ひまりのひまわりはふしぎなひまわり
ひまりのお家には「ひま」って名前の、ふしぎなひまわりさんがいるの。
見た目はひまわりなんだけど、お口があるし「シェー」って、鳴いたりお話ししたりする。
普段は植木鉢で過ごしてるけど、根っこの部分がタコの足みたいにうねうねしてて、小雨の日や、雨上がりでも地面が濡れてる日とかは、お外に出られるの。
ひまりはそんなへんてこなひまわり…ひまが、大好き。最初の頃は怖くて嫌いだったけど、今では大切な家族なんだ。
そんなひまと、今日はお外でお散歩。
「ひま~今日はお散歩日和だね!」
「シェ~♪」
今日は雨雲びっしりの、小雨がパラパラ振るお天気。他の人からしたら、ゆううつなお天気かもしれないけど、ひまりとひまにとっては、いいお天気。だって、ひまとお外でお散歩できるんだもん。
「シェ~エエ~シェ~エエ~♪」
ひまはスキップするようにして、ぴょんこぴょんこと跳ねながら鼻唄のようなものを歌う。ひまが鼻唄を歌うのは、ご機嫌な証拠。
ひまとお散歩してると。
「いた!ひまちゃんにひまりちゃん」
「今日は小雨だものね。ふたりとも絶対お散歩してると思ったわ~」
ひまのファンの近所のおばさんたちは、ひまりたちを見つけると嬉しそうに向かってきた。おばさんたちは、ひまのファンなの。というか、ひまにはたくさんのファンがいるの。
「ひまちゃん、今日も可愛いわね~!」
「シェ~♪」
「こんな雨の日はゆううつになるけど、ひまりちゃんとひまちゃんに会えたら、ゆううつがどっか行っちゃうわ~♪」
おばさんたちは、ひまの葉っぱのお手々をやさしく握手したり、やさしくぎゅーっと抱きしめたりする。するとひまは嬉しくなって、葉っぱをひらひらと揺らして踊るの。
「またね~ひまちゃん」
「ばいばーい」
「シェ~シェシェ~!」
おばさんたちとバイバイして少し歩くと、今度はひまりの同級生の男子たちと会った。
「ひまちゃーん!」
「今日は絶対ひまちゃんに会えると思ってたから待ってたよ~!特にこいつが」
「ばっか!余計なこと言うな!よ…よう、ひまちゃ…うわっ!」
ひまはひとりの男子に、抱きついた。ひまは何故か、この男子のことが大好きで。そしてこの男子もひまのことが大好きなの。
「ひまちゃん、やっぱかわい…」
雨合羽を着た男子は、ひまをぎゅっとやさしく抱きしめながら、小さくそう呟く。
ひまはしゃべって動く、ふしぎなひまわり。だけど、みんなに愛されてる。
かわいいひまりのひまわりのひま。
大好きだよ!