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猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第二章 ギルドと依頼と
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第39話:医務室

 サンローズとの一戦後、俺に下されたのは5日間の謹慎処分。成り行きを知ったラルムさん的にはなくても良かったらしいのだが、一応近衛隊副隊長が負けた、ということで、やっちゃった俺に何かしら処分を与えないと面目が立たないらしい。

 それは仕方無いなと俺も思ったし、謹慎処分とは言っても城から出れない、逆に言えば城内なら行動可能なので、あってなきが如しだった。

 なので、俺は城の医務室に足を運んでいた。アンネに言われたのを思い出したわけだ。


「こんちはー」


 俺は医務室の扉から中を見る。医務室とはいっても、元の世界の保健室を想像していたのだが、………規模が違った。医務室は第二医務室まであり、1つにつき50のベッドがあるらしい。

 それ普通の病院じゃね?と思ったのは内緒だ。


「あら、患者さん?」


 呼びかけに応えたのは、茶色と金色の間くらいの髪の色をポニーテールにしている女性で、俺くらいの身長はあるので背は高いほうだろう。俺より5歳くらいは年上な印象を受けた。


「いえいえ、俺は治癒魔法が得意なんで、なんか役に立てればなーと」

「あらありがとう。でもキミみたいな子は見たことがないわね。新顔さん?」


 あ、そうか。そりゃそうだ。


「俺はユーリ・ツキシロっていいます」

「ユーリ……? もしかして特別近衛騎士で、サンローズ副隊長を瞬殺したっていうあの?」


 殺しちゃいませんが。


「それですね」

「あらあらまあまあ。そんな英雄が来てくれるなんて、嬉しいわぁ」

「………英雄?」

「まぁここだけの話、サンローズ副隊長はあまり好かれてなかったから」


 むしろ嫌われてただろ、あの性格じゃ。


「ま、いいわ。治癒魔法が得意なのよね? 1人、重傷患者がいるから診てくれない?」

「了解です」


 そう言って、医務室内へ招かれた。

 医務室は木で出来たベッドに寝かされ、あまり寝心地は良いものではなさそうだ。この世界では基本的に魔術で傷を治すらしいので、室内には何人もの魔術師らしき人がいた。

 俺はその中で、奥まった場所にある1つのベッドに連れて行かれた。


「………この人はどうしたんですか?」

「偵察に行った帰りに、魔物に襲われたのよ」


 とりあえず寝かされている男性は、頭から片目まで包帯を巻かれ、腹と手足もグルグル巻きにされている。しかもそこかしこから血が滲み出ている。

 不幸中の幸いか、四肢の欠損はないようだ。


「昨日来たんだけどね、魔法師全員で治癒にあたってもなかなか治らないのよ………。もう無理なのかもね………」


 ああ、だからこの人は初対面の俺を治癒に参加させたんだ。打つ手がなくなってきたから。

 いい人だな。


「おっけ。やりましょう」

「ええ。もう散々やったから無駄かもしれないけど、やるだけやってくれる? そろそろまた治療を始めるから、それまで待っててね」

「あ、はい」


 俺は頭の包帯をずらし、額に手を乗せる。あまり意味はないのだが、こうした方がなぜか集中出来るのだ。


「解析、開始」


 俺は男性の体を解析し始めた。

 ………四肢欠損がないとか言ってごめんなさい。片目無いですね。腹もグチャグチャだなぁ。腕も魔物に噛まれたのか、骨が見えるくらいに肉が抉れて、その骨も折れている。これもう普通にやったら無理じゃん。

 ……………吐きそう。あー、目眩が。


「ちょ、ちょっと大丈夫!?」

「おっと。大丈夫です」


 危ない。傷がエグすぎて吐きそうになった。リナリアの時やサンローズの時は気分が高まってたから、それほど感じなかったんだろう。


「………、よし。解析終了。上書きオーヴァーライト。」


 男性の傷口が光り、一瞬後には体の擦り傷が消えていた。見えはしないが、包帯の下の傷も癒えているだろう。


「はい、終了。他に重傷患者はいます?」

「あら、もう終わり? 重傷患者は今のところいないわ。また患者がいたらお願いするわ」


 彼女は笑って答えたが、そこには僅かながらの落胆が見えた。

 それはそうだろう。本来治癒魔法というのは、じっくり時間をかけて行うものだ。患者の自己再生機能を促進させるだけなのだから当たり前だが。俺のようにすぐ終わる、というのは、魔力量が少ないか治す気がないかのどちらかだろう。

 少なくとも、その短時間で完治しているなど、誰も思わない。


「では失礼しますね」

「ええ。ありがとう」


 俺は何も言わずにきびすを返した。

 気付いた時を、とても楽しみにしながら。


「あら? そういえば擦り傷がなくなってるわね………、それに呼吸も安定してるし、顔も安らかになって………」


 俺はニヤニヤしながら、なんとなくダッシュで医務室を出て行った。

 後ろから、傷が無い!?という叫び声を聞きながら。


 学園へは次の次で入ります。


 前回のサンローズとのアレコレで、感想を総括しますと、“サンローズが雑魚い”。

 ええ、雑魚いです、はい。アレに一話まるまる紙面を割くとか、もったいなかったですね。あれから彼女がどうなったかは分かりません。が、たぶん辞めたんじゃないですかね。


 ではまた明日。

 実は明日の分は出来てるので、昼の12時台に投稿します。なんて言ってると予定が壊れそうで怖くはありますがw


 ではでは、また次回~。

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