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猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第三章 フォレスティン学園
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第47話:講義

「で、ノア。召還した後は何考えてたんよ」


 俺はノアに訊ねる。

 ここは俺の部屋だ。目の前には柔らかそうなソファーに身を埋めるノアがいる。もちろん人型で。俺はノアの正面にあるベッドの上で胡座あぐらをかいている。こちらもアンネの部屋と同等の広さがあるが、俺以外にも住人がいる。

 言わずもがな、ノアとリナリアである。さすがに付いてきたこいつらに部屋などあるわけもなく、とりあえず俺の部屋に住んでもらっている。

 ちなみに今、リナリアはアンネに連れられ風呂に行っている。ノアは後で入るらしい。

 召還後だが、アンネの権力のごり押しで使い魔は蛇と猫だと認めさせ、寮へ一旦帰った。

 フォレスティン学園の中にはいくつか普通の店があり、学園というよりは一つの都市とした機能を備えている。

 その中の一件で昼食を取り、今は夜の帳も落ち、晩飯も終わった頃。日本でいうなら9時くらいだろうか?


 閑話休題。


「ふむ………。あれはな、この肉体について考えておったんじゃ」

「はぁ。受肉したとかいうやつか」

「うむ。しかし、どうやら受肉とはまた違ったものらしいの」


 だよなぁ。受肉っつったらキリストがどうのこうのだろうし。


「んじゃなんなんだ?」

「その前に、ユーリ。お主の使う治癒魔法じゃが、そこに疑問は感じんのか?」


 ん? 治癒魔法というと、解析して上書きするやつだよな。身体を情報化して上書きしてるだけだから、………別に疑問はない、よな?


「よいか? 世界というのはそんなに簡単に騙されてはくれん。失った四肢は、戻らんのが道理じゃ」


 ………じゃあ俺の治癒魔法は何なんだろうか。治癒、とはまた別のもの?


「お主が騙しておるのは世界ではなく、体じゃ」

「………すまん、良く分からん」

「心配するな。それを今から説明するんじゃよ」


 ノアはソファーの上で、俺と同じように胡座をかき、苦笑した。やっぱ人型の方が仕草が顕著に表れるからいいな。後ろでふよふよ揺れる尻尾とか、たまにピクンッと跳ねる猫耳がアレだけど。


「そうじゃのぅ………あまり話を引っ張るのもアレじゃろうから、ざっくり結論から言うぞ?」

「おう」

「ユーリが治した四肢じゃが、あれは厳密には本人のものではない」

「ふむ」

「で、じゃあ何が生えたんだよ、となるのじゃが、あれはユーリの理力が変質したものじゃな」

「なるほど」

「……………」

「……………」

「理解できたか?」

「んにゃ、全然」


 いや、分かるわけねーべ。


「じゃろうのう。もっと簡単に言えば、例えば腕が切れていれば、理力によって相手の遺伝子に酷似させた腕を創り、それを相手の腕にくっつけておるんじゃ」


 それだと義手になるんじゃ………、ああ、そこで“体を騙す”のか。

 俺の顔に僅かな理解の色を見たのだろう、ノアはうっすら微笑んだ。


「わかったようじゃな? 相手の体はそのくっつけた手を本物だと思いよる。そうすれば、血が通い、細胞が作られる。そうして次第にその腕は本物になっていく、というわけじゃ」


 なるほどねぇ………。なんかナノマシンみたいだな。


「それで、じゃ。話を戻すぞ?」

「………何の話だっけ」

「………わらわの体のことじゃ」


 ああ、そうだった。ちょっと治癒魔法が衝撃的すぎて忘れてた。

 ………ああ、なるほど。理解した。


「もうユーリも気付いておろう?」

「ん。お前の体は、俺の理力でそれっぽく出来てるんだな」

「うむ。ユーリの理力が途切れるまでは半永久的に存在出来るがの。ついでに言えば、もしユーリからの理力が途切れても、また以前のようになるだけじゃ」


 じゃあなにか? 他の人に人型で見えるようになっただけかよ。

 あんまり意味なくね?


「のぅユーリ。こちらの世界に来て一番最初、つまり龍族の上に落下したときのこと、覚えておるか?」

「あれを忘れられたらすげぇよ」


 衝撃的過ぎるわ。


「あの時、わらわはこの世界に直接的に干渉出来ぬと言ったろ?」


 ………そんな気がしなくもない。


「今回ユーリに召還され、この体はユーリの理力で出来ている。となると、おそらくわらわもユーリの理力を使い、直接干渉出来るぞ」

「え、あ、そうなの?」

「うむ」

「でもノアの肉体が消えるんじゃね?」

「いや、減った分は勝手にユーリから吸い出しとるっぽいぞ?」


 なんだろう。………いや、別にいいんだけどね。


「じゃあ俺の理力を使って魔法が使えるんだな」

「そういうことじゃ」

「………あー、まぁよろしく」

「これでわらわもユーリと戦うことが出来るのぅ」


 いや、嬉しそうに言うのは可愛いんだけど、俺は自ら戦いになんか行きませんよ?

 世の中平和、これ一番なり。

 なんてことを考えていると、ノアがまた思いついたような顔になった。


「そう言えば、ユーリ。お主の身体能力がやたら上がっておると思うんじゃが、それに関しては疑問を持たんかったのか?」


 ………いや、確かに一回気にはなったけど。

 でも、これは理力とかノアとか、その辺がちょいちょい関係してるんだろ?


「いや、元の世界は魔力が全くない世界。これはかなり人間には負担での。というか、魔力のない世界なんぞ、珍しいからのぅ」

「そうなのか?」

「うむ。他にも理力、霊気、瘴気とあるが、そのどれもが元の世界には希薄じゃ」


 一応霊気はあると思うんだけどなぁ。そんなに希薄なのか。


「………それで、この世界に来たお主は、超重量の重りを外したような状態での。しかも持っておった力が理力じゃ」

「あ、そっか。この世界には魔力が溢れてるもんな」

「更に言えば、重りが外されたことによってお主の潜在能力がガンガン上がっておる。一番最初にユーリの理力の量を1000と言ったが、今では2000くらいにはなっておる。しかもちょっとずつ上がっておるし」


 どんどん人間から離れていくなぁ、俺。


「えっと、ということはノアがその体を維持しやすくはなってるんだよな」

「んむ? ………まぁそうじゃが」

「そっか。ならいいや」


 やっぱりノアは人型の方がいいしな。頭とか撫でやすい位置にあるし。


「ふむ………これは予想外じゃなぁ………」


 またノアがぼそぼそと言っているが、何を言っているのか聞こえない。

 ま、聞くほどのことではないだろう。


「まぁ良い。これにて治癒魔法についての講義を終えるぞ」

「講義だったのかよ」


 俺は思わず苦笑を漏らした。


 と、その時タイミング良く部屋の扉が開かれた。


「ご主人様ー、お風呂上がったわよ」

「おお、おかえり。どうだった?」

「いい湯加減でした」


 そう言ってほんわかと笑うリナリアは、風呂上がりで濡れた髪とか上気した肌とかで、ものすごく可愛かった。そして、なんか艶めかしい。気のせいか?


「さて、と。俺も風呂に入るか」

「そうじゃの」


 ………?


「ノアはどうすんだ?」

「ん? もちろんユーリと入るが?」

「は?」


 俺は驚いたが、それよりももう一人の反応に、より驚いた。


「私も入る!!」


 リナリアだった。


「いや、お前出たばっかだろ。というか、一緒には入らんからな?」

「むぅ、ケチじゃのぅ」

「いや、ケチとかの問題じゃねぇよ。セラに訊いてみたら?」

「仕方ないのう。またいずれ」

「いずれもなにも、ないから」


 頬を膨らませても駄目ですよ。あと、リナも何か言いたげな目でこっち見んな。


「じゃ、俺は行ってくるから。留守番よろしく」


 荷物は亜空間に収納してあるから手ぶらで風呂に向かおうと、立ち上がった。


「………うむ、行ってくるとよい」

「………いってらっしゃい」


 なんか不気味だなぁ………。

 少し気になりつつも、風呂場へ向かう。ちなみに風呂は大浴場なので、独りでゆっくり入る、と言うわけにはいかないのが少し残念だった。

 廊下に出たら、結構人が歩いていたり友達同士で話したりしているのが見受けられる。この辺は元の世界と変わらないなぁ、などと思いながら、俺は歩き出した。



 で、その後の風呂場だが………

 いや、やめておこう。きっとあれは悪い夢だったんだ。


 偶然俺以外誰も入っていなかった男子風呂に、ノアとリナリアが獣の姿で突入してきたなんて。


 書いてみた結果、閑話には出来ない感じになってしまいました。


 さて、やっぱり後書きを書きだすと何を書きたかったか忘れてしまいますね……。今度からどこかにメモでもしておきましょうか。


 そういえば、読者の方って、どうやってこの小説に辿り着いたんでしょう? べつにどこかで宣伝してるわけでもないんですがね………。


 それと、当初はケータイからのアクセスが多かったのですか、今となってはパソコンからのアクセスが多いようです。これも考えてみると面白いですね。


 さぁて、次回ですが、授業に入る、と思います。思うだけです。入る前に終わるかもしれませんorz

 なんとか先へさっさと進みたいものです………。


 ではこの辺で。次回もまた小説でお会いできればと思います。


 ではでは~。

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