表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
牡丹の国  作者: ひさぎぬ
1/14

プロローグ


ある夏の朝、山間の小さな集落はいつもの静けさを失っていた。

辺りは黒い煙でおおわれ、人々の怒号や泣き声であふれていた。


「…歩けるか?」

煤にまみれた顔を唯一となった肉親の幼い息子にむける。

息子がうなずくのを見ると二人は大きな川のある林へゆっくり歩きだした。

戦乱の世とはいえこんな辺鄙な所まで…

誰が何のために集落を襲ったのか男にはわからないが

疲れ切った今、何も考えることができなかった。


川まであと少しのところで息子が急に歩くのを止め

遠くをじっと見つめていた。

「休みたいか?」

息子は首を横に振り、あれは人?と聞いてくる。

息子が言う方を見ると、さっきまで誰もいなかった場所に美しい女性がたたずんでいた。

見たことのない髪の色。あざやかな衣。この世の人間とは思えない。

もしかしたら自分達はもう死んでいるのかも、と男は思った。

ここはあの世なのか。


しばらくするとその女性がゆっくり口を開いた。


「私に何か用か?」



この出会いはこの親子にとって幸運だった。

そして子孫にも幸運なことだと。


…遠い先の彼らの何代目かの子孫は思う。

おいしい話には落し穴があるのね、やっぱり。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ