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猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第三章 フォレスティン学園
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第43話:金髪縦ロール

「お待ちなさい!!」


 その声に、俺は顔だけ振り返り、何者かを確認する。

 ………ああ、分かりやすい。分かりやす過ぎるぞお前。


 そこには、金髪縦ロールがいた。


「……………」


 ドレスはオレンジ色系統で、華やかさがある。アンネより濃い黄色の髪によく合っていると思う。………若干暑苦しくはあるが。

 そして、………まぁ言わなくてもいいかとは思うが、高飛車な態度と顔をしている。


「わたくしを無視するとはいい度胸ですわね………、いいですわ。それでこそわたくしのライバル!」


 ………ああ、なんてめんどくさい奴なんだ。


「アンネ………こいつ殴っていいか?」

「許可します(即答)」

「ちょ、ちょっとお待ちなさい! さすがに武力行使は酷いのではなくて!?」


 確かに。


「アンネ。早くコレの対応してくれ」

「コレ扱い!?」

「なんで赤の他人に気を向けなきゃならないんですか」

「既に他人扱い!?」

「たぶんお前が対応するまで追いかけてくるぞ。ストーカーのごとく」

「というか犯罪者扱いだった!?」

「………仕方ないですね」


 はぁ、とアンネはため息をつき、金髪縦ロールと向き合った。

 アンネはニッコリと笑い(全力の作り笑い)、言葉を発した。


「初めまして、アンネルベルです」

「初対面にされたぁぁあああ!?」


 ガクリと床に手を突く金髪縦ロール。なにこいつ面白い。でも床に手をつくのは汚いからやめなさい。


「さ、行きましょう、ユーリさん」

「え、アレ………」


 俺が指差すは、うなだれる金髪縦ロール。


「放っておきましょう。そのうち復活するでしょうし」

「あ、うん」


 そしてその場から離れる俺とアンネ。うなだれる金髪縦ロールからは悲壮感が漂っていた。

 なんかアイツとはまた出会う気がする。

 勘だけど。



◆◇◆◇◆◇◆



 で、翌日。

 パーティーの最中に学園長が話したり、セラとスィードを発見したりしたが、特に何もなく、翌日を迎えた。

 今日はクラス発表と、アンネの学年だけ、とある特別な授業があるらしい。特別な授業に興味はあったが、特に聞くタイミングがなかったのだ。そのうち、別にいいか、と思い、現在に至る。

 ちなみにだが、アンネと俺は、部屋が一緒ではない。当たり前だが。部屋は横一列に並び、俺、アンネ、セラフィム、スィードの順に部屋がある。護衛をつけるのは王族と、ほかは一部しかいないので、アンネはあらかじめ両側に2部屋取っておいたらしい。

 さらにちなみにではあるが、俺が頼まれた武術大会のある約2ヶ月間の護衛だが、アンネが学園に通っている間は一年間、スィードが付いているらしい。つまり俺は、パートタイムガードマン、というわけだ。

 ということはつまり、俺以外の護衛している者同士は知り合いが多く、仲も良い。

 そこへ見知らぬ護衛、しかもクレスミスト王国第一王女という超絶VIPの護衛を任された人物となると、注目の的にもなる。


 と、いうわけで。


「……………」


 周囲の視線にうんざりしているのは、アンネだけではなかったのだ。


「アンネぇ……」

「………なんですか?」

「俺、学園行きたくない」

「不登校児ですかあなたは。ほら、ここまで来たんだから行きますよ」

「いーやーだー」


 ここに、護衛対象に引っ張られる護衛という、意味不明な光景が出来上がった。

 というか、すでに学園の入口は見えているのでジタバタしようがないのだけど。

 ちなみにアンネやセラはそれが制服なのか、白いカッターシャツみたいなやつを着ており、リボンを襟元に結んでいる。下は黒っぽいスカートだ。

 スィードは騎士の服装を少し軽くしたような感じ。しかし、一目で騎士だというのは分かる。

 俺は、やはり以前着ていた制服だ。白のカッターシャツに紅色のネクタイを巻き、濃紺に薄くチェックの入ったスラックスを着ている。靴は動きやすいように、白いスニーカーだ。ネクタイは首が苦しいので緩めている。

 そんな駄々っ子みたいな俺に、セラは優しい言葉をかけてくれた。


「あ、あの、姉様。ユーリ様は具合が悪いのでは………」

「駄目ですよセラ、騙されては。もしユーリさんの具合が悪いというなら、頭の具合が悪いんでしょう」

「アンネてめぇ、後で校舎裏に来いや」


 護衛というより学友っぽい俺たちだが、この光景は一応、異常である。その証拠にスィードはセラの半歩後ろで黙って付いてきている。

 ちなみにノアは俺の肩にダラリと乗っかり、くつろいでいる。


 そして、ここでみなさんに重大発表だ。

 驚く用意はいいでしょうか?

 では。



 リナリアが、完全に九尾の狐になった。



 何を言ってるか分からないと思うが、説明する。

 リナリア曰わく、『亜人は3つの形態を持つの。1つは人間。2つは獣人。3つ目は、完全な獣』らしい。

 なんつーファンタジーだ。

 それと、リナリアは人間形態にはなりたくないらしい。なぜだろう。最初会った時は人間形態だったはずなんだけど………。


 で、結局学園に行く際は狐になって付いて行くらしい。

 俺の肩にはノアが、隣にはリナリアがいる状態。俺は動物に懐かれやすい体質なのだろうか。

 いや、どうでもいいわ。


「で、アンネは何クラス?」

「私はAクラスです」

「成績は?」

「トップですよ」


 アンネは出来る子らしい。


「あ、ちなみにユーリさんは護衛ではありますが、一生徒として入学しますから」


 ……………は?


「再度」

「転入生、ユーリ・ツキシロ爆誕」

「初耳だぞ!?」

「そりゃ初めて言いましたから」


 ………ちくしょう、騙された………。


「今度ラルムさんに会ったら108の拷問オンパレードだな………」

「非常に気になりますが、一応やめて下さいね」


 やはり最初はみんな大好き駿河問いだよな。


「拷問が好きなやつはマゾじゃろうが」

「なんだとノア。俺がサドだとでも言うつもりか」

「まごうことなきサドじゃろが」


 ノアに嫌な烙印を捺されてしまった。


「わ、私はご主人様にならいじめられても………」

「おーい。リナリア戻って来ーい」


 リナリアがトリップしかけて、カオスになった。

 誰かタスケテー。


「おーっほっほっほ! また会いましたわね、アンネルベルさんとその護衛!!」

「ごめんなさいお前呼んでません!」


 金髪縦ロールが再来した。


「アンネ」

「はい。行きましょう」


「ちょ、昨日と同じ展開!?」


 ………はぁ。

 さすがにそろそろちゃんと相手してやらんと、泣くかもしれん。つか、ぶっちゃけこれ以上同じやり取りが出来ないだけだが。

 俺は仕方なしに金髪縦ロールへ向き直った。


「お前、クラスは?」

「わたくし? もちろんAクラスですわ!」


 ………どうやら成績優秀者がAクラスになるようだ。


「………で、お前の名前は?」

「あら、知らないんですの? わたくしの名前は―――」


 次に発せられた言葉に、俺は驚愕することになる。



 金髪縦ロールのいじりやすさは異常。


 リナリアが人間形態になりたがらない理由は『第30話:光の雨』参照。単純に、ユーリがリナリアの尻尾や耳が綺麗だと誉めたため、それを隠すことをしなくなった。



 ………さて、次回、金髪縦ロールの正体、そしてもう一人の新キャラ登場………の予定です。

 先人はいいことを言いました。『予定は未定』。

 あまり期待せずにお待ちくださいませ。



 ではまた次回~。

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