流れ星を作る少女のおはなし
くらい夜のお空を、きらきらとちいさなお星さまたちがやさしく照らす。
そのお空のなかを、ふわふわと泳ぐ雲たち。
風に流れてふわりふよふよと形をかえながら、雲たちが夜のお空を流れてゆくなか。ひとつだけ、形をかえない雲があります。
わたあめのように、ふんわりとした雲。
その雲のうえには、一人の少女がいます。
しろくて美しい翼のはえた、かわいらしい少女。
その少女がふわふわの雲に、ちいさな星の形をした種をぱらりぱらりとまいてゆきます。
ちいさな星の形をした種をまくと、今度はきらきらとした星つぶがはいっているとうめいなお水を、じょうろからしゃわわと、雲にまいた種たちにかけてゆきます。
「おおきくなあれ。おおきくなあれ」
と、少女はいいながら、種たちにお水をかけてゆきます。
すると、ぴょくりと雲から芽を出し、ぐんぐんと茎をのばしてゆきます。
そしてつぼみができ、ぱちりとつぼみが花ひらきます。
星の形をした種は、星の形をしたお花を咲かせました。
少女はその星の形をしたお花たちに呪文をかけます。
『星の花よ。流れる星となり、地に住む人々にちいさな幸運を授けよ』
少女がそう言うと、星の形をしたお花はゆっくりと雲をはなれ、そして。
───────シャラン。
───────シャラン。
───────シャラララン。
星の形をしたお花は、次々とくらい夜のお空を流れてゆきます。
赤や青。黄色や銀色。それぞれいろいろな色を放ちながら、夜のお空を流れます。
星の形をしたお花は流れ星となり、ちいさな幸運を運びながら、夜のお空をシャランと流れます。