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猫神ランドループ  作者: 黒色猫@芍薬牡丹
第二章 ギルドと依頼と
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第26話:偏光迷彩

 結局、拠点成功証明は、転移陣というのを使うらしい。これは俺が使った転移魔法の、陣をちゃんと書くバージョンで、魔力をたっぷり貯めた杖などて複雑な陣を書く。その陣を書く過程で魔力を注ぎ、魔法陣として完成させるのだ。この転移陣は魔力が少ない人も杖に少しずつ魔力を貯めていくことによって転移魔法が可能になるというメリットがあるが、逆に時間がかかりすぎるというデメリットももちろんある。そのため、杖に魔力を込めるという職業もあるらしいが、かなり高額なものらしい。しかし魔力をもたない市民にとっては徒歩やら船やらでどこかに行くよりも安全かつ一瞬で行けることから、需要はそこそこあるとのこと。

 閑話休題。

 今回使うのは転移魔法の劣化バージョンで、本体をその場に転移させるものではなく、転移しかけてやめる、といったことをする。簡単に言えば千里眼というやつだ。転移場所にはうすぼんやりした人影が出来、視覚と言葉を発せられるようにだけすることで、必要魔力が軽減されるらしい。その劣化転移(普通に千里眼という魔法っぽいのだが、この世界にその概念はない)でギルド職員が直接確認するらしい。


「申し訳ございません、気が動転してしまって説明を忘れていました………」

「いやまぁ、お気になさらず」

「ではこちらが転移陣の形を書いた紙と、杖です。拠点を破壊した全景が見える場所で喚びだして下さい」

「了解したけど………その杖はいいや。自分の魔力使うから」


 というか、この杖とやらがやたらデカいのだ。長さが俺の身長と同じくらいあるし。


「え、でも………」

「だいじょぶだいじょぶ。んじゃ行ってきまー」


 さてと、ギルドを出たらば街を出るか。


「またレイに乗せてもらっていい?」

「いいよもちろん。僕もさっさと終わらせたいしね」


 そして俺たちは騒ぎにならないよう街を出て、龍化したレイの背中に乗り、黒牙の拠点に向かった。黒牙の拠点はすでに判明していたのだが、そこに向かおうとするハンターがおらず、黙殺されていたらしい。

 未だにやつらの強さに疑問だが、仕事なのだから仕方ないね。


 ………どうでもいいが、人と猫と龍って、どんなパーティーだよ。



◆◇◆◇◆◇◆



「ここ?」

「んー、たぶんここだね」


 草木に隠れながら前方を覗き込むと、100メートルくらい先にデカい洞窟が見えた。ありきたり過ぎる。ありきたり過ぎるぞ黒牙!


「さて、どうする?」

「そうだね………。まず見張り、罠、敵の数、これだけ分かれば一応は大丈夫かな。あ、あとは他の出入り口がないかくらいかな」


 さすがレイ。スラスラと答えてくれた。


「んじゃ………潜入は俺とノアでやるわ。人数は多い方がいいだろ」

「なら僕は他の出入り口を探すのと、逃げてきたやつらを捕らえとくね」

「だな。今回の依頼は盗品奪還と拠点破壊だ。そこ忘れんなよ」

「うん、大丈夫だよ」

「おっけ。じゃあ行ってくる」


 そして二手に別れる。

 拠点である洞窟をよくみると、入ってすぐ、洞窟の影に隠れるように2人、見張りがいた。ということは、罠がある可能性は低いということか。もちろん気は抜けないけど。


「ノア、銃」

「うむ」


 今まで肩に乗っていた猫ノアが消え失せ、銃になり腰のガンホルダーにおさまる。

 その重さを確かめ、俺は洞窟へ目を向けた。


「どうするのじゃ?」

「まぁ見てろって」


 俺はそう言うと、少し集中する。これも転移の応用だ。かなりの演算が必要になるが、やって出来ないことはない。


「偏光迷彩」


 呟くと、俺の体は、誰からも視認出来なくなった。

 これは、自身を透過させるのではなく、自分に当たった光を反対側へ転移させる魔術だ。

 人は五感でモノを認識する。視覚、嗅覚、触覚、聴覚、味覚だ。人は進化する過程で目に重きを置いた。目を欺けば、だいたいは気のせいとして納得される。

 そして目で認識するというのは、反射した光を見てその存在、色などを把握している。例えば赤色が目の前にあれば、その物体に当たった光のほとんどがその物体に吸収されるが、赤色に近しい色だけ反射され、人の目に入り、その色が赤だと認識するのだ。その証拠に、光のない暗闇なら赤を赤と認識できないはずだ。

 俺の使った偏光迷彩は、その光自体を当たらなかったことにするものだ。例えば自分に正面から光が当たったとすれば、背後に光を転移させることで、そこには何もなく、ただ通過した、という結果が残るわけだ。

 なんにせよ結果は1つ。

 俺が見えなくなる。


「お主………」

「俺天才じゃね?」


 俺が何をしたか肌で感じ取ったのだろう。ノアが呆れた声を出す。


「さて、行くぜ」


 俺は足音を立てないように歩き出す。視覚は騙せても、聴覚はなにもしてないのだ。

 ………確かに、一週間書庫に籠もってた時に見つけた魔術書には消音魔法が載っていた。しかし、偏光迷彩を使っている俺には、消音魔法まで使う余裕がない。だって、全方位から来る光を全部転移させているんだ。頭の中が計算式で埋め尽くされている感じがする。


「……………」


 そろりそろりと近付き、見張りの2人を通り過ぎ、見えなくなったあたりで偏光迷彩を解除した。


「っはぁッ! ………あー、これすげぇ疲れんなぁ………」

「たったこの距離くらいで、ユーリの超電磁砲1000発くらいの魔力を使ったのぅ………」

「………」


 スルーだ。スルーしよう。


「………これより探索を開始する」

「うむ」


 そして、黒牙潰しが始まる。



 今回は次回への繋ぎですね。次回は新しいキャラが出てきます。そしてそろそろ15禁くらいになるかも? いや、もちろんエロじゃない方向にですけど。


 もし残酷な表現らめぇ、って方がおられましたらご一報下さい。考えます。

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