表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
牡丹の国  作者: ひさぎぬ
14/14

※ある日の会話

一 ある日の平日


「はい、お土産」

「ありがとう〜中見ていい?」

「ええ勿論」

ガサッ

「可愛い!小物入れだね」

「……おはよ」

「ああ柚以子、おはよう。これお土産よ……どうしたの?顔色悪いわよ」

「…ちょっと寝不足」

「寝不足?バイト?」

「バイト…そうだねバイトみたいなモノだった…」

「意味分からないわよ」

「…フランスどうだった?なんだっけ、大きな美術館行ったんだよね」

「話を逸らさないで」

「柚以ちゃんも何処か行ったの?」

「……………中華圏に行くことになってね…配膳係してた…」

「中華圏?中国?」

「配膳係?」

「………」

「ちよっと柚以子?寝てるの?」

「柚以ちゃん授業始まるよ」「………」

「駄目ね…」

「あと少しは時間あるからそっとしておく?」

「そうね…時間がきたら叩き起こしましょう」

「えっ無理に起こさなくても……」

「わざわざ大学に来るくらいだから授業は受けたいハズよ。だったら起こさなきゃ」

「…そう…だね…」

すぴー


***


二 ある日の母子と伯父


槹蓮(コウレン)〜伯父様ですよ〜宋壽伯父様ですよ〜〜」

「あーあー、あぶ」

「さぁーご挨拶しましょうね〜伯父様こんにちは〜」

「あーあー」

「よくできました〜!ほら、兄様も!」

「あーしか言ってないじゃないか」

「宋壽伯父様は怖い顔をしてるけどやさしいのよ〜」

「あぶあぷ」

「………」「なのにね、まだ独り身なの。おモテになるのに不思議ね〜」

「あーあぷ」

「え?色男はつらい?」

「おい……」

「兄様、また縁談蹴ったんでしょう?何回目?会うだけ会えばいいのに。ねー、槹蓮」

「あーあぶあぶ」

「………」

「そういえば月季楼は相変わらず繁盛してるのねー。この間お茶しに行ったのよ。お昼だったけど満席なの。溟榮様が宮中に戻ったからどうなるかと思ったけど……さすが琳さんね!」

「………」

「……」

「…」

「…柚以…」

「ああ?どうした?」

「もう!話聞いてた?月季楼のこと!」

「ああ……繁盛してるようだな」

「兄様ここ最近、月季楼へ行ってないでしょ。ずっと家で飲んでるだけでしょう?琳さんがお得意様一人失っちゃったかしらって嘆いてたよー」

「忙しくて寄れないだけだ。他意はない」

「あぷ」

「………柚以ちゃん、言付けだけでいきなり帰らなくてもいいのにね〜連絡先も分からないし!」

「……そうだな」

「兄様も一目惚れって自覚しないまま離れ離れだからタチ悪いし。ね〜そうだよね〜」

「あぷあぶあぶ」

「やっぱり?吹っ切るためには新たな恋?母様もそう思う〜!」

「おい!赤ん坊がそんな事言うはずないだろ。そもそも一目惚れなんてしてない」

「またまたぁ〜」

「………帰る。見送りはいい。じゃあな」

ガタン

「……私が思うに、引きずるけど立ち直ったらはやいと思うのよ。たった数日…数時間しか関わってないのに未だに動揺するなんてねぇ。初恋だったのかしら?」

「あー…」

「あらあら眠たくなった?お布団のところへ行きましょうか」

「あぷー……」


***


三 ある日の学生


カタカタ

「うっ!間違えた」

カタカタ

「ちょっと柚以子、声大きいわよ」

「あぁごめん。焦っちゃって」

「ここ周りに人がいるんだら」

カタカタ

「……それ間に合いそうなの?」

「ギリギリ。今日も徹夜した」

カタカタ

「目、血走ってるわよ…」ガタカタカタ

「…瑠加は終わってるんだよね」

「勿論。最優先で仕上げたわ」

「…流石です」

「若月先生も容赦無いわよね。まぁ、一見穏やかな紳士風の美濃山先生とはまた違う意味でだけど…あら」

カタカタ

「見たまんまでしょ。学生をいたぶって旨い酒を飲むタイプよ。ってあぁ?消えた!」

「柚以子……」

「静かにできないんですか?ここは図書館でしょう」

「!」

「それ今日提出のレポートですか?移動時間を除くと…後二十分もありませんが…」

「時間までには提出できるハズです…」

「…授業には遅れないように。三分以上の遅刻は欠席扱いにします」

「え゛?」

「今、とても学生をいたぶってみたくなったんです…では」

「…柚以子。先生そこの書棚の裏にずっといたようよ」「………………今日休みたい」

「よしなさい」

「……」

…カタカタカタ


***


四 ある日の姫様


「柚以子も式に呼びたいんだが、よいか?」

「姫様、彼女は既に元の生活に戻ったのです。今また彼女を混乱させるのは酷でしょう?」

「そうか……。私は自分のことしか考えてなかった。柚以子が私達を祝ってくれたら嬉しいと思ったが柚以子には迷惑だな…」

「………」

「どうした?」

「姫様、今彼女を呼びましょう。少しお待ち下さい」シュッ

「えっ?ええぇ〜〜〜〜」「柚以子!」

「姫さま……?」

「柚以子、私の我儘なんだ。柚以子にも祝福して欲しくてな」

「祝福?」

「ワタクシ達は遂に夫婦となるのです」

「…………………姫さま。姫さまの花嫁姿はきっと似合ってて素敵だと思います。でも相手はこの男でいいんですか?早まらないでもう少し……ってうわぁ!」

シュッ

「姫様、彼女も祝福してくれましたよ」

「でも何か言い掛けていなかったか?」

「彼女は姫様と結婚できるワタクシに妬いているのです」

「そうなのか?」

「そうなんです」


***


五 ある日の玉璽


すりすり

「たまには磨かないとねー。埃かぶってるし」

♪ピピピ ピピピ

「うん?…もしもし?」

すりすり

「は?また壊れた?今何時だと思ってるのよ!」

すりすり

「はっきり言うけど面倒なの。学校で印刷すれば?」すりすり

「間に合わないって言われたって…」

すりすり

「タクシー?タクシーで来いって!?」

すり

「……領収証もらってくるから払いなさいよ。今から準備するから…」

ずりずり

「コンビニ?行かないわよ!じゃ切るから!!」

ゴロ

「…これ、いい加減箱かなんかに入れたほうがいいよね……」



時間軸はバラバラです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ