こう思ったという。

 自分がやった大業を誇らず驕らず、颯爽と去っていくその姿は、まさに勇者のようだった、と。

 ただ、それをユーリを良く知るものが知ったなら、大笑いで否定し、言いかえるだろう。

 ユーリは自分のためにしか動かず、でもその“自分のため”の中には私たちの安寧も入っている。そんな、勇者の様で勇者じゃない人だ、と。

 はい、時間ないです。後書き書く暇なんかねーです、はい。


 次回もお楽しみに。


 ではでは~。

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