表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第三章 フォレスティン学園
57/96

第54話:轟く爆音

「ほんとに非常識ですわね………ローレルに勝つなんて………」

「さっきアンネにも言われたんで、自覚した」


 決闘が終わり、ローレルを救護室に運んだところで授業が終わった。

 なので、俺とアンネとティアは寮に戻り、談話室で話をしていた。談話室というのはソファがいくつも並び、床はふわふわの絨毯。テーブルもあり、傍には紅茶などを出してくれる場所もあり、メイドさんみたいなのを呼べば、無料で運んで来てくれる。さすが貴族の学園といったところか。

 俺たちは4人用の席に座り、真ん中にテーブルを挟んで2人ずつ向かい合って座っている。俺の隣に狐の姿のリナリアが丸くなり、頭の上には猫ノアがだらりと乗っかっている。正直重い。

 で、俺の前にティアが座り、その横にアンネが座っている。

 飲み物は俺がコーヒーで、アンネとティアは紅茶だった。リナとノアはいらないらしい。


「ローレルはギルド登録しているのですけど、そのランクはAですのよ? 世界でも最強レベルの戦士を無傷でのしてしまうなんて………」


 Aだと? それって本気で最強レベルじゃん。すげぇなローレル。

 てかギルドに入ってたんだ。


「俺もギルドに入ってんぜ?」

「あらそうなんですの? ランクは?」

「Dランク」

「………」


 Dランクといえば、中堅でも少し下あたりのランク付けだったはずだ。そりゃ驚くわな。


「まだギルドに登録して間もないからな。あんまランクは関係ない」

「そ、そうなんですの………。では最近受けた一番大きな依頼はなんでしたの?」


 隣で、金色の体がビクリと動いた。俺はそれを横目に見て、その体を軽く撫でてやる。


「そうだなぁ、黒牙って盗賊団の拠点を破壊したことかね」

「黒牙………ッ!?」


 あー、驚いてる驚いてる。


「あ、でも拠点を破壊したのは正確には俺じゃなくて、仲間のレイだけどな」

「そうなんですの………? そうですわよね、あなたがそんなこと出来るような感じじゃありませんしね」

「でもそいつもDランクだけどな」

「……………」


 あ、面白い顔。

 いやいや何言ってんだ。


「そう言えばレイはちゃんとルチアの護衛してんのかね」

「大丈夫でしょう。彼が私をアレコレしたのはほとんど知られてませんし、実力的にはAランクでしょうし」

「まぁそうなんだけどな。あいつが子供と遊んでる様子が思いつかない」

「それは………否定できませんね」


 言いながら笑い合う俺とアンネ。そんな俺たちを、ティアは不思議そうに見ていた。



◆◇◆◇◆◇◆



 翌日。

 その日は、事件から始まった。


 ドォン!!


 轟く爆音。寮の建物自体が揺れたようなその音に、俺は飛び起きた。


「なんだ!?」

「ユーリ! 外を見ろ!!」


 ノアの言葉に、ダッシュで窓に向かう。そこにいたのは大きな影と、おそらく学園を守っている兵士たちが空に向かって杖や剣を向けていた。

 寮は騒然とし、叫び声や怒声が聞こえる。

 そんな中、俺はその影を注視していた。


「おいおい、あれはまさか………」

「ご主人様、どうする、の………?」


 リナリアが心配そうに訊ねてくるが、どうもこうもないだろ。


「出るぞ」

「うむ」

「ええ」


 俺はノアとリナを連れ、外へ出た。


 外は、混乱の極みだった。

 兵士の癖に相対する敵に泣きそうになっている。しかし、それでも空へ向けた剣を下ろさないのは凄い。

 そして、どうやらさっきの轟音は兵士の一人が緊急事態を伝えるためと、牽制のために撃った魔術だったのだろう。


「派手にやりやがって」

「ご主人様、それはどっちに言ってるの?」

「両方だよ」


 “敵”と兵士の両方、な。


 俺は、腰の引けた兵士の間を縫い、前へ出る。


「お、おい! 危ないぞ少年!!」


 その辺のおっさんが注意してくるが、無視。


 空を泳いでいたソイツは、俺のことを発見したのか、地上へ降りて来た。


「よぉ」

「や、久しぶり」


 降り立った龍は、俺の目の前で人になった。長身で薄緑色の髪。優しげな眼が憎い。


 そう、いたのはレイだった。どうやら龍化して来たら攻撃されたらしい。

 ………まぁそれはいい。別に驚くのは兵士であって、俺ではない。基本的に、知らない人がどこで何やろうと、俺に危害が加わらなければどうでもいい。

 しかし、しかしだ。


「おい貴様」

「な、なにかなユーリ。顔がとても怖いよ?」


 俺は言った。“俺に危害が加わらなければ”。

 さて、どうだろう。今は早朝。普通ならばあと30分は寝てられる時間だ。

 俺はふかふか(おそらくリナリアの尻尾)に包まれて心地良い睡眠を堪能していた矢先、轟音。飛び起き、起床。

 その原因が、レイ?

 うふふふふ………、いいよね? ゴールさせてもいいよね?


「これからレイには人生という名のゴールテープを切ってもらいます」

「え、ちょ、待って、凄い魔力が練られてるから! それは流石に拙いから!!」

「却下。では」


 言うが早いか、空力操作エアロハンドで噴射口を体の後方に付け、瞬間移動並の早さでレイの眼前に現れる。

 瞬間移動と違うのは、運動エネルギーが存在するかどうか。


「!?」


 俺はそのエネルギーを、あまさずレイに叩きこむ。


「まだまだぁ!!」


 レイが吹っ飛ぶが、その瞬間レイは後ろに飛んで衝撃を緩和したのは分かっている。

 なので、俺はレイが吹っ飛ぶ先に瞬間移動した。


「ちょ、本気!?」

「俺はいつもそこそこに本気だ!!」


 飛んできたレイを容赦なく雷を乗せた拳で殴り、さらに足で空中に浮かせる。

 なにげに、新しい技を覚えた俺だった。

 それでも俺の追撃は終わらない。


「おらおらおらぁ!!」


 吹っ飛んだ先に移動し、殴り、さらに吹っ飛んだ先に移動し、殴る。

 それは徐々にスピードを増し、遂にはドドドドドドドドドドドという音しか聞こえなくなった。

 それを続けようとしていた俺だったが、それはすぐに終焉を迎える。


「ッ!」


 移動した先で、多重カマイタチに襲われた。ちょっとやそっとでは避けられない多さだ。ざっと30近い数がある。


「やっべ」


 俺は避けることを諦め、亜空間を開く。荷物やら食糧やらを詰め込んでいた亜空間とはまた別の亜空間だ。

 俺に飛んできたカマイタチは、残らず亜空間へ入り込み、俺は無傷。

 手を振り亜空間を閉じると、目の前にはレイが立っていた。


「お前、全部防ぐとかチートかよ」

「いやいやいや、ユーリの方が相当酷いと思うんだけど」


 レイは苦笑した。

 そう、俺が与えたダメージは、すべて防御されていた。結果、レイは無傷。

 これだけの戦闘をしておいて双方無傷というのは、奇跡に近かった。


「ま、気も晴れたしもういいや」

「あはは、ありがと。やっぱりユーリは強いね」

「お前に言われたくねェ」


 つか、全部防がれたってちょっとショックだぞ。


「それはいいが、これの説明、全部丸投げするから」

「ん? 説明?」

「これよ」


 俺はレイの背後を指差す。そこには………


「………囲まれてるね」


 兵士が俺たちを取り囲み、レイを捕まえようとしていた。


「だな。ま、頑張れ。俺は2度寝する」

「え、ちょ、ま」


 シュンッ


 俺は転移で再び部屋に戻ってきた。その後、ノアがリナを連れて転移で戻ってきたので、そのまま就寝することになる。


 その後再びアンネに起こされた俺は、ボコボコにされた兵士たちの治療に奔走することになる。

 武力以外の解決方法はないのかレイ。王城でもそれやってたろうが。

 それをレイに言うと、非常に申し訳なさそうな顔で謝られた。よし、許す。

 どうも、芍薬牡丹です。


 まもなく更新停止に近い状況になると思われます。覚悟(?)しておいて下さい。

 もし時間があれば更新しますし、6月の最後には復活しますけどね。

 とりあえず、3週間。申し訳ありませんが、ご了承ください。


 さて、レイ襲来。レイは、ものすごく強いです。現時点でユーリとガチ勝負したら、僅差でレイが勝つでしょう。現時点では、ですが。

 しかし人間世界に出たことがあまりないためか、思想に馴染めない様子。徐々に慣れていくでしょう。


 では、これにて失礼させていただきます。

 次回も是非にご覧くださいませ。


 ではでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ