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猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第二章 ギルドと依頼と
33/96

第32話:護衛

「学園、だと?」


 俺はもう一度アンネに訊ねる。


「ええ」


 いい笑顔で答えやがった。

 ………どちらにせよ条件は断れないし、学園と言うところにも興味はある。

 が、あまり学園に長居する気はないことは伝えておかなければならない。


「あ、ユーリさんの目的は分かってますので、期間限定ではありますけどね」


 と、そこでアンネが苦笑しながら付け加えた。

 それならいいんだけど。


「一応訊いておくと、どれくらいの期間なんだ?」

「そうですね………、大会が終わるまでですから、だいたい一ヶ月から二ヶ月くらいですかね」


 ん? 大会?


「大会って、なんかあんのか?」

「ああ、そうでした。ユーリさんは知りませんよね。……えっと、クレスミスト王国では年に一回大会が開かれるんです」

「もしかして戦う感じ?」

「ええ、その通りです。名をマルス祭といい、昔魔王を打ち破った勇者を称え、毎年この時期に行っているんですよ」


 マルス祭、ねぇ。

 武術と魔術が入り乱れた不可思議大会になるんだろうなぁ。

 そして、アンネは少し困ったような顔で話を続けた。


「それでですね、その大会中は各国から腕利きの者が集まるわけですが、そのせいで完璧な警備と言うのは実質不可能になるんです」

「そりゃマルス祭に来るやつか暗殺に来るやつかはわからんだろうな」

「そうなんです。なので毎年この時期になると王族や貴族には護衛がつくんですが、今年はセラも意識を取り戻しましたし、そちらへも護衛をつけなきゃなりません」


 セラ、と言えば、セラフィムのことだろう。色々あって、2年ぶりに目覚めた少女。

 アンネの妹で第二王女ということらしいが、アンネと同じくレモン色の髪は長く、病床にいたからか、腰まで伸びている。しかし物腰柔らかな態度は、深窓の令嬢を思わせる。


「しかし、もちろん護衛は強くないといけませんよね?」

「そりゃそうだ。護衛するためにいるんだからな」

「ええ。それで、私より強い人と言うのが、近衛隊隊長のスィードしかいないんですよ」


 ………やべぇ、色々ツッコミどころがありすぎる。


「………まず、スィードってあれだよな? 一緒に短い間だけど旅した彼」

「ええ、そうですよ」

「あれ、近衛隊の人たちだったの?」

「そうですね。私も見たときは驚きました」

「………で、スィードって、近衛隊の隊長だったんだ」

「はい。なのでその辺の貴族や大臣より発言力は強いですね」

「………最後に、お前、そんなに強いの?」


 そこが一番気になる。

 なんというか、心の問題ではあるが。


「そうですね。強い、というか、私の魔力量は相当異常らしく、大規模魔術を連発出来るんですよ」


 なんというマップ兵器。


「なので私の周囲に適当に魔法を放っていれば、いつの間にか終わってる、と言った感じです」


 ………いつかのルドラの召喚を思い出した。雨風が吹き荒れる中、哄笑しながら周囲を蹂躙していった、あの姿を。

 俺は妙な寒気に、バレないように身震いした。


「スィードはどうやってお前に勝ったんだよ」

「私が強いとは言っても、結局は戦略なんてあったものではありません。ただの力任せなんですよ。しかも一点集中ではなく面での攻撃です。一対多ならやりやすいのですが、一対一だとどうしても一点にかかる力は少なくなります。そしてスィードの得意分野は防御。私とは相性が最悪なんです」

「あ、なるほど」


 そう言えば最初に会った時に少しやりあったが、アンネのことで慌ててたのだろうか、一度も防御の姿勢を見せなかった。

 もし防御されていたら負けていたのは俺の方だったのだろうか。

 今となっては分からないけどね。


「それで、スィードはセラフィムの護衛をしてもらおうと思いまして、スィードを負かしたユーリさんが私の護衛を務めていただけたらな、と思いまして」

「それはいいんだけど、スィードがアンネの護衛だったんなら、俺がセラの護衛につけばいいんじゃ?」

「まぁ危険度が高いのは私ですからね。現に拉致されましたし」

「………ま、いいや。でも互いに万全の状態でスィードと戦ったら、どっちが勝つか分かんないぜ? あとレイとかも」

「ええまぁ、どちらにせよ私とセラは一緒に行動することも多いと思いますから、そんなに違いはないんですがね」


 ふむ、学園かぁ。俺の世界の学校と何か違うのかね。

 予想としては魔法の授業とか? なんて胸躍る展開!

 まて、今はそれは置いておこう。


「その条件は了承した。さっそくで悪いが、リナリアを風呂に入れてやってくれ」

「分かりました。リナリアさんはどこに?」

「俺の部屋に待たせてるよ」

「表現がエロい」

「酷い!?」


 そんな心温まる会話(?)をしながら、アンネは席を立ち、俺と一緒に廊下へ出る。


「あ、ユーリさん。お風呂からあがったらすぐ夕飯だと思います」

「んー、了解。待ってるよ」


 その後、俺の説得によりリナリアはアンネと一緒に風呂に入り、風呂上がりにフワフワになった尻尾に抱きつきたい衝動を抑えるのに必死になったのはいい思い出。

 一日のpvが10000を越えるようになってきた今日この頃、投稿初日のpv141が懐かしい。


 そんなこんなでpv15万及びユニーク2万ありがとうございます!


 次回もよろしくお願いします。

 新たなフラグも立ちましたし、その前に回収しないといけないフラグもあるので、学園入りは少し時間がかかるかもしれません。


 では~。

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