表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第三章 フォレスティン学園
61/96

第58話:遅いわよ!!

 あれから俺は少し休み、帰る事にした。

 しかし、今いる場所は森の奥で、一番障気の濃い場所だ。この濃度では、扱いの難しい転移魔術は使えないので、少し歩くことになりそうだ。

 ちなみに、あれだけ吹き飛ばされて手足の骨折だけで済んだのは、直前にノアが防御魔術を使ったかららしい。未熟ですいません。


「で、ここから出ようと思うんじゃが、歩けるか?」

「無理すれば」

「ではやめておくかの」


 俺の治癒魔術は俺には使えない。ノアも使っているのは魔力だ。理力は使えない。

 なので、一般的な治癒魔術をかけている。つまり、自己治癒力の底上げ。

 しかし、これがなかなか凄くて、傷は一瞬で直るし、骨も一応はくっ付いた。まだ小さな衝撃で再骨折するだろうが。


「それもまた、ユーリの魔力の多さによる速度じゃろうて」

「そなの?」

「そうじゃよ。ただし、失った部位は他の人と違って元には戻らんから、注意するのじゃぞ?」

「あー、それはそうだな。気ィつけとくわ」






 それからしばらく、俺とノアは他愛ない話をダラダラと続け、辺りが暗くなるころ、俺も足がほぼくっつき、歩けるほどには回復した。


「もう大丈夫っぽいな」

「一応添え木しておいた方が良いのではないか?」

「んー、まぁそう言うならしとくか」


 俺は簡単に2本の棒を創り、足を挟み込むようにしてから包帯とかで固定した。添え木ってこんなんだっけ………?

 まぁいいか。


「さて、行くか」

「そうじゃの。ここの障気も近い内に晴れるじゃろ」


 そう言って、俺たちは森の外へ向け歩き出した。



◆◇◆◇◆◇◆



 シュンッ!


 という音とともに、俺の足は地面を捉え、久しぶりに学園の土を踏むことになった。時刻はすでに夜。辺りは闇に染まっていた。

 久しぶりとはいっても、半日も離れていないんだけどね。ただ、内容が濃すぎて何日も学園に戻っていないような錯覚を感じてしまったのだ。


「足の方はどうじゃ?」

「たぶん大丈夫。1日くらいは様子見るけどね」


 ノアが心配してくれるが、たぶんもう大丈夫だと思う。痛みもほとんどないし、特に違和感もない。1日安静にしていれば完全に元通りだろう。


 ………森を歩き始めてから1時間くらいで、やっと転移魔術が使えるくらいに瘴気の薄い場所に出た。俺の足を庇いながらだったので、えらく時間がかかってしまったのだ。

 そして、そこから一気に学園の門のところまで転移し、今に至る。


「さて、部屋に帰るか」

「うむ、そうじゃの………、っと、その前に………」


 ん?

 俺は隣に立つノアを見やる。


 と、その時、


「ご主人様あああああああああああああああああああああ!!」


 と、前方、学園側から何かが勢いよく走ってくる気配がした。


「なんか来たのう」

「え、ちょ、待て待て、今はヤバいぞ!?」


 緊急事態発生!! 俺骨折してんですけど!?

 なんて言ってる間にも超高速で足音は近付いて来る。


「ノア、どうすりゃいいんだ!?」

「諦めるんじゃな」

「丸投げ!?」


 あっはっは、とノアは朗らかに笑った。

 ビックリだよ! 相棒に裏切られるなんて!


 そして、その時は来た。


「ご主人様のバカ! 遅いわよ!! うわあああああああああああああん!!!」


 なぜ泣きながら俺に抱きついて来るリナリア。もちろん足の折れてる俺に支えることは出来ず、後ろにひっくり返った。

 しかし、後頭部を打った痛みよりも、泣いてるリナリアの方が俺には大問題だった。


「え、あの、リナリアさん? どうして泣いているんでしょう?」

「だって、だって………ぐすっ」


 何度かしゃっくりをあげて、言葉を吐きだそうとしていたが、今はそれも叶わないらしい。

 俺はなんだか笑ってしまい、寝ころんだままリナの頭に手を置いた。


「まぁ今すぐに言わなくてもいいよ。落ち着いてからで。………ただいま」


 その言葉にリナリアは、コクンと頷いた。 


「で」


 と、ここで俺の頭の上から声がした。


「どうだったんですか?」


 アンネだった。


「おっす、アンネ。ただいま。北の森のヌシは倒したから、少ししてからなら行っても大丈夫だと思うぞ」

「おかえりなさい。………倒した?」

「うん」

「………ヌシを、ですか?」

「うん」

「………逃げて来たんじゃなくて?」

「だから倒したんだって。証拠見るか?」


 そう言って、軽く腕を振る。すると、空間に切れ目が入り、そこから野球ボール大の真珠みたいなのがコロンと出て来た。


「こ、これは魔虹珠ですか!?」

「ああ、そうらしいな」


 目をひんむいて一歩下がるアンネ。その驚きようから、この玉の価値を推測する。


「こんなに大きな魔虹珠初めて見ました………、いえ、魔虹珠自体がかなり希少なんですけど………」

「というか、いつの間に回収したんじゃお主………」


 1人でブツブツ言ってるアンネと、少し呆れた様子のノア。だってあれ価値があるんだろ? 持って帰らないっつー選択肢はないべ。

 そんな中、リナリアが顔をあげた。


「………」

「うお、お前涙と鼻水で凄いことになってるぞ」


 ぐしゃぐしゃだった。でも、なんでかその顔は可愛い。なんでだろう。

 ちなみにではあるが、もちろん俺の服もぐしゃぐしゃである。それはまぁ仕方ないけど。

 俺はタオルを空間の切れ目から取り出し、その顔を拭いてやる。


「んむ、ぁう」

「はいはいじっとしとけー」


 無理矢理にその顔を拭き、ようやく一段落ついた頃、視界に誰かが入りこんだ。

 長身痩躯のイケメン野郎。レイだった。


「や、おかえり」

「おーう、ただいま」

「ボロボロだねぇ」

「まぁな。流石ヌシ、強かったぜ」


 俺は苦笑しつつレイに応える。

 あれは強いとかの次元ではなく、“魔力”では倒せない相手だったのだ。確かに莫大な魔力があれば、例えばアンネやレイならば倒せただろう。相当苦労はするが。


「よいしょ、っと」


 さて、と思いながら俺は重い体を起こす。

 いつまでもここで寝ているわけにはいかないし、お腹も減った。なにか食べるもんあったっけ。

 なんて考えながら、リナリアを腰にくっつけたまま立ち上がる。

 ………いや、立ち上がろうとした。


「あれ?」


 立ちあがろうとした足に、急に力が入らなくなり、そのまま再びストンと腰をついてしまった。


「どうしたの?」


 リナリアが見上げるようにして訊ねてくるが、俺にも一体どういうことなのか分からない。

 とりあえずもう一度立ち上がろうと試みる。


「っしょっと」


 今度は成功した。

 が、無意識に無理したせいで、状況は悪化した。


「うおッ」


 急に立ちくらみのようなものを感じた俺は、視界が暗転。いきなり意識が堕ちた。


「ユーリ!?」


 最後に聞いたのは、たぶんノアの切羽詰まった声だった。


 そうして俺は、良く分からないまま堅い地面に顔を打ちつけるのだった。

 おはこんばんちわ、芍薬牡丹です。


 投稿時間なんて、適当です。というか今完成したんです。


 古参の方はもういつものことかと流していただけるとありがたいのですが、新規の方はすいません。昨日は昼間に投稿したのに今日は夜ですいません。

 投稿時間は安定しません。

 投稿時間は安定しません。

 2回言ったからもう大丈夫でしょう。


 なんか風邪ひいてから肺の調子が悪いです。頭も痛いですが、それより私の肺は大丈夫なんでしょうか。

 肺炎とかなったら面倒ですね。


 さて、ユーザーお気に入りが4名増えて16人になってました。びっくりしました。全力でありがとうございます。

 確かユーザーのお気に入り登録したら、そのユーザーの新着活動報告と新着小説が出るんですよね。私はあまり活用してませんが。した方がいいのかな………?


 まぁそんなことを考えながら執筆しております。次回もまたお会いできると幸いです。


 ではでは~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ