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猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第三章 フォレスティン学園
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第53話:空力操作

 ◆ユーリ◆


 俺はまずノアの銃に似た、もう一つの銃を創造魔術で創り出した。

 そして、ノアは刀に変わってもらった。


「行くぜ。気をつけてな」

「うむ。安心して待つがよい」


 使う魔術は、概念魔術。

 その概念は、“空力操作エアロハンド”。

 これは物体に概念的な噴射口を付け、遠くへ飛ばすというものだ。

 しかし、単純に考えて刀に噴射口を付けても、真っ直ぐ飛ぶとは思えない。ならば、と、俺は刀を包み込む球状の結界を張る。さながら野球ボールの中心にノアがいるようなものだ。もちろん大きさは文字通り桁違いだが。

 そして、俺はその球体の外側に噴射口を付ける。

 ちなみにではあるが、噴射口も結界も、視認不可能だ。当たり前だが。


「さて、これで準備は万端。行くぜェ! どうりゃ!」


 ヴンッとノアを空に投げる。刀を包み込む結界の外側に噴射口を付けて。

 刀は投げた勢いでクルクル回るが、推進力は刀を包む結界についてる噴射口なので、その進む方向は問題無い。


 ―――おそらく普通に戦えば、勝てる確率は五分五分だと思う。俺には戦闘経験が圧倒的に少ないからだ。


 ローレルは、飛んできた刀をギリギリでかわした。


 ―――ならばどうする。………裏をかくくらいしか俺には思い付かなかった。


 そして、刀を避けたローレルに、俺は追撃として超電磁砲を放つ。が、それも寸前でかわす。

 しかし、それで十分。ローレルに俺がまだノアが変身した銃を持っていると誤認識させられれば、それでいい。


 ―――俺がローレルに知られていないこと。1つ目に創造魔術を単独使用出来ること。2つ目に銃がなくても超電磁砲を撃てること。3つ目に………


 飛んでいった刀がポンッと弾け、人型のノアが現れた。


 ―――3つ目に、ノアが変身出来るのは、1種類ではない。


 上空に現れたノアは、逆さまになりながらローレルの頭上へ落ちていく。

 しかしやはりローレルも武人。すぐに何かあると気付いた様子だったが、………すでに遅い。

 その時、すでにノアは全ての準備を終えていたからだ。

 ノアは右手を銃の形にして、その手首に左手を添えて、TheHangedManつるされたおとこのように逆さまで、こう言った。


「油断大敵じゃの」


 その声は、地上にいる俺にもなぜか不思議と響いた。

 そして、閃光。


 ガゥン!


 ノアの手から放たれるは、俺の十八番おはこ超電磁砲レールガンだ。


「ん?」


 ノアがそれを放った瞬間、俺の中の理力が極少量減った感覚がした。………なるほど、これがノアの言っていたことか。

 以前、俺の理力を使って世界に干渉できるって言ってたもんな。つまり俺の理力を元に、2人で動けるわけか。なるほど、これは便利だな。

 超電磁砲をもろに食らったローレルは、そのまま落下してきた。微動だにしないことから、どうやら気絶しているらしい。まぁ近距離から当たったからな。意識が刈り取られても致し方ないか。


「ノア! こっち来い!!」

「うむー!」


 空中でノアは転移を使い、俺の目の前に現れる。

 それを、俺は慌てることなくお姫様だっこで受け止めた。


「よっ、おかえり」

「う、うむ」


 ん? 顔が赤い?


「そ、それよりユーリ!」

「うお! なんだよ、いきなり大声出すなっての………」


 びっくりしたー。


「ローレルが落下するぞ!」

「あ、そうだった」


 俺はノアを地面に下ろすとすでにそろそろやばいローレルを視界に収め、そのあたり一帯に風を起こす。少しローレルが浮いたのを確認して、瞬間移動。ローレルのすぐそばに行き、そのまま地面すれすれへ瞬間移動させた。

 瞬間移動や転移は、移動先で運動エネルギーが一旦ゼロになるので、安全に地面へ降ろすことが出来るのだ。

 そして、一瞬にして地面に横たわるローレルの首に新たに創りだした刀を当て、銃を真横へ突き出す。

 そちらは見ていないが、分かる。


「グ、グル………」

「動くなよ。もうこいつの負けだ。別に命の取り合いをしてるわけじゃない」


 そう言って、初めて銃を突きつけている横へ視線を移す。そこには、鼻先に銃を突きつけられたローレルの使い魔、バイルがいた。


「これで戦闘はおしまい。いいな?」


 バイルは少し躊躇したが、主がこれでは仕方ないと思ったのか、大人しく身を引いてくれた。


「これで終了か。………んん、なんかしまらねぇな。アンネー」


 俺はアンネを呼ぶ。他の生徒は未だポカンとしていたが、アンネだけは、………なんだろう、呆れたような表情をしていた。


「なんですか………?」

「いや、終了宣言頼む」


 アンネは、はぁ、と溜め息をつき、しかし顔をあげた時には引き締まった表情をしていた。

 俺は、アンネのこの顔が結構好きだったりする。


「ここに、私アンネルベル・クレスミストの名において決闘の終了を宣言する! 勝者、ユーリ・ツキシロ!!」


 皆凍りついた表情で立ちつくしていたが、次の瞬間、うわあッ!、と広場に歓声が巻き起こった。

 地面が、大気が揺らぐような大歓声。それは、この決闘の激しさと美しさを物語っていた。

 誰もが思っただろう。こんな高度な戦いをしてみたい、と。


「相変わらずの非常識ですね………。“非常識”って二つ名でもつけたらどうですか?」


 アンネが若干棘のあるようなことを言う。勝ったんだから労いの言葉くらいかけてくれてもいいじゃんね?


「ま、これでこそ我が主じゃな」


 ノアは自慢げ。まぁ今回はノアも頑張ったというか、危険に晒したからな。


「信じてたわよ、ご主人様!」


 リナリアは人型で勢いよく抱きついて来た。おそらく、今回の決闘で一番ダメージを受けた瞬間だった。いや、脇腹は駄目だってば。


 そうして勝利の余韻に浸る俺に、どこからか聞いたことのある声が聞こえて来た。


「アンネルベルさん! それにユーリ! 一体何事ですの!?」


 ティアだった。

 こいつも魔法を習うと思っていたのだが、今日は魔法研究をしていたらしい。どうやらこちらの決闘の様子が、見えたり聞こえたりしたんだろう。

 と、ここでティアが地面に寝そべるローレルを発見した。


「ちょ、ローレル!? 一体何がありましたの!?」


 ああ、本当のことを話してよいものか。

 ………いや、どうせバレるか。


「その前にさぁ、ローレルのファミリーネームってなんだっけ」

「ローレルの、ですの?」


 ティアが考え込む。思い出せないというよりは、言ってよいものか悩んでいるような、そんな空気だった。

 しばらくして、ティアが顔をあげる。


「秘密にしていただいてもらえますか?」

「そう言うなら、もちろん」


 さっき大声で宣言した気もするが、内緒にしとこう。可哀想だ。

 ティアは、声を小さくして言った。


「ローレルの本名は、ローレル・リンディア。お察しの通り、私の出身国、リンディア帝国の皇族………、いえ、元皇族、ですわ」

「元?」

「ええ、その辺りは話せませんけども、一応わたくしとどこかで血は繋がっていると思いますわよ」


 遠い親戚みたいな感じなのだろうか。でも、リンディアを名乗れるほどに近しい仲で、しかも元ということは勘当されている可能性がある。しかし、それでもリンディアという家名は剥奪されていないという事実。これはまた面倒な事情がありそうだ。

 ま、俺には関係のない話だけど。


「それで、何がありましたの?」

「ああ、ローレルが喧嘩売ってきたんで、決闘して返り討ちにしただけだ」

「……………」


 口を半開きにして、唖然とするティア。

 ティアは、ふいっ、とアンネを見る。


「……………」

「……………」


 こくん、と頷くアンネ。

 ティアはそれを見ると、ギギギ、と音がしそうな感じに首を回し、俺を見る。

 少し面白いが、ここでやるには少々皇女として拙いのでは?と思わされる光景だった。


「………ちょっと場所変えようか」


 そう言った俺の判断は、間違っていなかったと思う。


 さて、一応再度言っておきます。

 感想を、ユーザー登録されてない方でも書きこめるようになった、ハズです。名前から作者ページに飛べない何名かの方が書いていただいた感想がございますので、まず間違いないかと。


 はい、それでは、累計pv60万アクセスありがとうございます!!

 そろそろ見ていただいている方が固定されてきたように思います。一日のアクセス数も平均化してきましたし。


 あ、そうそう、少し面白いことを発見したんですが、一日のアクセス数をパソコンからとケータイからで分けて見ることが出来るんですが、述べのpvアクセス数はだいたい同じか、少しパソコンが多いくらいなんです。しかしユニークアクセス数になると、ケータイが激減します。

 ユニークは同一端末からのアクセスを一日一回と数えるので実際の読者数に近い数を割り出すのですが、だいたいパソコンの方がケータイより五倍近いユニークアクセスになっているんです。

 これは、一体どういうことなんでしょう。おそらくケータイで何度も開く方が多いというわけなんですが、もしかしてケータイでページ送りするたびに1アクセスとか数えてるんでしょうか?

 謎は深まるばかり。


 では、長文失礼しました。また次回お会いできると嬉しいです。


 ではでは~。

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